NIO、3月納車3.5万台で前年比136%増 – 第1四半期はガイダンス超え
NIOの3月納車台数が3万5486台に達した。前年同月比136%増、前月比でも70.6%増。春節明けの需要回復を大きく上回るペースだ。
第1四半期は8.3万台、会社予想の上限を突破
NIO Inc全体の2026年第1四半期納車台数は8万3465台で、前年同期比98.3%増となった。同社が事前に示していたガイダンス(8万〜8.3万台)の上限を超えている。前四半期比では33.1%減だが、これは中国市場で毎年見られる春節前後の季節要因だ。
ブランド別の内訳を整理すると以下の通り。
| ブランド | Q1累計 | 3月単月 |
|---|---|---|
| NIO | 5万8543台 | 2万2490台 |
| Onvo | 1万3339台 | 6877台 |
| Firefly | 1万1583台 | 6119台 |
| 合計 | 8万3465台 | 3万5486台 |
同じ中国新興EV勢であるLi Autoは3月に3万6000台超を納車、XPENGも3万3000台超と各社が好調だった。ただしNIOの前年比136%増という伸び率は3社中で最も高い。
3社の戦略は明確に分かれている。Li Autoはレンジエクステンダー(EREV)中心で充電インフラへの依存度を下げ、30万〜50万元の家族向けSUVで台数を稼ぐ。XPENGは20万元台の中価格帯を主力に、自社開発の高度運転支援「XNGP」を差別化の軸に据える。メキシコ市場にG6・G9を投入するなど海外展開も積極的だ。対するNIOは40万元前後のプレミアム価格帯を維持しながら前年比136%増を達成しており、バッテリースワップという独自のインフラ戦略で高価格帯の顧客を囲い込んでいる。
ES8がプレミアム市場を牽引した理由
好調の立役者は、フルモデルチェンジした新型ES8だ。CnEVPostによると、3月の納車は1万6255台。中国市場で40万元(約840万円)以上の価格帯、かつ大型SUVカテゴリで3カ月連続の販売首位を獲得した。累計納車は3月20日時点で8万台を突破し、発売からわずか181日での達成だ。
この価格帯はBMW iXやメルセデスEQSクラスと直接競合する。ES8が欧州勢を販売台数で上回れている背景には、NIO独自のバッテリースワップによるリセール価値の維持がある。電池の劣化リスクを車両から切り離せるため、中古車価格の下落が緩やかになる。加えて、150kWhバッテリーへのスワップで航続距離を1000km超まで延ばせる柔軟性は、固定バッテリーの競合車にはない強みだ。
ES8の商業的成功はNIOの業績にも直結している。同社は2025年第4四半期に営業利益12.5億元を計上し、創業以来初の四半期黒字を達成した。ES8が閑散期を支える屋台骨になると同社は見込む。
4月から新車攻勢が本格化
NIOは4月以降に集中的な新車投入を計画している。まず4月2日に、ES6・EC6・ET5・ET5 Touringの2026年モデル(通称「5566」ラインナップ)を発売。デザイン、装備、スマートドライビング体験がアップグレードされ、30万元前後の価格帯を狙う。
4月9日にはフラッグシップSUV「NIO ES9」の製品・技術発表イベントを開催予定だ。さらにOnvoブランドからは4月下旬にL90の2026年モデル、そしてL80の発売も控える。7月初旬にはES8の5人乗りバージョンも披露する計画だ。
こうした新車攻勢の背景には、NIO独自のバッテリースワップインフラがある。中国国内に3000カ所以上展開する交換ステーションは、複数車種でバッテリーを共有できる設計だ。新車が増えるほどステーション1カ所あたりの利用効率が上がり、インフラ投資の回収が進む構造になっている。
第2四半期の見通し
香港市場に上場するNIO株は、納車データへの期待と新車攻勢を材料に10%急騰した。NIOが国内プレミアム市場での足場固めを優先する一方、XPENGやBYDは海外展開を加速しており、中国EV勢のなかでも戦略の違いが鮮明になっている。
第2四半期は「5566」ラインナップの本格納車とES9の受注開始が重なる。ES8の月販1.6万台ペースを維持しつつ、30万元台の4車種がどこまで上乗せできるかで四半期全体の規模が決まる。4月2日の5566投入が計画通りに立ち上がれば、第2四半期は10万台超えも射程圏内に入る。2025年Q4の黒字が一過性でないことを証明できるか——NIOが第2四半期ガイダンスでどの水準を提示するかに、具体的な回答がかかっている。
出典
- Nio Mar vehicle deliveries hit 35,486 to top quarterly guidance(CnEVPost、2026年4月2日)
- NIO reports first quarterly operating profit in Q4 2025(CnEVPost、2026年3月6日)