BYD、従業員10万人削減で87万人体制へ – 売上過去最高も利益19%減の実態
87万人体制への再編、その狙い
BYDが2025年の年間で約10万人の従業員を削減していたことが明らかになった。中国メディアの鳳凰網が報じたもので、従業員数は約87万人となり、前年比で約10%の減少。需要低迷ではなく、組織再編と効率化によるコスト管理の一環だという。
EV業界では価格競争が激化する中、各社とも「売れる台数」ではなく「いかに効率よく稼ぐか」が次の競争軸になりつつある。BYDの今回の人員整理は、その流れに沿った動きだ。
売上8000億元超、それでも利益は減った
2025年通期の売上高は約8040億人民元(約16兆円)。年間販売台数は460万台に達し、いずれも過去最高を更新した(円換算は1人民元≒約20円)。
一方で純利益は約326億人民元(約6500億円)にとどまり、前年比で約19%の減益。国内NEV市場での価格競争と、車両・バッテリー技術への継続投資が利益を圧迫した。研究開発費は約634億人民元(約1.3兆円)を維持しており、利益が減っても開発投資を緩めない姿勢がうかがえる。
2026年2月の国内販売41%減、ただし季節要因
補足しておくと、BYDの中国国内NEV販売は2026年2月に前年同月比41%減を記録した。数字だけ見れば大幅な落ち込みだが、春節(旧正月)の影響が大きい。Blade Battery 2.0の発表前でもあり、構造的な需要減退とは見られていない。
海外販売100万台突破、2026年は150万台へ
海外販売も伸びた。初めて100万台の大台を超え、約105万台に到達。新浪の報道による。
この勢いを受け、BYDは2026年の海外販売(関連: BYDの海外販売150万台目標)目標を150万台に引き上げた。当初目標から15%の上乗せだ。国内の競争激化をにらみ、成長の軸足を海外に移す構えが鮮明になっている。
日本市場でもBYDの動きは活発だ。ATTO 3やDOLPHINに加え、2025年にはSEALION 7やRACCOが投入された。BYD Auto Japanの累計販売台数は2025年末時点で約5000台規模とみられ、日産サクラ(補助金込み約180万円〜)に対し、DOLPHIN(約363万円〜)は価格面でまだ開きがある。ただし、今回の大規模リストラで捻出したコスト削減分が価格戦略に反映されれば、状況は変わりうる。
Blade Battery 2.0発表 5分で70%充電の新技術
技術面でも動きがあった。2026年3月5日、BYDは「Blade Battery 2.0」と「Flash Charging 2.0」を発表。10%から70%までわずか約5分、97%まででも約9分という充電速度を実現した。
充電時間の長さはEV購入をためらう最大の理由の一つ。5分で実用的な充電量を確保できるなら、ガソリン車の給油とほぼ変わらない。
BYDはこの新型バッテリーの展開に合わせ、急速充電インフラの整備も加速させる方針だ。テスラがスーパーチャージャー網で差別化したように、充電体験そのものが競争力になる局面が近づいている。
「稼ぐ力」の再構築が始まった
売上高と販売台数で過去最高を叩き出しながら、10万人規模の人員削減に踏み切る。一見矛盾するが、狙いは明確だ。価格競争が常態化したEV市場で、売上の「量」だけでなく「質」を追う必要がある。
世界トップ10入りを果たした自動車メーカーとして、次世代バッテリー技術と海外展開を両輪に、コスト構造の見直しを進めるBYD。2026年は同社にとって正念場の年になる。