Denza Z vs テスラ・ロードスター – BYDが仕掛ける1000馬力EVスーパーカーの勝算NEW
0-100km/h加速2秒未満、最高出力1,000馬力超——。BYD傘下のDenza(騰勢)が北京オートサロンで量産仕様を公開した電動スーパーカー「Denza Z」のスペックは、テスラが長年「出す出す」と言い続けてきた第2世代ロードスターとほぼ同じ土俵に立つ。違いはひとつ。Denza Zは実車が存在し、2025年後半に欧州で発売されるということだ。
Denza Zの全貌——マセラティ的な色気とBYDの技術力
Denza Zはクーペ、ソフトトップ・コンバーチブル、トラック仕様の3バリエーション展開が予告されている。北京で公開されたのはコンバーチブルのみだが、フェラーリを思わせるリアデザインにランボルギーニ的なフロントマスクという、かつての中国車のイメージを完全に覆すスタイリングが話題を呼んだ。
技術面ではBYDの最新アセットを惜しみなく投入している。電磁サスペンション「DiSus-M」、先進運転支援システム「God’s Eye」、ドリフトモードやタンクターン機能を搭載。プラットフォームは電動ワゴンDenza Z9 GTと共通のe3を採用する。バッテリー容量や正確な充電速度は7月に公表予定だが、BYDの急速充電技術「Flash」に対応し、1,500kW級の充電器を使えば10分以内でフル充電が可能とされる。
テスラ・ロードスター——約束だけが積み上がる
テスラが第2世代ロードスターを発表したのは2017年。0-60mph 1.9秒、航続1,000km超というスペックで予約を集めたが、それから8年以上が経過した現在も市販には至っていない。イーロン・マスクは繰り返し「来年には」と発言してきたが、テスラの経営資源はヒューマノイドロボット「Optimus」やAIソフトウェアに優先配分されており、少量生産の2ドアスポーツカーの優先度は明らかに低い。
事実上の開発凍結と見る業界関係者は多い。仮に発売されても、2017年時点のスペックが2026年の市場でどこまで訴求力を持つかは疑問が残る。
スペック比較——紙の上ではほぼ互角
| 項目 | Denza Z | テスラ・ロードスター(発表値) |
|---|---|---|
| 最高出力 | 約1,000hp | 未公表(0-60mph 1.9秒から推定1,000hp級) |
| 0-100km/h | 2秒未満 | 約1.9秒(0-60mph) |
| ボディタイプ | クーペ/コンバーチブル/トラック | クーペ(タルガトップ) |
| 急速充電 | 1,500kW対応(Flash) | 未公表 |
| 予想価格 | 約65,000ドル(中国市場) | 200,000ドル〜(2017年発表時) |
| 発売時期 | 2025年後半(欧州) | 未定 |
加速性能は紙の上でほぼ互角。だが価格差は圧倒的だ。Denza Zの中国市場予想価格は約65,000ドル(日本円で約1,000万円前後)。テスラ・ロードスターは2017年の予約時点で200,000ドル〜とされていた。マセラティ・グランカブリオの350,000ドル超と比べてもDenza Zの価格競争力は際立つ。もっとも、欧州での販売価格がどこまで中国価格を維持できるかは未知数だ。
BYDの高級路線シフト——なぜ今スーパーカーなのか
BYDがDenzaブランドでスーパーカーを投入する狙いは、単に「テスラの穴」を突くことではない。量販EVメーカーとしてのイメージを脱却し、技術力とブランド価値を上方に引き上げるためのフラッグシップ戦略だ。
Denza Zが興味深いのは、中国市場より欧州を先行投入する点にある。自国では「安くて良い」イメージが定着しているBYDにとって、欧州の高級車市場で認知を得ることはブランド全体の格上げにつながる。グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでの動的デビューが予定されているのも、欧州の自動車ファンに直接アピールする意図が透けて見える。
BYD Auto Japanは現在、ATTO 3からSEALION 7まで5車種を展開し、2025年の日本販売台数は約6,000台の見込み。Denzaブランドの日本導入は現時点で未発表だが、仮にDenza Zクラスのモデルが上陸すれば、「中国車=廉価」という固定観念を一気に揺さぶることになる。
テスラがロードスターを棚上げし、AIとロボットに舵を切る間に、BYDは電動スーパーカーという「空白地帯」を着実に埋めようとしている。Denza Zの詳細スペックは7月に公表予定。欧州での価格設定が、このクルマの本当の破壊力を測る指標になる。
出典
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