BYD、販売台数は世界一でも利益は半減 – 2026年Q1決算が示す構造的課題NEW
純利益55%減、売上高12%減——。BYDが4月28日に発表した2026年第1四半期決算は、中国NEV市場の「季節性」と「政策の崖」がいかに深刻かを数字で突きつけた。
過去最高ペースの販売台数と利益急落の「ねじれ」
BYDの第1四半期の株主帰属純利益は40.9億元(約594億円)で、前年同期比55.38%の減少。非経常損益を控除した純利益も41.5億元で49.24%減だった。売上高は1,502.3億元と11.82%落ち込んでいる。
一方で、BYDは2025年通年で約427万台のNEVを販売し、年間ベースでは過去最高を更新し続けている。にもかかわらず四半期単位で利益がここまで落ちるのは、販売台数と収益性が完全に切り離された構造を示している。第1四半期のNEV販売台数は70万463台。前年同期比で30%減、前四半期(Q4)比では実に47.82%の減少だ。
「政策の崖」と価格戦争の二重苦
急落の最大要因は、中国政府のNEV購入税優遇の縮小にある。2024〜2025年はNEVの購入税が全額免除され、1台あたり最大3万元の減税効果があった。これが2026年からは標準税率10%の半額適用に切り替わり、減税上限も1万5,000元に半減した。
結果、2025年Q4に駆け込み需要が集中。NIOの李斌CEOは2025年9月の時点で「2026年Q1の販売がQ4の半分なら上出来」と警告していたが、BYDの実績はまさにその通りの展開だった。
価格競争も利益を圧迫している。BYD自身が3月下旬に「国内の価格戦争が2025年の利益を圧迫する主因」と認めている。加えて、半導体やストレージなどサプライチェーンのハードウェアコスト上昇が追い打ちをかけた。BYDは5月1日から先進運転支援システム「God’s Eye B」のオプション価格を9,900元から1万2,000元に引き上げることを発表しており、コスト転嫁を始めている。
海外が「もう一つのエンジン」に
国内が厳しい中で存在感を増しているのが海外事業だ。Q1の海外販売は32万1,165台で前年同期比55.84%増。NEV総販売の45.85%を海外が占めるまでになった。経営陣は2026年通年の輸出目標を150万台に引き上げており、海外比率は今後さらに高まる見通しだ。
BYDにとって日本は重点市場の一つで、2025年にはRACCOの投入もあり約6,000台の販売が見込まれている。ただ、本国の利益がこれほど圧縮される局面で、日本市場向けの販売網拡充やマーケティング投資をどこまで維持できるかは注視が必要だ。現在約100店舗の販売拠点はBYD Auto Japanの当初計画通りに達成される見込みだが、収益環境が悪化すれば投資ペースの見直しが入る可能性はゼロではない。
BYD電子も95%減益——グループ全体に波及
36Krの報道によれば、BYD電子(BYD Electronic)のQ1純利益は2,783万元で前年同期比95.53%の減少。スマートフォン部品やEMS事業を手がける同社の急落は、BYDグループ全体がコスト増と需要減のダブルパンチを受けていることを裏付ける。
1株あたり利益(EPS)は0.448元で56.89%減。市場はQ2以降の回復シナリオを見極める段階に入った。中国のNEV市場は例年、下半期に販売が回復する傾向があり、2026年も同様のパターンをたどるかが焦点となる。海外150万台の輸出目標が計画通り進めば、通期では利益水準の持ち直しも見込めるが、価格戦争が長期化すれば楽観はできない。
出典
- BYD reports 55% drop in Q1 net profit(CnEVPost)
- 比亚迪:一季度净利润40.8亿元,同比下降55.38%(36Kr)
- 比亚迪电子:一季度净利润2783万元,同比下降95.53%(36Kr)
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