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Xiaomi、テスラ元幹部を欧州物流責任者に起用 – SU7海外展開が本格始動

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中国EV: Xiaomi、テスラ元幹部を欧州物流責任者に起用 – SU7海外展開が本格始動

スマートフォンで世界3位のシェアを持つXiaomi(小米)が、自動車事業の海外展開に向けた人材採用を進めている。テスラの元従業員を、Xiaomi Auto(小米汽車)の欧州におけるデリバリー・物流部門の責任者に起用したことが明らかになった。

テスラ出身者の起用とBYDとは異なる欧州戦略

36氪の報道によると、このテスラ出身者がXiaomi Autoの欧州向け納車・物流オペレーションを統括する。テスラは欧州市場で独自の直販・デリバリー網を築き上げた実績があり、その経験を持つ人材の獲得は、Xiaomiにとって欧州進出の準備期間を大幅に短縮する一手となる。

Xiaomiは2024年3月にSU7を中国国内で発売して以降、月間2万台を超える販売を安定的に記録してきた。2025年にはSU7 Ultraやコンパクトモデルの投入で製品ラインを拡充し、欧州市場への進出が業界内で取り沙汰されていた。今回の人事は、その計画が実行段階に入ったことを示している。

中国EVメーカーの欧州進出では、BYDが先行事例だ。BYDは現地ディーラー網との提携を軸に展開し、ハンガリーに自社工場の建設も進めている。伝統的な自動車メーカーに近い手法をとる。対してXiaomiが志向するのは、テスラ型の直販モデルだ。自社のオンラインストアとリアル店舗「Xiaomi Home」のネットワークを活用し、スマートフォン販売で培った消費者との直接的な接点を自動車にも広げる。欧州にはすでにXiaomiのスマホ・家電向け販売拠点が多数あり、この既存インフラが他の中国EVメーカーにはない足場になる。テスラ出身者を物流責任者に据えたのは、直販体制に不可欠な納車オペレーションのノウハウを内製化するためだろう。

SU7の製品力と欧州市場のハードル

SU7は中国での販売価格が21万5900元(約450万円)からで、航続距離はCLTC基準で最大830km。欧州市場で直接競合するのはテスラModel 3(約4万ユーロ〜)やVW ID.7(約5万ユーロ〜)あたりのセグメントだ。スペック面ではModel 3に並ぶ水準だが、欧州向け価格はEUの追加関税次第で大きく変わる。

そのEUの関税が最大の障壁になる。2023年に開始された中国製EVに対する追加関税は、BYDには17.0%、その他メーカーには最大35.3%が課されている。Xiaomiも同様の負担を避けられない。現地生産の検討は不可避だ。加えて、欧州の消費者はブランドの歴史や信頼性を重視する。テスラはEVの先駆者というポジションでブランドを確立したが、Xiaomiは「スマホメーカーが作った車」という認知からのスタートになる。SU7の製品力だけでなく、アフターサービス体制の構築も急務だ。

Xiaomi Homeの日本店舗網は自動車販売に転用できるか

Xiaomiはスマートフォン事業ではすでに日本市場に参入しており、SIMフリー端末を中心にユーザー基盤を築いている。東京・大阪などにXiaomi Homeの実店舗も構える。欧州での自動車販売が軌道に乗れば、同じ直販モデルを日本に持ち込む選択肢が生まれる。ただし日本には独自の型式認証制度があり、国土交通省の審査をクリアするには現地での走行試験や排ガス・安全基準への適合が必要だ。BYDはこのプロセスに1年以上を費やしている。

Xiaomiの雷軍CEOは、SU7の開発にあたって自動車業界から大量の人材を採用してきた。シャシー開発にはBMW出身のエンジニア、デザインにはマツダやメルセデス出身者が参画したと報じられている。今回の欧州物流責任者の起用も、必要な知見を持つ人材をピンポイントで獲得する方針の延長線上にある。テスラは近年、中国市場でのリストラや組織再編が報じられており、経験豊富な人材が流動化している。SU7の欧州向け仕様や投入時期について、Xiaomiからの公式発表はまだない。ただ、物流体制の責任者を任命した事実は、欧州向けの準備が組織レベルで進行中であることを裏付けている。欧州EV市場では2025年1〜3月期にBEV販売台数が前年同期比約25%増と回復しており、中国メーカーにとって参入の窓は開いている。

出典

BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

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