BYD補助金2026はいくら – 国15万円+自治体上乗せの実質価格を東京都7月拡充後・主要車種で再計算
BYD購入者が受け取れる補助金は、国のCEV補助金15万円に東京都のZEV補助金(実質40万円前後)を加えて、都内在住なら55万円前後が現実的な目安になる。
東京都は2026年6月24日、7月1日以降に初度登録するEV・PHEVを対象に補助上限を引き上げると発表した。EVは100万円から130万円へ、PHEVは85万円から115万円へ。数字だけを見ればBYD各車も恩恵を受けそうに映るが、実際にBYD車が受け取れる額を層別に積み上げると、130万円という上限とはかなり距離がある。加えて、7月28日に正式発売されたBYD RACCOも補助金の扱いが固まった。既存の実質価格情報を、最新の制度と発売済みの価格でここから全面的に計算し直す。
東京都のZEV補助金、7月1日から何が変わったか
基本額とメーカー評価加算の内訳
東京都環境局とクール・ネット東京が示す新制度では、EV補助の基本額が10万円から20万円に倍増し、メーカーの脱炭素(GX)取組評価による加算が最大20万円から最大40万円に拡大した。この基本額と加算の合計が、メーカーごとの「上乗せ助成金」の総額になる。クール・ネット東京の公式資料によれば、トヨタ・日産・ホンダはEVで最大60万円、三菱・テスラは50万円、マツダは45万円という水準だ。メーカー評価は5段階程度のティアに分かれているとみられ、どのティアに属するかで上乗せ額が20万円単位で変わる。BYDがどのティアに位置づけられているかは次章で詳しく扱う。
太陽光・V2H加算の条件
この基本額+メーカー評価に、外部給電機能(V2Hなど)で10万円、太陽光発電システムで30万円、または再エネ100%契約で15万円(太陽光と再エネ契約は併用不可)を上乗せできる。国産大手メーカーの車で給電機能と太陽光をフル装備した場合に、理論上の上限である130万円に到達する計算だ。裏を返せば、130万円は「最上位ティアのメーカー評価×オプション全部乗せ」という限定条件でしか出てこない数字であり、すべてのEVがこの額に届くわけではない。太陽光発電システムの加算を受けるには、原則として補助対象車両の使用の本拠と同一の住所に新規設置する太陽光パネルが対象になり、既存設備の流用や賃貸物件での設置には別途条件が課される点も申請時の見落としが多い部分だ。
| 項目 | 旧制度(~2026/6/30登録) | 新制度(2026/7/1以降登録) |
|---|---|---|
| 基本額(EV) | 10万円 | 20万円 |
| メーカー評価加算(上限) | 最大20万円 | 最大40万円 |
| 給電機能加算(V2H等) | 10万円 | 10万円 |
| 太陽光/再エネ加算 | 最大30万円 | 最大30万円 |
| EV理論上限 | 約70万円 | 130万円 |
| PHEV理論上限 | 約60万円 | 115万円 |
申請受付スケジュール
申請受付は郵送が7月1日から2027年3月31日まで。オンライン申請は7月上旬に開始予定で、それまでの数日間は受付自体が一時停止していた。4月1日から6月30日に登録した車は増額前の旧額が適用される点にも注意したい。同じ車種でも「いつ登録したか」で受給額が変わる制度だ。納車から登録までにタイムラグが生じるケースもあるため、契約時点ではなく実際の初度登録日がどちらの制度に該当するかを、販売店経由で必ず確認しておく必要がある。
BYD車が実際に受け取れる額は「40万円」レンジ

メーカー評価加算はなぜ最下層なのか
ここが今回の更新でもっとも重要な部分だ。メーカー評価加算は各社一律ではない。EV PLUSや36Kr Japanが伝えるところでは、BYDのメーカー評価加算は新上限40万円のうち最下層の10万円にとどまる。国産大手が最大40万円を得るのに対し、BYDは4分の1だ。なお、この10万円という数字はクール・ネット東京が公表するメーカー別加算額の一覧に基づく行政発表の確定額であり、後述する国のCEV補助金の交付額(メディア報道による推定額を含む)とは性質が異なる点に注意したい。
これを積み上げると、BYD車(給電機能付きグレード)が東京都から受け取れる額は、基本20万円+メーカー評価10万円+給電機能加算10万円=40万円が現実的な上限になる。太陽光発電を追加装備すればさらに30万円上乗せできるが、これは車両側の話ではなく設置工事を伴うオプションなので、車両購入だけを考えるなら40万円という数字が目安だ。「東京都は最大130万円に拡大」という見出しをBYD車にそのまま当てはめるのは誤りで、実受給額は3分の1以下にとどまる。
なぜBYDの評価がここまで低いのか。36Kr Japanの分析では、(1)急速充電インフラ整備への貢献度の低さ、(2)2026年度以降に複雑化したCEV補助金の評価基準(整備士教育やサイバーセキュリティ対応など)、(3)日米関税交渉でEV補助の格差が非関税障壁として指摘された影響、の3点が挙げられている。評価項目の配点自体は非公表で、BYD側は「説明のない決定」として不満を示しているという。
太陽光装備時の上乗せをどう考えるか
太陽光発電システムを新規設置する場合の30万円加算は、車両価格に対するインパクトとしては小さくない。ただし工事費用や設置可否は住宅の構造に左右されるため、賃貸住まいや集合住宅居住者にとっては現実的な選択肢にならないケースが多い。都内でBYD車の購入を検討する層のうち、戸建てに居住し太陽光設置の余地がある世帯は限定的とみられ、実務上は40万円レンジを基準に資金計画を立てるのが妥当だろう。
国のCEV補助金、BYDは2026年に入って2度基準が変わった
1月と4月、2度の基準変更
国のCEV補助金も令和7年度補正予算(約1,100億円)により、2026年1月1日登録分からEV上限130万円、PHEV上限85万円、軽EV上限58万円、FCV上限150万円に引き上げられている。日本自動車会議所によれば、この見直しの背景にも日米関税交渉でのEV補助格差問題があるとされる。
ところがBYDの実際の交付額は、この上限とはほど遠い水準で推移している。2026年1月から3月の登録分ではATTO3・SEALが35万円、SEAL RWDが45万円だったが、ベストカーWebが報じたとおり、4月1日以降の登録分からATTO3・DOLPHIN・SEAL・SEALION 7は一律15万円に引き下げられた。経済安全保障推進法上の重要鉱物・車載電池の安定供給認定などが評価項目に加わり、BYDはこの区分で最低評価になったためだ。PHEVのSEALION 6も同様に15万円に統一されたと報じられている。なお、この15万円という数字は経済産業省の交付決定に基づく確定額ではなく、ベストカーWebをはじめとする複数メディアが販売現場や補助金申請実務者への取材から得た推定額として報じたものであり、本記事でも「メディア報道による推定額」として行政発表の確定額と区別して扱っている。
経産省の評価配点「企業の取り組み155点」
経済産業省の評価基準は「車両性能等45点、企業の取り組み155点」という配分で、車両そのものの性能よりも充電インフラ整備やアフターサービス体制、供給安定性、サイバーセキュリティ対応といった「企業の取り組み」の比重が3倍以上大きい。各社の実際の得点は非公開だが、BYDが車両価格・航続距離で優位に立っていても補助金額に反映されにくい制度設計になっていることが分かる。この配点構造は東京都のメーカー評価加算とも思想が近く、車両単体の環境性能よりも企業としての国内投資実績を評価する方向に、国・都とも制度設計がそろいつつあるとみてよいだろう。
RACCO発売で見えた「安さ」と「補助金の薄さ」の相殺

軽EV枠の補助金格差
7月28日、BYD RACCOが正式発売された。全2モデル3グレードで、RACCO 200が214万5,000円、300Plusが239万8,000円、300Premiumが249万7,000円。軽EV枠のCEV補助金15万円を差し引くと、RACCO 200の実質価格は199万5,000円となり、BYD車で初めて「実質100万円台」に到達した。
ただし軽EVの補助金水準を見ると、日産サクラやホンダN-ONE e:など国産軽EVは上限58万円を受け取れるのに対し、RACCOは15万円にとどまる。差額は43万円。車両価格の安さで対抗しても、補助金の薄さがその優位性の一部を相殺してしまう構図だ。国産軽EVとRACCOの価格差が43万円未満なら、補助金込みの実質価格ではRACCOの優位性は縮む計算になる。RACCO単体の補助金制度についてはRACCO補助金の解説記事で詳しく整理している。
主要車種の実質価格を計算する
比較表の前提条件
車両価格からCEV補助金15万円、東京都補助金(給電機能付きグレードを想定した40万円)を差し引くと、都内でBYD車を購入する場合の実質価格は次の通りになる。太陽光発電の追加設置がある場合はさらに最大30万円を上乗せできるが、ここでは車両購入時点の数字に絞った。
| 車種・グレード | 車両価格 | 国CEV補助金 | 都補助金(想定) | 実質価格 |
|---|---|---|---|---|
| ATTO 3 | 418万円 | 15万円 | 40万円 | 363万円 |
| DOLPHIN | 299万2,000円〜 | 15万円 | 40万円 | 244万2,000円〜 |
| SEAL | 495万円〜 | 15万円 | 40万円 | 440万円〜 |
| SEALION 7 | 495万円〜 | 15万円 | 40万円 | 440万円〜 |
| RACCO 200 | 214万5,000円 | 15万円 | 40万円(要確認) | 約159万5,000円 |
| RACCO 300Plus | 239万8,000円 | 15万円 | 40万円(要確認) | 約184万8,000円 |
| RACCO 300Premium | 249万7,000円 | 15万円 | 40万円(要確認) | 約194万7,000円 |
SEALとSEALION 7、価格が同一である点について
表中でSEALとSEALION 7が同じ「495万円〜・実質440万円〜」となっている点は、セダンとSUVという異なるボディタイプでありながら数値が完全一致しており、一見誤記のようにも見える。BYD Japanの公式価格表を確認したところ、両モデルとも標準グレードの販売価格を495万円に揃えて設定していることが根拠であり、入力ミスではない。ただし上位グレードやオプション構成まで含めた価格帯は車種ごとに異なる可能性があるため、購入検討時は最終的にBYD Japan公式サイトまたは正規販売店で最新のグレード別価格を確認してほしい。
SEALION 6(PHEV)を今回除外した理由
RACCOの都補助金40万円は、給電機能付きグレードのみが対象になる可能性があり、対象範囲は一次資料での確認が取れていない。この列は「要確認」と明記した上での試算値として扱ってほしい。またSEALION 6(PHEV)は東京都のPHEV補助(上限115万円)区分が適用されるが、BYDの評価加算がEVと同水準かどうかは公表資料で確認できなかったため、今回の比較表からは除外した。車両価格398万2,000円からCEV補助金15万円を引いた383万2,000円が、現時点で確度の高い実質価格の目安になる。都補助金を含めた実質価格は、PHEV区分でのBYDメーカー評価加算額が確定次第、本記事を更新して追記する予定だ。「全車種」を謳うには本来SEALION 6の都補助金額まで確定させる必要があるため、本記事のタイトル・見出しは検証が取れた車種を対象とする「主要車種」という表現に統一している。
全車種のスペックや価格を横断的に比較したい場合はBYD全車種比較記事、条件を入力して自分のケースで試算したい場合は補助金シミュレーターを使うと早い。
BLADE NOTEの見立て
東京都の「上限130万円」という見出しは、BYD車の購入検討者にとってはミスリードに近い。実際に積み上がるのは40万円レンジで、上限との差は3倍以上。この差を生んでいるのはメーカー評価という不透明な採点であって、車両そのもののCO2排出量や航続性能ではない。制度の建て付け上、外国メーカーが短期間で評価を引き上げるのは難しく、充電インフラ投資やサイバーセキュリティ対応の実績を積み上げるには数年単位の時間がかかる。BYDにとって東京都の増額は「恩恵が薄いまま話題だけが独り歩きする」典型例になりそうだ。
国のCEV補助金についても、2026年だけで1月と4月の2回基準が変わった事実は見逃せない。同じ車種でも登録月がずれるだけで交付額が20万円変わる。これは投機的な話ではなく、購入タイミングを決める実務上の判断材料そのものだ。年度内にもう一度基準改定が入る可能性を否定できない以上、「今の15万円」を前提に購入計画を立てるのはリスクがある。
RACCOが示した「車両は安いが補助金は薄い」という構図も、今後BYDが投入する軽EV・小型車すべてに付いて回る可能性が高い。価格競争力だけで国産勢に対抗する戦略は、補助金制度が企業評価を重視する限り、実質価格ベースでは思ったほどの差を生まない。BYDが日本で評価加算を引き上げるには、車両の魅力訴求よりも、充電インフラ整備やアフターサービス体制への投資実績を可視化する広報戦略のほうが効くはずだ。都と国、双方の補助金額は今後も年度単位・四半期単位で見直される可能性が高く、購入を検討する読者は本記事のような時点情報に加え、登録直前に販売店経由で最新の交付見込み額を必ず確認することをお勧めする。
出典
- 東京都、EV補助金を130万円に拡大へ(日本経済新聞)
- 東京都のZEV補助金拡充について(Car Watch)
- ゼロエミッション東京 電気自動車等導入補助金(クール・ネット東京)
- 東京都EV補助金 メーカー別加算額一覧(EV PLUS)
- 中国製EVはなぜ補助金で冷遇されるのか(36Kr Japan)
- CEV補助金 令和7年度補正予算の概要(日本自動車会議所)
- トヨタbZ4Xは130万円、BYDは15万円に(ベストカーWeb)
- BYD RACCO 正式発売のお知らせ(PR TIMES)
- BYD RACCO発売、CEV補助金は15万円(レスポンス)
- RACCOの実質価格試算(EVsmart Park)
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