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BYD、2026年海外150万台に「強い自信」 – 原油高がEV需要を押し上げ

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BYD: BYD、2026年海外150万台に「強い自信」 – 原油高がEV需要を押し上げ

原油価格の高騰が、BYDの海外販売を加速させている。同社は2026年の海外販売目標を150万台に引き上げ、達成に「強い自信がある」とアナリスト向けの非公開会議で表明したとElectrekが報じた

国内販売は7カ月連続で前年割れ、海外が成長エンジンに

BYDの3月のNEV(新エネルギー車)販売台数は30万222台。前月比では57%増だが、前年同月の約37万7500台と比べると約20%減となった。前年同月割れはこれで7カ月連続だ。中国国内では低価格帯の新興メーカーが台頭しており、価格競争が激化している。

一方、海外輸出は3月に12万83台を記録し、前年同月比65%増となった。うち乗用車とピックアップトラックが11万9591台を占める。2026年第1四半期の累計海外販売は32万1165台に達している。

BYDは1月時点で海外販売目標を130万台としていたが、今回これを150万台に上方修正した。15%の上乗せだ。関係者2名によると、同社は将来的に海外売上が全体の半分を占める可能性にも言及している。3月時点ですでに海外比率は40%に達しており、半数到達は数カ月以内という見方もある。

2025年実績の3.6倍——新型電池も追い風に

BYDの2025年通年の海外販売台数は約41万台だった。150万台という目標は前年比で約3.6倍にあたる。第1四半期だけで32万台を超えたペースが続けば、年間128万台程度になる計算だ。150万台には第2四半期以降のさらなる加速が必要だが、新型車の海外投入が控えていることを考えれば射程圏内だ。

BYDは2025年にも海外販売目標を「年間50万台」と掲げていたが、実績は41万台で達成率82%にとどまった。ただし前年の24万台からは71%増で、海外展開のスピード自体は年々上がっている。今回の150万台目標は過去最大の上振れ幅だが、第1四半期の実績ペースが根拠のひとつになっている。

追い風となりそうなのが、BYDが中国国内で販売を開始した新型「Blade Battery 2.0」と急速充電技術「Flash Charging」搭載モデルだ。すでに国内では受注が増加傾向にあり、BYDはこれらの新技術搭載車を数カ月以内に海外市場にも投入する計画を示している。

比較対象として、テスラの2025年通年の販売台数は約179万台(全世界)だった。BYDが海外だけで150万台を達成すれば、グローバルEV市場でテスラに肩を並べる規模になる。もっとも、テスラは欧米市場が中心であるのに対し、BYDは東南アジア・中南米・中東といった新興国市場での伸びが大きく、両社の競合領域は現時点では限定的だ。

原油高でフィリピン・タイのEV需要が急伸

中東情勢の緊迫化による原油価格の上昇が、各国でEVへの乗り換え需要を生んでいる。

フィリピンの首都マニラにあるBYDディーラーでは、通常1カ月分の受注をわずか2週間で達成した。販売員のドミニク・ポー氏はElectrekが引用したBloomberg報道の中で「原油価格の高騰を受けて、顧客がEVに乗り換えている」と語った。

タイではアヌティン・チャーンウィラクン首相が今週、BYD Sealion 07 EVで政府庁舎に到着する姿が目撃された。ガソリン価格が高騰するなか、首相自らEVを日常使いする姿はタイ国内で話題を呼んでいる。

タイ工業連盟・自動車部門のスラポン・パイシットパッタナポン報道官は「以前は2026年のEV需要に慎重な見方をしていた。政府補助金の縮小でEVの価格競争力が落ちたためだ」と述べた上で、「原油価格が現在の水準にとどまるか、さらに上昇すれば、EV需要は大幅に増加する」と見通しを修正している。タイは日系メーカーが長年シェアの大半を占めてきた市場だ。BYDのタイ現地工場は2024年に稼働を開始しており、関税を回避した価格設定でトヨタやホンダのシェアを切り崩しつつある。

東南アジア全体のEV販売台数は2025年に約50万台とされ、前年比で60%超の成長を記録した。タイとインドネシアがその半数以上を占める。原油高が続けば、この成長率はさらに加速する可能性がある。

日本でも原油高の影響は出ている。レギュラーガソリンの全国平均価格は2026年3月時点で180円台後半と高止まりしており、BYDが販売するDOLPHINやATTO 3といったコンパクトEVへの問い合わせは増加傾向にある。ただし150万台の海外目標において日本の占める割合はごく一部であり、BYDの海外戦略の主戦場はあくまで東南アジアと中南米だ。

欧州、東南アジア、中南米と、ほぼすべてのセグメントで新モデルを展開しながら現地生産も進めるBYD。4月の月次販売データは5月上旬に発表される。海外比率が40%からさらに上昇したかどうか、そこで明らかになる。

出典

BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

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