中国NEV販売、4月第1週は前年比24%減 – 季節要因か需要変調か
8万6,000台——中国の新エネルギー車(NEV)小売販売台数が、4月最初の1週間で記録した数字だ。前年同期比で24%の減少。第1四半期に勢いを見せていた中国EV市場だが、4月に入って急ブレーキがかかった格好となる。
4月第1週の販売データを読む
中国乗用車協会(CPCA)が発表した4月1日〜6日のデータによると、NEV小売販売は8万6,000台で前年同期比24%減。ただし3月の同時期と比べると3%増とわずかに持ち直している。
より深刻なのは乗用車市場全体の落ち込みだ。同期間の乗用車小売販売は14万9,000台にとどまり、前年同期比29%減、前月同期比でも20%減となった。NEVに限らず、自動車市場全体が冷え込んでいることがわかる。
卸売データはさらに厳しい。NEVの卸売台数は7万3,000台で前年同期比39%減、前月同期比でも14%減。小売の浸透率57.7%に対し、卸売の浸透率は47.5%と10ポイント以上の開きがある。メーカー側が在庫の積み増しよりも消化を優先していることを示しており、市場に対する慎重姿勢がうかがえる。
清明節と「Q1の反動」という二重の要因
CPCAはこの落ち込みの主因として、清明節(4月4〜6日)の連休を挙げている。販売やナンバー登録に使える実稼働日が減ったことが直接的に響いた。昨年も清明節は同じ日程だったが、今年は第1四半期末の駆け込み需要の反動が重なった点が異なる。
過去の清明節期間を振り返ると、2024年も同時期に週次販売が15〜20%程度落ち込んだ後、月後半で急回復するパターンが見られた。今年の24%減はそれよりやや大きいが、Q1に政府の買い替え補助金が駆け込み需要を生んだ分、反動も大きくなったと読める。
マクロ経済の逆風も無視できない。国際原油価格の高止まりと国内株式市場の下落が、消費者心理を冷やしている。「様子見」の空気が広がっているとCPCAは分析する。
浸透率57.7%が示す構造的な底堅さ
ただし浸透率に目を向けると景色が変わる。NEVの小売浸透率は57.7%と、歴史的な高水準を維持している。販売台数が減っても、新車購入者の6割近くがNEVを選んでいるという事実は変わらない。電動化のトレンド自体は揺らいでいない。
中国商務部のデータでは、第1四半期の自動車買い替え補助金の申請件数は140万8,000件に達した。政府の補助政策が引き続き下支え役を果たしている。
Q1の主要メーカーの動きも底堅さを裏付ける。BYDは2026年第1四半期に約100万台を販売し、前年同期比で約30%増を達成した。テスラの中国販売が伸び悩むなか、BYDとの差は四半期ごとに広がっている。小鵬(Xpeng)もMONA M03の好調で前年比2倍近い伸びを見せており、中堅メーカーの成長も続いている。
4月後半に回復の兆しはあるか
CPCAは4月後半に向けて、小売販売が徐々に安定・回復するとの見通しを示している。根拠のひとつが、4月下旬に控える北京モーターショーの波及効果だ。新型車の集中投入が消費者の購買意欲を刺激するとの期待がある。
ただし、足元のマクロ環境が急速に改善する材料は見当たらない。BYDをはじめとする主要メーカーが価格攻勢を強めるのか、あるいは利益率を優先して慎重に構えるのか。4月の月間データが出そろう5月初旬が、ひとつの判断材料になる。
バッテリー調達コストへの連鎖
日本のEV市場はBEV比率がようやく3%台に乗ったところで、中国の57%超とは次元が異なる。しかし中国市場の需要変動は、バッテリー原材料の価格やサプライチェーンを通じて日本にも波及する。中国での販売減速が続けば、炭酸リチウムのスポット価格に下押し圧力がかかり、日本メーカーのバッテリー調達コストにも数カ月遅れで影響が出る。5月の月間データで「一時的な踊り場」だったのか「構造的な減速」なのかがはっきりする。