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オークネット、EV用バッテリー診断サービスを開始 – 中古EV流通の透明化へNEW

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オークネット、EV用バッテリー診断サービスを開始 – 中古EV流通の透明化へ

中古EVの最大の不安要素だった「バッテリーの残寿命」が、数値で見える時代に入る。

オークネットは2026年4月23日、使用済みEVバッテリーのリパーパス向け流通プラットフォーム「Energy Loop Terminal(エナジー・ループ・ターミナル)」のバッテリー売買サービスをリニューアルした。同時に、MIRAI-LABO株式会社と共同開発したバッテリー診断を単体サービスとして提供開始している。

モジュール単位でSOHを短時間可視化

今回提供が始まった診断サービスは、EVから取り外したバッテリーパックを1段階分解し、モジュール単位で劣化状態(SOH=State of Health)を定量的に可視化する仕組みだ。従来、バッテリーの健全性評価には長時間の充放電テストが必要とされてきたが、この診断では短時間での判定を実現している。

SOHはバッテリーの新品時に対する現在の容量比率を示す指標で、一般的に80%を下回ると車載用途としての性能低下が顕著になるとされる。逆に言えば、SOH80%未満のバッテリーでも定置型蓄電池や非常用電源といったリパーパス用途では十分に活用できる。診断によってこの線引きが明確になることで、バッテリーの「次の使い道」を合理的に判断できるようになる。

なお、国内では日産がリーフ向けに12セグメント表示のバッテリー容量計を提供してきたが、これは車載状態での簡易的な目安にとどまる。オークネットの診断はモジュール単位での定量評価であり、取り外し後のリパーパス判定に特化している点で用途が異なる。

流通プラットフォームと診断の両輪

オークネットはもともと中古車オークション事業で知られる企業だ。その流通ノウハウをEVバッテリーの二次利用市場に持ち込んだのがEnergy Loop Terminalで、今回のリニューアルにより売買機能を強化した。

ポイントは、診断サービスを売買プラットフォームと切り離して単体でも提供する点にある。バッテリーの売買を検討していない事業者——たとえば自社でリパーパスを行うメーカーや、解体・リサイクル業者——でも、診断だけを利用できる。これにより、EVバッテリーの状態評価が業界横断で共通の物差しを持つ方向へ進む余地が生まれた。

中古EV市場の「ブラックボックス」とリパーパスの接点

日本の中古EV市場は伸び悩みが続いてきた。理由のひとつが、バッテリー残量の不透明さだ。ガソリン車なら走行距離とエンジンの状態である程度の価値判断ができるが、EVではバッテリーの劣化度合いが車両価値を大きく左右する。にもかかわらず、中古車販売の現場でSOHを正確に提示できるケースは限られていた。

2024年の国内BEV販売は約9万台。累計の保有台数が増えるにつれ、数年後には中古市場への流入も本格化する。そのとき、バッテリーの状態が「わからない」ままでは買い手がつかない。経済産業省は2024年に蓄電池のサステナビリティに関するガイドラインを整備し、バッテリーの状態把握とトレーサビリティの重要性を打ち出しているが、民間での診断サービスの普及はこれからだ。

車載用途を終えたバッテリーの活用先としては、太陽光発電の蓄電システムや商業施設のピークカット用途が挙がる。ただし、リパーパス事業者にとっても仕入れるバッテリーの品質が不明では事業リスクが大きい。モジュール単位の診断が短時間で可能になれば、中古EVの流動性向上とリパーパス市場の立ち上がりを同時に支えるインフラとなる。

中国ではCATLが自社バッテリーのトレーサビリティシステムを構築済みで、欧州でも2027年から「バッテリーパスポート」の義務化が予定されている。日本では制度面での義務化には至っていないものの、オークネットのように流通事業者が診断基盤を整える動きが先行している。

オークネットとMIRAI-LABOの取り組みは、EVの「出口」を設計するインフラのひとつだ。診断データが蓄積されれば、車種・年式ごとの劣化傾向も定量的に把握できるようになる。対応バッテリーメーカーの拡充や診断コストの詳細は今後の発表が待たれるが、まずは診断という共通言語が市場に入ったこと自体が、中古EVとリパーパスの双方にとって前進といえる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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