百度Apollo Go無人タクシーが武漢で一斉停止 – 安全機構が作動か
武漢の高速道路上で無人タクシーが突然動かなくなった
中国・武漢市で3月31日夜、百度(バイドゥ)の自動運転(関連: NIOの2026年新モデル)タクシー「Apollo Go」が一斉に走行不能となるトラブルが発生した。高架道路上で立ち往生した車両もあり、乗客が取り残される事態に発展している。
地元メディアの報道によると、異変が起きたのは午後9時ごろ。複数のApollo Goが路上で突然停止し、武漢市の交通警察には緊急通報が相次いだ。警察は直ちに現場へ急行し、乗客は全員無事に降車。けが人は出ていない。
武漢市交通警察は声明で、今回の一斉停止は「システム障害」が原因との初期調査結果を発表した。一方、Apollo Goのカスタマーサービスは地元メディアに対し、「ネットワークの問題による走行システムの異常」と説明している。百度本体からの公式声明は、現時点で出ていない。
業界関係者「安全自己チェック機構が作動した可能性」
中国メディア「澎湃新聞(The Paper)」が業界関係者の見解として報じたところでは、想定外の状況が発生した際に車両が自動的に停止する「安全自己チェック機構」が作動したとみられる。システムが安全を確保するための能動的な対応であり、自動運転業界の発展過程ではこうした事象は珍しくないという。
実際、2025年12月には米サンフランシスコでGoogleのWaymo無人タクシーが同様の停止トラブルを起こしている。停電で信号機が機能しなくなったことを受け、「最小リスク状態(Minimal Risk Condition)」戦略が発動されたのが原因だった。
自動運転車は想定外の事態に遭遇すると、走行を継続するより安全に停止する方を選ぶ設計になっている。人間のドライバーなら状況を判断して走り続けられる場面でも、機械は「止まる」を選択する。今回の武漢の件も、この設計思想が大規模に表面化した格好だ。
Apollo Goの事業規模と百度の自動運転戦略
百度が自動運転技術の開発に乗り出したのは2013年。中国企業としては最も早い参入組の一つだ。Apollo Goのサービスは現在、世界26都市に展開されており、2026年2月時点の累計注文数は2,000万件を突破した。百度の決算報告によるものだ。
成長のペースも目を引く。2025年第4四半期の完全無人運転による配車注文は340万件に達し、前年同期比で200%超の伸びを記録した。そして今回のトラブルが報じられた前日には、ドバイでの完全無人商用運行の開始をアナウンスしたばかりだった。なお、UAE での運行は先月、地域紛争の影響で一時停止されていた。
日本のロボタクシー議論にも影響か
日本でも自動運転タクシーの実用化に向けた議論は進んでいる。2025年4月施行の改正道路交通法でレベル4(特定条件下の完全自動運転)の公道走行が認められ、各地で実証実験が行われている段階だ。
今回の武漢での一斉停止は、自動運転の「フェイルセーフ」設計が都市交通に与えるリスクを浮き彫りにした。1台が止まるのと、数十台が同時に止まるのでは、社会的インパクトがまったく異なる。日本で本格導入を進める際にも、こうした大規模障害への備え——代替交通手段の確保や、遠隔オペレーターによる即時介入体制——が不可欠になるだろう。
百度は今回の問題がすでに解決済みであり、Apollo Goの運行は再開していると発表した。ただ、乗客が高架道路上で取り残されたという事実は重い。自動運転技術の社会実装には、技術の信頼性だけでなく、トラブル発生時の対応力が問われることを改めて示した出来事だ。