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Zeekr 007が航続905km達成 – 6C充電・900Vが示すバッテリー技術の現在地

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中国EV: Zeekr 007が航続905km達成 – 6C充電・900Vが示すバッテリー技術の現在地

4月1日付のCnEVPost報道によると、Geely傘下のプレミアムEVブランドZeekrが、改良版「Zeekr 007」および「Zeekr 007 GT」の先行予約を開始した。最大航続905km、6C超急速充電(関連: BYD Seal 06 GTのフラッシュチャージ)対応という仕様は、量産EVのバッテリー(関連: 中国のバッテリー追跡義務化)技術がどこまで来たのかを端的に示している。正式発売は4月10日。

900Vアーキテクチャへの進化

今回の改良で最も大きな変更点は、電圧プラットフォームの刷新だ。従来の800Vから900V高電圧アーキテクチャへ移行し、充電性能と駆動効率の両面で底上げを図った。バッテリーは75kWhと103kWhの2種類を用意し、103kWhパック搭載モデルで航続905kmを実現する。

900Vプラットフォーム自体は、Porsche Taycanが2019年に800Vで先鞭をつけた領域だ。ただしTaycanの最大充電出力は約270kWにとどまる。Zeekr 007は電圧をさらに引き上げたうえで充電レートも6Cまで高めており、高電圧化の「第2世代」と位置づけられる。

6C充電が量産車に載る意味

6C充電とは、バッテリー容量の6倍の電力で充電することを指す。103kWhのバッテリーなら理論上618kW級の受電能力になる計算だ。これまで5C対応セルの登場が話題になっていたが、Zeekrは量産モデルでその先を実装してきた。10%から80%までの充電時間は約10分。800V世代でも18〜25分程度が一般的だったことを考えると、実用上の「充電待ち」は大幅に短縮される。

バッテリーサプライヤーの技術競争も激化している。CATLの麒麟(Qilin)バッテリーは4C充電に対応し、エネルギー密度は255Wh/kgに達する。BYDの第2世代ブレードバッテリーもエネルギー密度を従来比で約25%向上させ、180Wh/kg前後まで引き上げた。Zeekrの6C対応は、CATLの4Cをさらに上回る充電レートであり、セルメーカーとOEMの協業による充電速度競争が次の段階に入ったことを裏付ける。

ただし、車両側が6Cに対応しても、充電インフラ側が追いつかなければ恩恵は限定的だ。中国国内ではZeekr自身やCATLなどが超高出力充電器の設置を進めているものの、600kW超の出力に対応するステーションはまだ少ない。技術的なポテンシャルと実際の充電体験には、しばらくギャップが残る。

パワートレインと知能化

駆動系はシングルモーターとデュアルモーターの2構成。シングルモーターは最高出力370kW、デュアルモーターは前軸に215kWモーターを追加し、0-100km/h加速2.73秒を記録する。先進運転支援の頭脳も世代交代し、新たにNVIDIA Drive Thor-Uチップを搭載した。中国市場ではADAS性能が購買決定に直結しており、NVIDIAの最新SoCへの切り替えは、Mobileye採用の従来モデルからの明確なステップアップとなる。

Zeekr 007 / 007 GT・日本車主要スペック比較

項目 Zeekr 007 Zeekr 007 GT 日産アリア トヨタbZ4X
バッテリー容量 75kWh / 103kWh 75kWh / 103kWh 66kWh / 91kWh 71.4kWh
最大航続 最大905km(CLTC) 最大905km(CLTC) 最大640km(WLTC) 最大559km(WLTC)
最大充電レート 6C 6C 約1.6C(150kW) 約2.1C(150kW)
電圧 900V 900V 400V 400V
価格帯 20万9,900〜29万9,900元
(約305万〜436万円)
20万2,900〜23万2,900元
(約295万〜338万円)
約539万〜860万円 約550万〜650万円

2026年3月のZeekrの販売台数は2万9,318台で前年同月比90%増。第1四半期累計は7万7,037台と好調で、改良版投入はこの勢いを維持する狙いがある。第2四半期にはフラッグシップMPV「009」の改良版も控えている。

航続905kmの先にあるもの

航続900km超の量産EVが現実になったことで、焦点は航続距離そのものから充電速度・インフラ整備・コストへ移っている。Zeekr 007の仕様は、エネルギー密度・充放電レート・高電圧化という3つの軸が同時に進化した結果だ。LFP一辺倒だった中国EV市場でも、ハイエンドセグメントでは高密度セルの採用が加速している。

上のスペック表が示すとおり、電圧・充電レート・航続距離のいずれにおいてもZeekr 007と日本勢の現行モデルには大きな開きがある。充電規格の面でも、日本のCHAdeMOは現行最大出力が400kW級にとどまり、6C充電のポテンシャルを引き出せない。日中共同で策定が進むCHAdeMO後継規格「ChaoJi」は最大900kW対応を目指しているが、国内充電器への実装はまだ先だ。

Geely・Zeekrは現時点で右ハンドル市場への本格展開を明言していないが、親会社Geelyはマレーシア(Proton経由)や英国(Lotus経由)で右ハンドル車の販売実績がある。905km・6C・900Vという数字は、日本メーカーが次期EVで超えるべき具体的な基準線として既に機能している。

出典

BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

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