NIO

NIO ES9プレミアムSUV デビュー間近 – 株価5カ月ぶり高値の背景

5分で読める
NIO: NIO ES9プレミアムSUV デビュー間近 – 株価5カ月ぶり高値の背景

香港市場でNIOの株価が2025年11月以来、約5カ月ぶりの高値をつけた。CnEVPostの報道によると、4月9日時点で前日比2.56%高のHK$52.05。2月末の安値HK$34.82から約50%の反発となる。同日、Xpengはマイナス4.38%、Li Autoもマイナス0.89%と軟調で、NIOの独歩高が際立つ。

背景にあるのは、第3世代ES8の納車回復と、NIO史上初の四半期黒字化だ。そこに加わるのが、同社最大のSUV「ES9」のデビューである。

ES9の全貌——全長5.3m超のフルサイズBEV

ES9は全長5,365mm、ホイールベース3,250mmという巨体で、第3世代ES8をも上回る。フロントには「シャークノーズ」と呼ばれる新世代のファミリーデザインを採用し、プレミアム感を強調した。

パワートレインは前後デュアルモーターで最高出力520kW、最大トルク700Nm。バッテリーはCATL製102kWhパックを搭載し、航続距離は最大620kmを確保する。室内には15.6インチAMOLED浮遊式センターコンソールスクリーンを配置し、独自開発のSkyOS車載OSを搭載する。

自社開発チップとSkyRideシャシー

ES9の技術的な核心は、NIOが内製した自動運転支援チップ「Shenji NX9031」と、SkyRideシャシーシステムにある。NIOはこれまでNvidiaのOrinチップに依存してきたが、自社チップへの移行はライセンスコストの削減だけでなく、ソフトウェア更新のサイクルを自社でコントロールできる点が大きい。Nvidiaとの関係は完全な決別ではなく、クラウド側の学習インフラでは引き続き協業するとみられるが、車載側の主導権を握る意味は小さくない。

3月に公開された冬季テスト映像では、マイナス30℃環境での走行性能と、時速150kmでのタイヤバースト試験をクリアする様子が記録された。さらに小型EVのFireflyとの比較映像では、5.3m超のボディながらコンパクトカー並みの最小回転半径を実現することが示された。巨体と俊敏性の両立は、日常使いでの取り回しを重視する層への訴求力になる。

バッテリー交換「BaaS」の現在地

NIOの最大の差別化要素であるバッテリー交換サービス「BaaS」は、2026年4月時点で中国国内に約3,100カ所のステーションを展開している。交換所要時間は約3分。月額利用料は980〜1,680元(約1.4万〜2.5万円)で、バッテリーを「所有しない」選択肢を提供する。

ただし課題もある。ステーション1基あたりの1日平均交換回数は十数回にとどまり、採算ラインとされる50回には遠い。ES9のような高価格帯モデルの顧客がBaaSを積極的に利用すれば稼働率改善に直結するため、NIOにとってES9は車両販売とサービス収益の両面で重要なモデルとなる。

価格と市場ポジション

NIOの現行最上位モデルはセダンのET9で、価格は76.8万元(約1,124万円)から。ES9のプレセール価格は4月9日夜(北京時間19時)のテックイベントで発表される。CnEVPostによると、展示車はすでに中国各地の店舗に到着済みだ。正式な市場投入は5月下旬、初回の顧客納車は6月1日開始の予定。4月24日開幕の2026年北京モーターショーでの展示も見込まれている。

ES9が狙うのは、BMW iXやメルセデスEQS SUVが占めるフルサイズプレミアムBEV SUVの領域だ。日本ではBMW iX xDrive50が1,198万円から、メルセデスEQS 450 SUVが1,599万円からで販売されている。ES9の価格がET9と同水準の70万元台であれば、為替換算で約1,000万〜1,100万円相当となり、欧州勢より割安なポジションに収まる可能性がある。

BYDは唐やU8で大型SUVセグメントをカバーするが、価格帯とブランドポジションは明確に異なる。BYDがボリュームゾーンでのコストパフォーマンスを武器にするのに対し、NIOはテクノロジーとサービス体験を前面に出す。XpengのG9もプレミアムSUVだが、全長4,891mmとES9よりひと回り小さく、隣接セグメントに位置する。

NIOは現時点で日本市場への参入時期を公表していない。ただし2025年にはUAEとインドネシアへの進出を果たしており、右ハンドル市場への対応も進めている。日本のプレミアムEV SUV市場は欧州ブランドがほぼ独占しており、NIOが参入すれば価格面で風穴を開ける余地はある。

四半期黒字を達成したばかりのNIOにとって、ES9の成否は月販5,000台ラインを安定的に超えられるかどうかにかかっている。プレセール価格の発表で、その見通しがはっきりする。

出典

BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

BYD・中国EVの最新ニュースを日本語で配信。海外の1次ソースをもとに、日本の読者に向けた独自記事を毎日更新しています。