BYD補助金2026 – 国15万円+自治体上乗せで実質価格を全車種計算【最新】
BYD全車種の国CEV補助金は2026年4月登録分から一律15万円。トヨタbZ4Xの130万円との差は最大115万円に開いた。
同時に東京都ZEV補助金は最大100万円近くまで上積み可能で、地域によって同じ車の実質価格が100万円単位で変わる構造が一段強まった。本稿では新評価制度の中身、BYD全車種の実質価格、東京都の4層構造、競合との価格バトル、そして買い時の判断までを具体数値で全部洗う。
2026年度CEV補助金、BYDは一律15万円に

経済産業省が所管するCEV補助金は、2026年度(令和8年度)から200点満点の銘柄別評価方式へと刷新された。普通車EVの上限は最大130万円(前年90万円から増額)、軽EV 58万円、PHV 85万円、FCV 255万円が制度上のヘッダーである。出典は経済産業省。
登録日が2026年1月1日〜3月31日の車両は旧基準が継続適用され、BYDは35〜45万円。4月1日以降の登録から新基準となり、ATTO 3・DOLPHIN・SEAL・SEALION 7のすべてが一律15万円に切り下げられた。判定は契約日ではなく「登録日」で行うため、3月末ナンバーまでが旧基準の最後の枠だった。
2段階適用の境界と保有義務
受付終了は予算上限到達か令和9年2月上旬の見込み。申請は登録後でなければ受け付けられず、保有義務は普通車4年・軽EV3年。期間中の売却・廃車は次世代自動車振興センターへの事前承認が必要で、無承認の処分は全額返納となる。中古市場の歪みの遠因はここにある。
なぜBYDだけ8倍以上の差がついたのか
新評価は200点満点で、配点は次のとおり。車両性能20点、充電インフラ整備40点、供給安定性・サイバーセキュリティ・重要鉱物100点、メンテナンス体制・人材育成25点、ライフサイクル全体の持続可能性10点、車両活用による他分野貢献5点。200点中100点が「供給安定性・サイバーセキュリティ・重要鉱物」に振られている時点で、サプライチェーンが中国側に深く接続するBYDは構造的に減点される設計である。
背景には経産省が2023年1月に策定した重要鉱物の安定供給確保方針があり、2026年度評価はそれを自動車補助金に反映する初めての年度となった。CEV補助金は産業政策ツールから経済安全保障ツールへ、性格そのものが変わっている。
採点プロセスは非公表
採点内訳と配点根拠は公表されていない。BYDが急速充電器を8基から40基へ5倍拡充しても評価0点だった事例が報じられ、「内訳を見せない補助金」への批判は業界から噴き出している。性能評価だけで見ればBYDのブレードバッテリーとe-Platform 3.0は世界トップクラスだが、その配分はわずか20点。バッテリー技術ガイドで触れた性能優位は、補助金額には反映されない構造になっている。
BYD全車種・実質価格シミュレーション
希望小売価格(税込)と2026年4月以降登録での国補助15万円を差し引いた価格を一覧化する。軽EV「RACCO」(2026年7月28日発売予定)は普通車と評価方式が分かれており、軽枠58万円据置の見込みだが正式確定は発売直前まで未定。
| 車種・グレード | 希望小売価格 | 国補助(4月以降) | 国補助後 |
|---|---|---|---|
| DOLPHIN スタンダード | 299.2万円 | -15万円 | 284.2万円 |
| DOLPHIN ロングレンジ | 374万円 | -15万円 | 359万円 |
| ATTO 3 | 418万円 | -15万円 | 403万円 |
| SEALION 7 RWD | 495万円 | -15万円 | 480万円 |
| SEALION 7 AWD | 572万円 | -15万円 | 557万円 |
| SEAL RWD | 528万円 | -15万円 | 513万円 |
| SEAL AWD | 605万円 | -15万円 | 590万円 |
| RACCO(参考) | 249万円〜 | -58万円(見込) | 191万円〜 |
ATTO 3は2025年4月にすでに32万円の値下げを実施済み。DOLPHINスタンダードは299.2万円まで下げており、補助前の希望小売価格そのものが他の輸入EVより1割以上低い。BYD全車種比較のグレード体系と合わせて見ると、補助金減額後でも「絶対価格の安さ」で防衛線を張る姿勢が読み取れる。
東京都ZEV補助金の4層構造
都道府県補助金で個人の乗用EV購入をカバーするのは、実質的に東京都が最大の上積みを用意している。2026年度(2026年4月30日〜2027年3月31日)の東京都ZEV車両購入補助金は次の4層で構成される。
- メーカー区分による基本+上乗せ
- V2H/V2B充放電設備の導入加算
- 再エネ100%電力契約 または 太陽光設備設置の加算
- 高額車両の上限調整
メーカー区分では国産大手(トヨタ・日産・ホンダ・三菱・マツダ・スバル)が最大60万円の上位枠、BYDはヒョンデ・ポルシェ・ランドローバーとともに最大30万円の下位枠に置かれた。BYDの典型構成は基本10万円+メーカー独自取組10万円+V2H対応給電機能10万円=30万円。ここに再エネ100%契約で+15万円、太陽光設置で+15万円、V2H実機導入で別途上乗せが入り、最大ケースで100万円近くまで積み上がる仕組みだ。出典は東京都環境局。
一方、神奈川県と愛知県は2026年度から個人の自家用乗用車を補助対象外とし、事業用や中小企業向けに絞っている。大阪府は最大25万円相当、他の市区町村は5万〜20万円が中心。「自治体上乗せ」は事実上、東京都と一部の市レベル単独で議論する話に縮小した。
東京都民・地方民・競合 — 三者の実質価格
東京都内で再エネ契約とV2H環境を組み合わせた個人購入で、最大70万円相当の都補助を受けたケース(標準的なフル構成)と、自治体補助のない地方在住ケース、そして主要競合の実質価格を一表に並べる。
| 車種 | 車両価格 | 東京都民(国15+都70) | 地方在住(国のみ) |
|---|---|---|---|
| DOLPHIN スタンダード | 299.2万円 | 214.2万円 | 284.2万円 |
| DOLPHIN ロングレンジ | 374万円 | 289万円 | 359万円 |
| ATTO 3 | 418万円 | 333万円 | 403万円 |
| SEALION 7 RWD | 495万円 | 410万円 | 480万円 |
| SEAL RWD | 528万円 | 443万円 | 513万円 |
| テスラ Model Y RWD | 約508万円 | —(区分要確認) | 約381万円 |
| テスラ Model 3 RWD | 531.3万円 | —(同上) | 404.3万円 |
| トヨタ bZ4X | 約550万円 | —(上位枠) | 約420万円 |
地方在住者の視点では、SEALION 7 RWDの480万円に対しテスラModel Y RWDが381万円、Model 3 RWDが404万円、トヨタbZ4Xが420万円。国補助の差112万円が車両価格差をひっくり返している。BYDオートジャパンの東福寺社長が日経インタビューで「勝負にならない」と語ったのは、この数字を見ての発言だ。
逆に東京都内の戸建てで再エネとV2Hを組める世帯にとっては、DOLPHINスタンダードが214万円台、ATTO 3が330万円台で手に入る計算になり、輸入EVとして異例の価格帯に落ちる。地域による「同じ車の値段が違う国」の側面が、一段強まった。
BLADE NOTEの見立て
結論から書く。2026年度のCEV補助金改定は、評価制度の刷新というよりは「自動車補助金が経済安全保障の道具になった」と読むのが妥当だ。200点中100点をサプライチェーンとサイバーセキュリティと重要鉱物に振った時点で、車両性能・燃費・航続を評価するという従来の建付けは半分捨てられている。これは是非で論じる話ではなく、性格が変わったという事実認識の問題である。
その上で歯切れよく言えば、採点内訳を非公表にしたまま8倍超の補助金格差をつけるという運用は、産業政策としては筋が悪い。BYDが急速充電器を5倍に増やしても0点というのが事実なら、加点項目の存在意義そのものが疑われる。透明性の欠如はメーカーの行動を歪め、補助金本来の誘導機能を弱める。
BYD側の戦略反応は明快だ。ディーラー独自値引きで条件下において最大84万円〜288万円の販売支援を上乗せし、軽枠58万円が取れる軽EV「RACCO」を7月に投入する。これは「補助金で負けても店頭価格では負けない」という割り切りであり、現時点ではDOLPHINスタンダードの299.2万円という値付け自体がその担保になっている。
買い時の判断は三つに分かれる。東京都で再エネ・V2Hを組める世帯は、DOLPHIN・ATTO 3が実質200万〜330万円台で買える歴史的水準なので、4月以降でも十分競争力がある。地方在住者は、自治体補助なしの15万円では国産との差が埋まらないため、メーカー独自値引きと残価設定リースの条件を精査するのが現実解。軽EVが選択肢になる世帯は、7月28日発売のRACCO(軽枠58万円補助)を待つのが合理的だ。BYDカテゴリでは各車種の最新動向を追っている。
最後にひとつ。4年の保有義務は無視できないコストである。中古に流せないということは、ライフプランの変化に補助金が縛りを入れるということでもある。実質価格の安さだけで判断せず、4年間その車に乗り続ける覚悟がセットで必要だ。次の制度見直しは令和9年度予算編成に向け、年末から年明けにかけて議論が動く。
出典
- 令和8年度 CEV補助金概要(経済産業省)
- 2026年度CEV補助金改定で輸入EVに格差(ベストカーWeb)
- CEV補助金2026年度 全車種一覧(Touchlab)
- BYD東福寺社長インタビュー(日本経済新聞)
- 2026年度補助制度の適用に関する通知(次世代自動車振興センター)
- 東京都ZEV車両購入補助金 解説(補助金ポータル)
- 令和8年度 ZEV車両購入補助金 概要(東京都環境局)
- CEV補助金の採点透明性に関する考察(Hayapon Log)
- BYD補助金情報(BYD Auto Japan)
- BYD RACCO 軽EV情報(EVsmartブログ)
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