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ソフトバンク、データセンター向け電池製造に参入 – 中国勢が支配する蓄電池市場に風穴は開くかNEW

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ソフトバンク、データセンター向け電池製造に参入 – 中国勢が支配する蓄電池市場に風穴は開くか

通信・投資の巨人が、電池製造という異分野に足を踏み入れる。36氪の報道によると、ソフトバンクグループが既存の工場施設を改造し、データセンター向けの電池生産に乗り出す計画が明らかになった。

AI投資の延長線上にある電池製造

ソフトバンクグループは2024年末、米OpenAIやオラクルと共同で「Stargate」プロジェクトを発表した。米国内に最大5000億ドル規模のAIインフラを構築する計画で、データセンターの大量建設が柱となる。生成AIの学習・推論には膨大な電力が必要であり、安定した蓄電能力の確保が世界的な課題になっている。

電池の調達を外部に依存すれば、コストとサプライチェーンの両面でリスクを抱える。データセンターを建てれば建てるほど蓄電池の需要も膨らむ以上、川上の製造まで自社で押さえにいくのは合理的な判断だ。

中国メーカーの牙城と新規参入の壁

ソフトバンクが参入する市場は甘くない。定置型蓄電池の分野でもCATL、BYDをはじめとする中国メーカーが圧倒的なシェアを握っている。SNE Researchの調査によれば、CATLは2024年のグローバルESS(エネルギー貯蔵システム)向け電池出荷量で約37%のシェアを確保し、首位を走る。BYDもBlade Batteryの技術を定置型蓄電システムに展開し、欧州や中東のメガソーラー併設案件で採用が相次いでいる。

LFP(リン酸鉄リチウムイオン)電池はコバルトを使わない低コスト構造と3,000回以上のサイクル寿命を武器に、EV用途にとどまらずデータセンターのUPS(無停電電源装置)代替としても急速に普及してきた。中国勢は年間数百GWhの生産能力と量産コストで先行しており、新規参入者が正面からこの価格競争に挑むのは現実的ではない。

ではソフトバンクの勝算はどこにあるのか。最大の武器は、自社が電池の「最大の顧客」になれる点だ。Stargateプロジェクトだけでも巨大な蓄電池需要が見込まれ、外部市場で中国勢と売り負けるリスクを気にせず、まず内製需要で生産ラインを回せる。加えて、ソフトバンク・ビジョン・ファンドはスイスのEnergy Vault(重力蓄電技術)やインドのOla Electric(電池内製化)など、エネルギー関連スタートアップへの投資実績を持つ。ナトリウムイオン電池や全固体電池が実用段階に入れば、LFPの価格優位は相対的に薄れる。後発だからこそ既存のLFP量産設備に縛られず、次世代技術を最初から採用できる余地がある。

日本のデータセンター競争への波及

国内でもデータセンター建設は加速している。千葉県印西市は国内最大級のDC集積地として拡張が続き、北海道千歳市ではラピダスの半導体工場に隣接する形で大規模DC構想が進む。いずれの案件でも電力供給がボトルネックとして意識されており、蓄電池の確保は立地選定と並ぶ重要課題だ。

日本の蓄電池メーカーに目を向けると、パナソニックエナジーはEV向けの円筒形電池に注力しており、定置型蓄電池の大規模量産には積極的とは言いがたい。国内メーカーの供給力が限られるなか、テック企業が中国メーカーからの調達に頼るのか、自前で製造に踏み込むのか——ソフトバンクの動きは、この選択を他社にも突きつけることになる。

ソフトバンクの電池製造が直ちにCATLやBYDの牙城を脅かすわけではない。だが、AIデータセンターという巨大な実需を持つプレイヤーが製造まで垂直統合する動きは、蓄電池市場の競争構図にじわりと影響を及ぼしていくだろう。

出典

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BLADE NOTE編集部
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