バッテリー技術

日産リーフ171台リコールとEVバッテリー類焼試験 – 安全対策の現在地

3分で読める
バッテリー技術: 日産リーフ171台リコールとEVバッテリー類焼試験 – 安全対策の現在地

日産リーフが高電圧バッテリーの不具合で171台のリコールを届け出た。同時期に、バッテリー評価の専門企業ケミトックスがEV向け「類焼試験」サービスを開始している。EVの普及が進む中、バッテリー安全性をめぐる動きが活発化している。

リーフのリコール——製造工程の不備が火災を招く

日産自動車は3月26日、フル電気自動車「リーフ」のリコールを国土交通省に届け出た。対象は2025年12月1日から2026年3月7日に製造された171台。高電圧バッテリーパック内部のセルに使用される電極板の製造工程に問題があった。

具体的には、電極板の製造過程で発生した破片がセルに付着。充放電を繰り返すうちにモジュール内部で短絡が発生し、バッテリーが異常発熱するおそれがある。最悪の場合は火災につながる。実際に不具合が2件発生し、うち1件は火災に至っている。

改善措置として、全対象車両のバッテリーパックまたはモジュールを良品に交換する。部品の準備が整うまでは車両を預かる対応となる。台数は171台と限定的だが、火災事例が出ている以上、迅速な対応が求められる局面だ。

「類焼試験」とは何か——セル1つの暴走が全体に広がるかを見る

リチウムイオン電池の評価試験を手がけるケミトックスは、EVや産業用蓄電システム向けに「類焼試験(Thermal Propagation Test)」の受託サービスを開始した

通常、バッテリーパックはBMS(バッテリーマネジメントシステム)が過充電や過放電を防いでいる。しかし、セル内部に微小な異物が混入して内部短絡が起きると、電気的な制御では対処しきれない熱暴走が発生する。リーフのリコール事例はまさにこのパターンに該当する。

類焼試験が確認するのは、1つのセルが熱暴走を起こした際に、隣接セルへ熱が伝播するかどうかだ。セル単体の異常を完全に防ぐことは難しい。だからこそ、暴走が「飛び火」しない設計になっているかを検証する試験が重要になる。火災の規模を決めるのは、最初の発火そのものよりも、それが周囲に広がるかどうかだからだ。

EVバッテリー安全性の課題——製造品質と設計の両面

今回のリーフのケースは、製造工程で生じた電極板の破片という物理的な異物が原因だった。BYDが採用するブレードバッテリー(LFP)は熱暴走が起きにくい化学組成を特徴とするが、製造工程の異物混入リスクはセルの化学種を問わず存在する。BASFが難燃TPUの現地生産を進めているように、素材面での安全対策も並行して進む。

バッテリー安全性は「セルの化学的安定性」「製造品質」「パック設計(類焼防止)」の3層で成り立つ。どれか1つが欠ければ事故につながる。ケミトックスの類焼試験サービス開始は、国内でこうした第三者検証のインフラが整いつつあることを示している。

日産は対象車両の部品交換を進める。ケミトックスの試験サービスは、EVメーカー各社やバッテリーサプライヤーからの需要が見込まれる。EV市場の拡大とともに、安全性の検証体制も追いつく必要がある。

出典

BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

BYD・中国EVの最新ニュースを日本語で配信。海外の1次ソースをもとに、日本の読者に向けた独自記事を毎日更新しています。