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BYD シーライオン08が北京モーターショーで初公開 – ブレードバッテリー2.0で航続1,000km超へ

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BYD: BYD シーライオン08が北京モーターショーで初公開 – ブレードバッテリー2.0で航続1,000km超へ

航続1,000km超、充電5分——BYDがOceanシリーズの最上位SUV「シーライオン08(Sealion 08)」を、2026年4月の北京モーターショーで初公開する。第2世代ブレードバッテリーとフラッシュチャージ技術を搭載し、LFPバッテリーの性能限界を塗り替える1台だ。

第2世代ブレードバッテリーの実力

シーライオン08最大のトピックは、第2世代ブレードバッテリー(Blade Battery 2.0)の採用だ。初代ブレードバッテリーはLFP(リン酸鉄リチウム)セルを刀片状に配置し、CTP(Cell to Pack)構造で体積効率を高めた設計が特徴だった。ATTO 3やDOLPHIN、SEALなど日本で販売中の全モデルにも搭載されている。

日本市場では、初代ブレードバッテリー搭載車の急速充電は最大受入れ出力が85〜150kW程度で、10〜80%充電に30〜40分かかるのが実態だ。第2世代では、フラッシュチャージ技術との組み合わせにより、約5分の充電で十分な走行分を確保できるとされる。BYDが公表した「9分でフル充電」はSOC 0〜100%・常温条件下の数値で、寒冷地では追加3分程度が必要という。現行のBYD車が800Vアーキテクチャで10〜80%充電に18〜25分かかることを考えると、充電時間は大幅に短縮される。

純電動(BEV)モデルの航続距離は、中国CLTCモード基準で1,000kmを超える見込みだ。CLTCはWLTCより2〜3割長い数値が出る傾向があるため、WLTC換算では700〜800km程度になると推測される。それでも現行SEALのWLTC航続555km、SEALION 7の502kmを大幅に上回る。LFPの弱点とされてきた重量エネルギー密度を、第2世代でどこまで改善したのか。正式スペックの公開が待たれる。

5m超の大型SUV——480kW超のパワートレインと先進の足回り

車体は全長5,000mm超、ホイールベース3,000mm超。3列シートを備えるフルサイズSUVだ。格納式ドアハンドルを採用し、ルーフにはLiDARを搭載する。デザインはBYDの「Ocean Aesthetics」を踏襲し、Oceanシリーズ共通のシグネチャーライティングを備える。

パワートレインはBEVに加え、DM-iプラグインハイブリッドも用意される。スパイショットでは車体両側に給油・充電ポートが確認されており、PHEV仕様の存在が裏付けられた。BEVのAWDモデルは最高出力480kW(約644馬力)超、0-100km/h加速5秒未満を実現する。

足回りでは後輪操舵(リアステアリング)が採用される。5m超の車体でも小回りが利く設計だ。さらに、高級ミニバンDenza D9と共通のDiSus-Aシステムを搭載。デュアルチャンバーエアサスペンションに路面プレビュー機能を組み合わせ、乗り心地と走行安定性を両立する。

価格帯・競合との比較で見えるポジション

BYDの既存ラインナップでは、SEALION 7が同社のSUVフラッグシップだったが、シーライオン08はそれを上回るポジションに位置づけられる。Oceanシリーズとしてはシーライオン07のDM-iが169,800元(約350万円)からで、CarNewsChinaはシーライオン08の価格を210,000〜230,000元(約430万〜470万円)、上位グレードで250,000元(約510万円)前後と予想している。

項目 SEALION 7(日本仕様) シーライオン08(予想値)
全長 4,830mm 5,000mm超
ホイールベース 2,930mm 3,000mm超
シート 2列5人乗り 3列6〜7人乗り
バッテリー ブレードバッテリー(第1世代) ブレードバッテリー2.0
航続距離(BEV) 502km(WLTC) 1,000km超(中国CLTC推定)
最高出力(AWD) 390kW 480kW超
後輪操舵 なし あり
エアサスペンション なし DiSus-A(デュアルチャンバー)

同価格帯の中国勢と比べると、Xpeng G9(100kWhバッテリー、CLTC航続702km、中国価格263,900元〜)は充電性能でXpeng独自の480kW超急速充電に対応するが、航続距離ではシーライオン08が上回る。NIO ES8(100kWh/150kWhバッテリー交換式、CLTC航続620〜900km、中国価格468,000元〜)は価格帯が一段上で、バッテリー交換という独自のアプローチを持つ。シーライオン08はこの2台と比較して、430万〜510万円という価格で航続1,000km級・9分フル充電を打ち出しており、コストパフォーマンスで差をつけようとしている。

Oceanシリーズ拡充と日本導入の可能性

BYD Auto Japanは2023年の参入以来、ATTO 3、DOLPHIN、SEAL、SEALION 7と着実にラインナップを拡充してきた。2025年秋には小型SUV「RACCO」の投入も控える。シーライオン08が日本導入されるかは現時点で未発表だが、3列シートの大型SUVは日本で一定の市場がある。トヨタ アルファード/ヴェルファイアが年間10万台規模で売れ続け、ランドクルーザー250やマツダCX-80も堅調だ。ミニバンからSUVへの乗り換え層を中心に、3列シート×500万円前後の選択肢を探しているユーザーは少なくない。

ただし、フラッシュチャージの性能を日本で発揮するには充電インフラとの適合が課題になる。日本の公共急速充電はCHAdeMO規格が主流で、普及している充電器の最大出力は90〜150kW級が中心だ。2025年以降、e-Mobility Powerが最大400kW対応のマルチ規格充電器の展開を進めているものの、設置数はまだ限定的である。SOC 0〜100%を9分で完了するには数百kW級の受電能力が必要と見られ、日本の充電環境がどこまで整うかが導入判断を左右することになる。

シーライオン08は昨年12月のBYD Ocean Dayイベントで初めて存在が明かされ、当初は2026年第1四半期の発売が見込まれていた。北京モーターショーでの正式発表を経て、中国市場では年内に販売が始まる見通しだ。日本導入の有無は、まず中国での販売動向と充電インフラの進展次第で判断されるだろう。

出典

BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

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