BYD、2026年の海外販売150万台へ – 利益減でも攻勢を緩めず
四半期利益38%減、それでも海外目標を引き上げた理由
BYD(関連: BYDの10万人削減と業績)が強気だ。2025年通期の純利益が前年比19%減と4年ぶりの減益を記録したにもかかわらず、2026年の海外販売目標を150万台に設定した。1月時点の130万台から15%の上方修正。決算説明会で経営陣は「達成に高い自信がある」と言い切った。
背景にあるのは、中国国内市場の厳しさだ。2025年第4四半期の純利益は前年同期比38%減。国内の価格競争は激化の一途で、吉利汽車(Geely)が2026年1〜2月のグローバル販売台数でBYDを上回る場面もあった。足元が揺らいでいるからこそ、海外に活路を見いだす。
海外売上比率50%の時代が見えてきた
数字を見れば、BYDの海外シフトは急ピッチで進んでいる。2025年の海外販売は約110万台で前年から倍増以上。売上全体に占める海外比率は22.7%に達した。2026年1〜2月にはその比率が約50%まで跳ね上がっている。
経営陣は「将来的に海外が事業全体の約半分を占める可能性がある」とも言及。中国メーカーが海外で半分稼ぐ——数年前なら冗談にしか聞こえなかった話が、現実味を帯びてきた。
ハンガリー、トルコ、そして買収も視野に
150万台を捌くには、現地生産の拡充が不可欠だ。BYDはハンガリーとトルコに工場を建設中で、3カ所目の新工場も検討段階にある。さらに注目すべき発言が飛び出した。「レガシー自動車メーカーの買収にもオープンだ」というのだ。
販売網の構築、各国の規制対応、関税、物流、ブランド信頼の醸成——海外展開のハードルは山積みだが、既存メーカーを丸ごと買い取ればディーラー網や認証を一括で手に入れられる。BYDらしい合理的な発想だ。
欧州・中南米で存在感、米国不在でも脅威に
BYDはまだ米国市場に参入していない。関税の壁があるからだ。しかし欧州、中南米、東南アジアではすでに確かな実績を積み上げている。米国の貿易障壁がいくら高くても、それ以外の市場で欧米メーカーのシェアを削れば、ダメージは十分に大きい。
BYDだけではない。中国にはNIO、Xpeng、Geely傘下のZeekrなど、低コストで素早くスケールする術を身につけたメーカーが複数いる。欧米の大手がまだ模索している効率的な量産体制を、すでに確立しているのだ。
日本市場への影響は
BYDは日本でATTO 3(440万円〜)、DOLPHIN(363万円〜)、SEAL(528万円〜)を展開中で、2025年にはSEALION 7やRACCOの投入も控える。海外販売150万台体制が本格化すれば、日本向けの供給枠や販促投資にも追い風が吹く可能性がある。
一方で、利益率の低下は値引き余力の縮小を意味する。中国国内の価格戦争に体力を削られながら、日本を含む各国市場でどこまで競争力のある価格を維持できるか。BYDの2026年は、海外拡大と収益回復の両立が問われる1年になる。