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Leapmotor×Stellantis、カナダ工場でEV生産検討 – 関税回避の新戦略

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中国EV: Leapmotor×Stellantis、カナダ工場でEV生産検討 – 関税回避の新戦略

Stellantisが中国EVメーカーLeapmotor(零跑汽車)と共同で、カナダ・オンタリオ州の休止中の工場でEV生産を検討していることが明らかになった。Bloombergが3月末に報じたもので、実現すればカナダ自動車産業への初の大型中国資本投入となる。

ブランプトン工場が候補地に浮上

生産拠点として検討されているのは、オンタリオ州ブランプトンにあるStellantisの組立工場だ。同工場は数年前から稼働を停止しており、数千人の労働者が解雇された状態が続いている。Stellantisにとっては遊休資産の活用、Leapmotorにとっては北米市場への足がかりとなり、双方の利害が重なる案件だ。

カナダのフランソワ=フィリップ・シャンパーニュ産業相は政府として協議に参加していることを認めつつ、新規自動車投資にはカナダ現地の労働力と部品の使用が不可欠だと強調した。地元の労働組合や部品サプライヤーも、ノックダウンキットに頼らず完全な車両組立を行うよう強く求めている。

カナダの対中EV関税緩和が背景

この動きの背景にあるのが、カナダの対中EV関税政策の転換だ。カナダは2026年1月、中国製EVに課していた100%の関税を見直し、年間最大4万9,000台を対象に最恵国待遇の6.1%関税率で輸入を認める合意に達した。いわゆる「EV・カノーラ協定」と呼ばれるこの取り決めは、中国製EVを締め出す従来路線からの明確な方向転換を意味する。

ただし米国側は、カナダが中国製EVの迂回輸出ルートになることへの警戒を繰り返し表明している。USMCA(米墨加協定)では自動車の原産地規則として域内調達率75%が求められており、仮にカナダで組み立てたとしても、中国製部品の比率が高ければ米国向け輸出で関税免除を受けられない。カナダ国内向け販売には有効でも、米国市場への橋渡しにはならない可能性が高く、この点が計画の最大のリスク要因だ。

CKD方式かフルアセンブリーか — 現地調達率が分かれ目

LeapmotorとStellantisはブラジルやマレーシアでもEV生産を計画しているが、これらの拠点では当面CKD(完全ノックダウン)方式を採用する。中国で大半の製造を行い、現地では最終組立のみという手法だ。

一方、カナダではカナダ政府や労組がフルアセンブリーを要求しており、CKD方式では認められない可能性が高い。6.1%の関税優遇を受けるための現地調達率の確保と、コスト競争力の維持をどう両立させるかが焦点になる。欧州ではすでにStellantisの販売網を通じてLeapmotor T03とC10の販売が始まり、2025年にはポーランド工場でのT03組立も開始された。欧州では既存のStellantis部品サプライチェーンに乗る形でCKDから段階的に現地化を進めたが、カナダでは初手からフルアセンブリーを求められる点で難易度が異なる。

BYDも独自にカナダでの製造拠点設置を検討中だとされるが、同社はハンガリーやブラジルで自前の工場建設を進める自社完結型だ。既存メーカーの遊休資産を活用するLeapmotor×Stellantis方式とは対照的で、4万9,000台の関税優遇枠をめぐり異なるアプローチが競合する構図になっている。

中国EVメーカーが各国の通商環境に合わせた現地生産体制を整え始めたことは、日本の部品メーカーにとって新たな納入機会にもなりうる。Stellantisのカナダ計画が実現に向かうかは、USMCA原産地規則への対応策と、カナダ政府が求める現地調達率の具体的な水準しだいだ。

出典

BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

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