BYD

BYD、ADAS値上げの背景 – 半導体高騰は日本価格に波及するかNEW

4分で読める

DRAM価格が2026年第1四半期だけで約90%跳ね上がった——この異常な半導体市況が、ついにEVの先進運転支援システム(ADAS)の価格に直撃し始めた。

BYD「God’s Eye」オプション価格を2割引き上げ——背景にAI需要によるメモリ高騰

BYDは、LiDAR搭載の高度運転支援システム「God’s Eye B」のオプション価格を9,900元(約20万円)から12,000元(約24万円)へ引き上げると発表した。5月1日から適用され、4月30日までに予約金を支払った顧客には旧価格が維持される。対象は王朝シリーズ、海洋シリーズ、方程豹ブランドの一部モデルだ。

値上げの理由についてBYDは「グローバルなストレージハードウェアコストの大幅な上昇」を挙げている。God’s Eyeシステムは、LiDARが取得する膨大な点群データの処理、車載AIモデルの実行、走行データの蓄積に高速メモリを大量に必要とする。つまり、DRAMやNANDフラッシュの価格変動がシステム原価に直結する構造になっている。

この半導体メモリの高騰は、自動車業界の内部要因ではない。AIデータセンターが世界のメモリ生産量の大部分を吸い上げ、車載向けの供給が圧迫されている。DRAMの契約価格は2025年末から急騰が続き、一部セグメントではさらに大きな上げ幅を記録した。アナリストはこの上昇サイクルが2027年まで続く可能性を指摘しており、短期間で沈静化する気配はない。業界分析によれば、メモリチップの価格変動はすでにバッテリーコストの変動を上回り、自動運転の展開スケジュールに影響を及ぼす最大の不確定要素になった。

BYDによると、God’s Eyeシステムの搭載台数は2026年3月時点で285万台を超えた。1日あたり約1億8,000万kmの走行データを生成しており、アルゴリズムの学習精度向上には貢献する一方、車載ストレージと処理ハードウェアへの需要も雪だるま式に膨らんでいる。今回の値上げは、半導体コスト上昇がADASのオプション価格に直接転嫁された業界初の目立った事例とされる。これまで多くのメーカーはコスト増を自社で吸収してきたが、メモリ価格の上昇幅がその許容範囲を超え始めた格好だ。

日本価格への影響は当面限定的、ただし長期化なら次期モデルに反映も

BYDは日本市場で「高機能・低価格」を最大の武器としてきた。DOLPHIN(ドルフィン)の363万円〜、ATTO 3の440万円〜という価格設定は、同クラスの国産BEVや輸入EVと比較して明確な割安感がある。2025年に投入されたRACCOは300万円台前半からのスタートで、価格競争力をさらに強化する戦略車種だ。

日本市場の競合を見ると、日産アリアのProPILOT 2.0搭載グレードは約730万円〜、スバル・ソルテラのアイサイト搭載モデルは約640万円〜と、ADAS込みの車両価格はBYDより大幅に高い。仮にBYDが中国と同等の約2割のコスト転嫁を行ったとしても、1台あたり数万円規模の上乗せにとどまり、競合との価格差は依然として大きい。

ただし、日本で販売される車両にもADAS機能は標準またはオプションで搭載されている。中国市場でのコスト転嫁が始まった以上、日本仕様車のADAS関連コストも同様の圧力を受ける。現時点でBYD Auto Japanから日本販売車種の価格改定に関する発表はない。

ここでBYDの垂直統合モデルが意味を持つ。BYDは自社でBlade Batteryを製造し、子会社のBYD Semiconductorがパワー半導体やMCUを内製している。メモリチップ自体は外部調達だが、システム全体の設計・製造を自社で完結させることで、部品選定の柔軟性が高い。競合メーカーがTier1サプライヤー経由でADASユニットを丸ごと購入するのに対し、BYDはメモリ仕様の変更やコスト配分の最適化を自社判断で素早く実行できる。この構造上の優位性が、日本市場での価格据え置きをどこまで支えられるかが焦点になる。

半導体高騰が2027年まで続くとすれば、次回モデルイヤーの価格設定には数万円単位で織り込まれる可能性が高い。それでもBYDの価格帯は国産・輸入EVの競合を大きく下回る水準を維持できる。消費者にとって重要なのは、値上げの有無そのものよりも、ADAS性能に見合った価格かどうかだ。

出典

広告
BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

BYD・中国EVの最新ニュースを日本語で配信。海外の1次ソースをもとに、日本の読者に向けた独自記事を毎日更新しています。

BYD・中国EVの最新ニュースを毎日配信中。
フォローして最新情報をチェック!