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ホンダ中国販売26か月連続減 – ガソリン車依存が招く苦境

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EV市場: ホンダ中国販売26か月連続減 – ガソリン車依存が招く苦境

ガソリン車比率85%——この数字が、ホンダの中国事業が直面する問題を端的に示している。2026年3月の中国新車販売で、ホンダは前年同月比34.3%減の3万6201台にとどまった。前年割れは2024年2月から26か月連続だ。同月のトヨタも8.0%減の14万2700台と2か月連続で前年を下回り、日系メーカーの中国市場での後退が数字に表れている(日本経済新聞、2026年4月9日付)。

ガソリン車が足かせに

両社の不振には共通する背景がある。中国国内のガソリン価格高騰だ。トヨタは販売台数の39%、ホンダは85%をガソリン車が占めており、燃料コストの上昇が消費者の購買意欲を直撃した。

指標 ホンダ トヨタ
3月販売台数 3万6201台 14万2700台
前年同月比 ▲34.3% ▲8.0%
ガソリン車比率 約85% 約39%
前年割れ連続期間 26か月 2か月

トヨタはEVを含む電動車全体ではSUV人気に支えられて前年を上回ったものの、ガソリン車の落ち込みを補いきれなかった。一方、ホンダはEVのラインナップ不足がより深刻だ。予定していた新型EV「e:NP2」「e:NS2」の市場投入は当初2025年後半の予定だったが、少なくとも2度の延期を経て2026年内の投入すら不透明な状況にある。電動化の遅れがそのまま販売減に直結している。

EV戦略の空白が波及

日本経済新聞は2026年4月9日付の「記者の目」で「ホンダEV頓挫の代償」と題した分析記事を掲載した。記事は「EVに傾斜する戦略を見直したことで巨額損失の計上にとどまらず、主力の北米市場で目先売り出す新車が見当たらなくなった」と指摘する。中国でのEV計画の遅延が、北米を含むグローバルの商品投入スケジュールにも玉突き的に影響しているかたちだ。

ホンダは2024年4月に中国向けEV新ブランド「烨(Yè)」シリーズを発表し、烨S7・烨P7など複数車種の投入を予告した。しかし発表から2年が経過した現在、烨シリーズで量産・市販に至った車種はごくわずかにとどまる。コンセプト段階では先進的なデザインと知能化技術を打ち出したが、実際の販売台数は月間数百台規模とBYDやNIOの足元にも及ばない。ブランドの認知度向上と販売網の整備が追いついていない。

財務面に忍び寄る影

こうした事業見通しの不透明さは財務面にも影を落とす。2026年3月期の配当予想は年70円で据え置かれているが、証券アナリストからは「業績低迷を考慮すると余裕があるわけではない」との見方が出ている。3月中旬の記者会見で財務担当役員は「安定配当に努める」と述べたものの、高配当を期待して保有を続ける個人投資家にとっては不安材料が増えている。

合弁事業の縮小が進む

販売不振の影響は生産体制にも及んでいる。ホンダは中国で広汽ホンダと東風ホンダの2つの合弁会社を展開するが、2024年末に広汽ホンダの第4工場を閉鎖し、年間生産能力を約5万台分削減した。東風ホンダでも一部ラインの稼働率を引き下げており、かつて年間150万台以上あった中国全体の生産能力はフル活用には程遠い。さらに、両合弁の統合や一方の縮小を含む再編案が社内で検討されているとの報道もあり、ホンダの中国事業は量の縮小だけでなく体制そのものの見直し局面に入りつつある。26か月連続の販売減という数字は、工場の固定費負担という形でも収益を圧迫し続けている。

その間にも、中国市場のEVシフトは加速している。BYDは2025年に年間販売台数約427万台を記録し、コンパクトセダンのQin Plusは約7万元(約147万円、1元≒21円で換算)台からとホンダのシビックやフィットと直接競合する価格帯を押さえた。中国国内ではプラグイン車(BEV+PHEV)の新車販売比率が50%を超える月も珍しくなくなり、中国政府も2026年にNEV購入補助金を継続。消費者のEV移行を政策面でも後押ししている。

ホンダが中国で販売するEVは現時点で実質2車種。対するBYDは10車種以上のEV・PHEVを展開する。この車種数の差を、ホンダはe:NP2の1台で埋めなければならない。延期が重なるe:NP2の想定価格帯は15万〜20万元前後とされるが、この価格帯にはすでにBYD Seal、Xpeng P5、NIO ET5といった競合がひしめく。仮に2026年内に発売できたとしても、26か月分の空白は埋まらない。価格とソフトウェアの両面で中国メーカーと互角に戦えなければ、ホンダの中国シェアはさらに縮小する。

出典

BLADE NOTE編集部
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