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VWとXpengが共同開発 – ID. UNYX 08が示す中国EV協業の新モデル

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中国EV: VWとXpengが共同開発 – ID. UNYX 08が示す中国EV協業の新モデル

フォルクスワーゲン(VW)とXpeng(小鵬汽車)の共同開発車両「ID. UNYX 08」が、4月16日に中国市場で正式発売される。VW乗用車ブランド中国のCEO、ロバート・チセク氏がWeiboで明らかにした。2023年7月の7億ドル出資発表から約33カ月。従来の自動車開発サイクルと比べれば短いが、中国の新興EVメーカー同士の開発競争ではむしろ標準的なペースでもある。

ID. UNYX 08の全容

車体サイズは全長5,000mm×全幅1,954mm×全高1,688mm、ホイールベース3,030mm。ミッドからラージクラスのSUVだ。800V高電圧SiCプラットフォームを採用し、CATLが供給するLFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーを搭載。航続距離は最大730kmに達する。

技術面では、Xpengが提供するTuringスマートドライビングチップを2基搭載している点が大きい。Xpengの第2世代VLA(Vision-Language-Action)2.0スマートドライビングソリューションにより、高速道路と市街地の両方でナビゲーション連動の運転支援機能を実現する。VWが自社開発ではなく、中国の新興メーカーからADASの中核技術を調達するという判断の産物だ。

3月26日から先行予約を開始しており、価格帯は23万9,900元(約499万円)から29万9,900元。同クラスの中国市場向けBEV SUVと以下のように競合する。

車種 価格帯(万元) 航続距離(km) 全長(mm)
ID. UNYX 08 23.99〜29.99 最大730 5,000
テスラ Model Y 24.99〜35.49 最大593 4,751
ヒョンデ Ioniq 5 20.98〜27.58 最大600 4,635
Xpeng G6 20.99〜27.69 最大755 4,753

航続距離730kmとXpeng由来のADAS機能を搭載しつつ、VWブランドの信頼性を打ち出すのが差別化の軸となる。

7億ドル出資と「in China, for China」戦略

VWがXpengへの7億ドル出資を発表したのは2023年7月26日。当初の目的は中国市場向けBクラスBEV2車種の共同開発だったが、提携範囲はその後も拡大を続けている。

この提携の構図は、従来の中国合弁事業とは根本的に異なる。かつてVWが中国で合弁パートナーを選んだのは、市場参入のための規制対応が主な理由だった。しかしXpengとの協業は、VW自身が持たない技術——特にADAS(先進運転支援)とソフトウェアの開発力——を獲得するためのものだ。Xpengは中国の新興EVメーカーの中でもNGP(Navigation Guided Pilot)をはじめとする自動運転技術に強く、VWのEEA(電気電子アーキテクチャ)プラットフォームにもその技術が組み込まれる。

生産拠点は安徽省合肥市のフォルクスワーゲン安徽工場。2017年にVWと安徽江淮汽車集団(JAC)が設立した合弁会社で、VWとして中国初の新エネルギー車(NEV)専用合弁だ。中国市場の消費者が求める機能——高度な運転支援、音声操作、OTAアップデート——を現地パートナーの技術力で実装する。VWが自社のMEBプラットフォームで伸び悩んだ中国市場において、現地企業との深い技術連携で巻き返しを図る形だ。VWの中国におけるBEV販売台数は2025年に約19万台と、市場全体の成長ペースには追いついていない。

ソフトウェア開発力で広がる差

VW-Xpeng提携が浮き彫りにするのは、グローバル自動車メーカーがソフトウェア開発力で中国勢に後れを取っている現実だ。VWほどの巨大企業が、自社開発ではなく中国の新興メーカーから技術供与を受ける選択をした。VWは自社ソフトウェア子会社CARIADに数十億ユーロを投じたが、開発の遅れが続いていたことも背景にある。

日本メーカーも同様の課題を抱える。トヨタは2026年以降の次世代BEV投入を計画し、ホンダは0シリーズで北米から展開する方針だが、ADASやソフトウェアの領域では中国勢との差が指摘されている。スバルはトヨタと共同でBEV開発を進め、日産はアリアを展開中だが中国市場でのシェアは2020年の約6%から急落した。一方、VWは「自社で全てをまかなわない」という選択をした。特定の技術領域で中国企業と深く組むアプローチだ。

ID. UNYX 08の中国市場での売れ行きが、このモデルの有効性を測る最初の指標になる。先行予約の状況や、4月16日の発売後の初月販売台数に注目したい。中国SUVセグメントは2025年に約800万台規模に達しており、VWがこの市場でどこまで食い込めるかが問われる。

出典

BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

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