EV市場

2025年度の国内EV販売26.7%増——補助金格差の実態とBYDの苦戦

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EV市場: 2025年度の国内EV販売26.7%増——補助金格差の実態とBYDの苦戦

国内EV販売が7万2527台に達した。前年度比26.7%増、1〜3月期は四半期として過去最高を記録している。ただし乗用車全体に占めるEVの比率は1.9%。数字だけ見れば「復調」だが、その内実には補助金政策が生んだ歪みが透けて見える。

N-BOXが5年連続首位、変わらない日本市場の構図

日本自動車販売協会連合会と全国軽自動車協会連合会が発表した2025年度の新車販売ランキングは、見慣れた顔ぶれが並んだ。首位はホンダN-BOXで19万8893台(前年度比5.6%減)。5年連続のトップだ。2位スズキ・スペーシア、3位トヨタ・ヤリスと続き、ダイハツを含むトヨタグループがトップ10のうち7車種を占めた。

4位に躍り出たダイハツ・ムーヴは前年度の認証不正問題で23位まで沈んでいたが、2.1倍の13万2969台と大幅に回復した。

トップ10にEV専用車は1台もない。軽自動車とコンパクトカーが上位を独占する構図は、日本の消費者が「手頃な価格」と「実用性」を最優先している現実を映し出している。

EV補助金の差がトヨタとBYDの明暗を分けた

日経新聞(2025年4月報道)は「EV復調、トヨタけん引」と報じた。2025年1月にCEV補助金の制度が改定され、トヨタ車の補助額が引き上げられたことが追い風になったという。一方でBYDは補助額の差が響き、販売が伸び悩んだとされる。

現行のCEV補助金制度では、国の補助金だけでもメーカー間に差がある。さらに自治体独自の上乗せ補助や、メーカーの下取り支援策を含めた「実質的な購入支援額」の総額では、トヨタ車とBYD車で数十万円の開きが生じるケースがある。以下は国のCEV補助金の比較だ。

メーカー/車種 CEV補助金額 車両価格帯
トヨタ bZ4X 最大85万円 550万〜650万円
BYD DOLPHIN 65万円 363万〜407万円
BYD ATTO 3 65万円 440万〜470万円
BYD SEALION 7 65万円 528万〜620万円

国の補助金だけで20万円の差。これに自治体補助の差額や販売店でのサポート施策が加わると、消費者が実際に感じる「お得感」の差はさらに広がる。車両本体価格が300万〜500万円台のEVにとって、この差は購入判断を左右するには十分だ。

BYDは2024年度に約3,500台を販売し、前年比75%増の勢いがあった。しかし2025年度は車種別に見ると、DOLPHINが価格の手頃さから一定の需要を維持した一方、ATTO 3は競合SUVの増加もあり苦戦したとみられる。BYD Auto Japanは2026年時点で国内約100店舗体制を整えているが、販売網の拡充だけでは補助金の差を埋められなかった。

1.9%の壁——補助金は普及策か産業保護か

7万2527台は過去最高水準だが、乗用車販売全体の1.9%にすぎない。

国・地域 EV/NEV比率
中国 50%超(NEV)
欧州 約15%
日本 1.9%

こうした状況でEV補助金にメーカー間で大きな差をつけることには異論もある。補助金の本来の目的はEV普及の促進だ。特定メーカーに有利な設計になれば、消費者の選択肢を狭め、結果的に普及のペースを鈍らせるおそれがある。BYDのDOLPHINは補助金適用後で約298万円からと、国産EVと比較しても価格競争力が高い。補助金の条件が対等であれば、EV市場全体のパイがもう少し大きくなっていた可能性はある。

ガソリン補助の限界とBYDの次の一手

毎日新聞(2025年4月報道)は「ガソリン補助2カ月で枯渇か」と報じている。政府の1兆円基金によるガソリン価格抑制策が早期に資金切れとなる見通しだ。ガソリン価格が上昇すれば、EVの経済的メリットは相対的に高まる。トヨタは次世代BEVを2026年に投入予定、ホンダは0シリーズを北米から展開し、日産は次期リーフを準備中。国内メーカーのEVラインナップが充実するタイミングと、ガソリン補助の終了が重なる。

BYDも2025年秋に300万円台前半の小型SUV「RACCO」を投入する。軽自動車が市場を支配する日本で、実質200万円台のEVがどこまで食い込めるか。CEV補助金の次回改定は2026年度初頭の見込みで、RACCOの発売時期とほぼ重なる。この秋以降の販売データが、補助金政策の効果と限界の両方を数字で示すことになる。

出典

BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

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