中国EV

ボルボEX90・ES90が中国生産へ – 800V対応ES90の技術的意義と日本導入の可能性

5分で読める
中国EV: ボルボEX90・ES90が中国生産へ – 800V対応ES90の技術的意義と日本導入の可能性

800Vプラットフォーム、最大350kW充電、航続700km超——ボルボが4月15日の創業99周年イベントで披露する2台の電動モデルは、いずれも中国で生産される。EX90とES90。このうちES90は、ボルボ初の800V高電圧アーキテクチャ採用車であり、中国EVメーカーが先行してきた急速充電技術にボルボが本格参入することを意味する。

中国生産のEX90、発表から3年越しの投入

EX90は2022年にグローバルデビューを果たしたものの、中国市場向けの投入は大幅に遅れていた。CarNewsChinaの報道によると、1年以上前に中国の認可申請書類で確認されていたが、ようやく正式発表にこぎつけた。

プラットフォームはSPA2を採用し、海外仕様のデザインを踏襲する。格納式ドアハンドルやヨットからインスピレーションを得たサイドラインなど、デザイン面での差別化を図っている。パワートレインは2種類で、低出力仕様が合計300kW、高出力仕様が合計380kW。いずれも三元系リチウムイオンバッテリーを搭載する。NMC系を選択した背景には、大型SUVで求められるエネルギー密度の確保がある。

ES90——ボルボ初の800Vモデル

ES90はボルボとして初めて800V高電圧プラットフォームを採用し、バッテリーセル、電動駆動システム、インバーター、充電系統、熱管理システムのすべてを刷新した。10%から80%まで20分、最大充電出力350kW、航続距離700km超という数値は、中国市場で先行するZeekr 007やBYD漢EV(2025年モデル)と正面から競合するスペックだ。

先進運転支援にはLiDAR搭載オプションを用意し、LiDAR1基、ミリ波レーダー5基、カメラ7基、超音波センサー12基という構成。演算はNVIDIA Drive AGX Orinをデュアルで搭載し、508TOPSの処理能力を持つ。

EX90・ES90 主要スペック比較

項目 EX90 ES90
ボディタイプ 大型SUV セダン
全長×全幅×全高(mm) 5,037×1,964×1,742 5,000×1,942×1,547
ホイールベース(mm) 2,985 3,102
電圧アーキテクチャ 400V(SPA2) 800V(新開発)
最高出力 300kW / 380kW 未公表
最大充電出力 未公表 350kW
10→80%充電時間 未公表 約20分
航続距離 未公表 700km超
空力性能(Cd値) 0.29 未公表
バッテリー 三元系(NMC) 未公表

800V競争——中国勢が築いた土俵にボルボが上がる

800Vアーキテクチャは、中国EV市場のプレミアムセグメントで標準装備になりつつある。Zeekr 007は800V+5C充電対応セルを実用化し、価格は20.99万〜29.99万元(約420万〜600万円)。BYD漢EV 2025年モデルは17.98万〜24.98万元(約360万〜500万円)で800V対応を実現した。XPENGのG9も800V対応で最大480kW充電に対応し、26.39万元(約530万円)からの設定だ。

ボルボのES90が350kW・20分充電を掲げるのは、この競争に参戦するための最低ラインだ。ボルボのブランド力——安全性への信頼、北欧デザイン、プレミアムとしてのポジショニング——は中国新興メーカーとは異なる訴求軸を持つ。ただし中国市場では800V対応EVセダンが20万〜30万元帯に集中しており、ボルボが30万元台後半以上の価格設定にした場合、スペックだけでは訴求が難しくなる。逆に30万元以下に抑えれば、ブランド力を武器にZeekrやBYDの上位モデルから顧客を奪える可能性がある。

800V充電と日本のCHAdeMO——350kW性能を活かせるか

現時点でボルボ・カー・ジャパンからEX90・ES90の日本導入に関する公式発表はない。ただし、ボルボは日本でXC40 RechargeやC40 Rechargeを販売しており、EV展開の実績がある。EX90はグローバルモデルとしてすでに欧米で展開中で、日本への投入も現実的だ。中国生産モデルが日本に入るかどうかは別の論点で、欧州生産分が割り当てられる可能性もある。

ES90が日本に来る場合、800V対応の充電インフラが課題になる。日本の急速充電器はCHAdeMO規格が主流で、現在の設置数は約1万基。出力は50kW〜90kWが大半で、ES90の350kW充電性能をフルに活かせる環境は極めて限られる。150kW超の高出力充電器の整備は進んでいるものの、普及には時間がかかる。この壁はBYDのSEALやATTO 3など、日本で販売中の中国EV勢にとっても同じだ。充電インフラの整備速度が、ボルボも含めた高性能EVの日本展開を左右する共通のボトルネックになっている。

4月15日の99周年イベントでは、EX90・ES90の中国市場向け価格と発売時期が発表される見通しだ。中国での価格帯が判明すれば、グローバル展開の価格戦略、そして日本導入の現実味も見えてくる。

出典

BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

BYD・中国EVの最新ニュースを日本語で配信。海外の1次ソースをもとに、日本の読者に向けた独自記事を毎日更新しています。