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マニラオートショー2026 – 中国EVが席巻、日本勢は不在

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中国EV: マニラオートショー2026 – 中国EVが席巻、日本勢は不在

日本メーカーの姿がない——2026年マニラ国際オートショー(MIAS)の出展者リストを眺めて、まず目を引くのはその事実だ。4月9日から12日にかけてフィリピン・ワールドトレードセンターで開催される今年のMIASは、展示スペースを前年比3,000平方メートル拡大。電動車の存在感が過去最大となった会場を埋めるのは、BYD、GAC、Geely、Chery、GWMといった中国勢である。

中国メーカーが出展の主役に

今回のMIASで目立つのは、中国OEMの多層的な展開だ。BYD、GAC、Geelyといった大手に加え、AITO、Deepal、Denza、Lynk & Coなどサブブランドも参加している。プレミアムから量販帯まで、価格セグメントをきめ細かくカバーする戦略が鮮明になった。

欧州勢はBMW、MINI、Lotusが選択的に出展するにとどまる。韓国からはKiaが参加し、EV5を現地初公開した。88.1kWhバッテリーで航続約550kmという実用的なスペックを引っさげての登場だ。一方、Teslaはフィリピンで小売・サービス拠点を展開済みだが、直販モデルのためオートショーには出展しない。

そして日本の大手OEMは軒並み不在。次の登場は2026年フィリピン国際モーターショー(PIMS)になる見通しだという。日本メーカーがMIASを見送った背景には、年内のPIMSに出展リソースを集中させる判断がある。ただし、ASEAN市場で長年トップシェアを握ってきたメーカーが主要オートショーの一つを丸ごとスキップすること自体、優先順位の変化を物語っている。トヨタは2026年後半にASEAN向けBEV2車種の投入を予告しており、日産・三菱もタイ拠点を軸にPHEV拡充を進めている最中だ。PIMSでの巻き返しを図る構えだが、その間にショーフロアでの存在感は中国勢に譲った格好になる。

BEVからPHEV、商用車まで——電動車の全方位展開

BEVではBYDがSealion 7を展示予定。Aion UTや長安(Changan)Luminなど、幅広い価格帯の車種が出揃う。高級路線のDenzaから実用重視のDeepalまで、一つのグループ内で市場を細分化できる体制が整っている。

PHEVも充実している。Geely EX5 EM-iは1.5Lエンジンと18.4kWhバッテリーを組み合わせ、EV走行100km超、総合航続約1,000kmを実現した。充電インフラが未整備な地域でも安心して使えるPHEVは、ASEAN市場の実情に即した選択肢だ。BAICやJetourはSUV・ユーティリティ領域にPHEVを投入し、GWMやGACも大型車向けのプラグインハイブリッドを揃えている。

従来型ハイブリッド(HEV)も健在だ。GAC GS8 HEVやEmkoo Hybridなどが展示される。JaecooやOmodaも製品ラインナップ全体にハイブリッド化を組み込んでおり、BEV一辺倒ではなく段階的な電動化が同時並行で進む。

商用分野ではFoton(福田汽車)が都市物流向けのHarabas EVやTransvan EV、航続500km超のThunder EVピックアップを出展する。固定ルートで運行され拠点充電で済む商用車は、充電インフラ不足の影響を受けにくい。総所有コスト(TCO)で内燃機関車を下回れば切り替えは加速する。

インフラの壁とASEANで進む構造変化

製品が揃うことと普及することは別の話だ。充電インフラの整備、販売・サービス体制の構築、自動車ローンの条件、EVの残価設定——これらのピースが欠けたままでは、電動車はアーリーアダプター層にとどまる。

ただし、中国勢の攻勢はフィリピンに限った話ではない。タイでは2025年のBEV販売の約8割を中国ブランドが占め、BYD単独でも約3万台を販売した(CleanTechnicaが引用するタイ電気自動車協会=EVAT の2025年登録統計による)。インドネシアでも五菱(Wuling)のAir EVが小型BEV市場を切り開き、ガイキンド(GAIKINDO=インドネシア自動車工業会)の2025年通年販売統計によれば中国EVのシェアは急伸している。両国ともに日本メーカーの全体シェアが数ポイント単位で縮小に転じた。

フィリピンの新車市場では依然としてトヨタが約4割のシェアを握る。しかし報道によると、2025年に中国ブランドの合計シェアは初めて10%を突破した。マニラのショーフロアから日本車が消えた光景は、この地域全体で進行中の構造変化の一断面だ。

2026年後半のPIMSで日本メーカーがどう出るか——その頃にはショーフロアの勢力図がさらに変わっているかもしれない。

出典

  • Op-Ed: Chinese EV Brands Overwhelm The Manila Auto Show 2026(CleanTechnica、2026年4月7日)
  • タイ電気自動車協会(Electric Vehicle Association of Thailand=EVAT) 2025年BEV登録統計
  • ガイキンド(GAIKINDO=インドネシア自動車工業会) 2025年通年販売データ
BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

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