Rivian、中国LiDAR技術で内製化検討 – 日本ADAS調達の教訓NEW
数百ドル——自動車に量産搭載できるLiDARの価格帯で、現実的な選択肢のほとんどが中国発になっている。米EVスタートアップRivianのRJ Scaringe CEOがロイターのインタビューで明かした認識は、自動運転センサー市場の現在地を端的に示す。同社は中国企業と合弁を組み、米国内で独自のLiDARを設計・生産する案を検討中だ。直接調達ではなく、技術提携を介した内製化。この迂回ルートに、米中サプライチェーン分断の現実と、日本の自動車メーカーが取るべき選択肢が透けて見える。
Rivianが描く「米国製造×中国技術」の構図
Scaringe CEOによれば、Rivianは年内に投入予定の新型「R2」の一部仕様にLiDARを搭載する。同社は昨年、自社チップの開発計画を立ち上げており、テスラに対抗する自動運転技術を内製で固める方針を打ち出してきた。今回のLiDAR戦略もその延長線上にある。
ただし、CEOは「自動車メーカーが求める数百ドル台のLiDARは、リアルな選択肢のすべてが中国から出てくる」と踏み込んだ。中国製品をそのまま購入するのではなく、合弁などの形で中国の技術を米国に持ち込み、現地生産することで地政学リスクを抑える狙いだ。米国の通商政策が中国製ADAS部品への警戒を強めるなか、調達の透明性と価格競争力を両立させる現実解として浮上している。
HesaiとRoboSenseが握るLiDAR市場の現状
低価格帯LiDARの主役は、米ナスダック上場のHesai(禾賽科技、NASDAQ: HSAI)と香港上場のRoboSense(速騰聚創、HKG: 2498)だ。両社は中国EVメーカーへの大量採用を背景に量産規模を拡大し、単価を一気に下げてきた。
Hesaiは最近、最大4,320チャネルに対応するフルカラーLiDARチップを公開。RoboSenseも2,160チャネルのフラッグシップチップと新しいデジタルアーキテクチャを発表しており、複数のグローバル自動車メーカーから2026年量産化向けの採用枠をすでに確保している。
中国EVの普及によってLiDARコストが急速に低下し、用途は高級モデルから手の届く価格帯のクルマへ拡大した。Hesaiは中国の電動二輪メーカーNiu Technologies向けに純ソリッドステートLiDARの供給まで始めた。LiDARはもはや「特別なセンサー」ではなく、汎用部品の領域に入りつつある。
つまり、量産価格帯のLiDARで戦える品揃えは中国勢に集中している。Rivianに限らず、欧米勢は「直接買うか、技術提携で迂回するか」の二択を突きつけられている構図だ。
日本メーカーが直面するADAS調達のジレンマ
この潮流を、日本の完成車メーカーやTier1サプライヤーは冷静に受け止める必要がある。トヨタ、ホンダ、日産はそれぞれ自動運転・先進運転支援の高度化を進めているが、量産価格帯でLiDARを搭載する場合、現実的な調達先は中国勢か、Luminar(米)、Innoviz(イスラエル)など限られたプレーヤーに収れんする。性能とコストを両立する条件で中国勢を完全に避けるのは難しい。
一方、日本車は欧米市場での販売比率が高く、米国の輸入規制や関税動向の影響を直接受ける。中国製ADAS部品を組み込んだクルマを米国で売る際の規制リスクは、商務省のコネクテッド車両規則をめぐる議論を見ても無視できない。
現実的な選択肢は3つある。ひとつ目は、Rivian型——中国企業と合弁を組み、第三国(日本国内や米国、メキシコ)で製造する方式。ふたつ目は、デンソー、京セラ、パイオニアなど国内勢を含む非中国系LiDARに開発投資を集中させ、コスト差を量産規模とプラットフォーム共通化で吸収する方式。みっつ目は、車種・販売地域ごとにサプライヤーを使い分けるデュアルソース体制だ。
加えて、ソフトウェア更新やセンサーキャリブレーションの保守を誰が担うかという論点もある。LiDARはハードウェアだけでなく、点群処理のアルゴリズムと一体で性能が決まる。中国勢の強みはハード単価よりも、自国のEV量産現場で日々データを蓄積し、ソフトを高速で改良できるエコシステムにある。日本勢が単独でこの開発スピードに追従するのは現実的ではなく、提携の形でデータと開発資源を分担する判断が問われる。
どの道筋を選んでも、調達戦略を価格だけで決められない時代に入った。技術ライセンスの構造、合弁先の出資比率、製造拠点の所在地。それぞれが将来の規制リスクと直結する。Rivianの動きは、米中の対立が長期化するほど、技術と製造を分離する「ハイブリッド型サプライチェーン」が標準化していく可能性を示している。
R2のLiDAR搭載仕様の詳細と、Rivianがどの中国企業と提携するかは現時点で公式発表されていない。
出典
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