Xiaomi Kunlun EREV – SU7からEREVへ拡大する製品戦略NEW
航続400km超、電池容量70kWh以上——Xiaomi(小米)が開発中の初のレンジエクステンダーEV「Kunlun(崑崙)」のテスト車両が、中国で薄いカモフラージュ姿で目撃された。2024年のSU7発売以来、純EV専業として急成長してきたXiaomi Autoが、5モデル目で初めてEREVへ踏み込む。年内に中国国内市場へ投入される見通しだ。
SU7からYU7 GTまで – 駆け抜けるXiaomi Autoの2年
2024年に第1弾モデルとしてセダン「SU7」を発売したXiaomi Autoは、その後も高性能版「SU7 Ultra」、SUV市場へ展開した「YU7」を相次いで投入し、現在は3モデル体制で販売中だ。スマートフォンメーカーがこの速度でラインアップを揃えた例は中国市場でも他に見当たらない。Xiaomiが自動車事業へ正式参入したのは2021年。独自プラットフォームと自社モーターを軸に、技術系メーカーとしての存在感を短期間で確立してきた。
販売実績も急拡大が続いている。2026年1〜4月の累計納車台数は11万台を突破。クロスオーバーのYU7は第1四半期だけで71,623台を販売し、China EV DataTrackerの集計ではGeely EX2(星願)とTesla Model Yに次ぐ中国市場第3位に食い込んだ。SU7に続きYU7も、初動から需要が供給を上回る状態が続いている。
5月には4モデル目となる「YU7 GT」が市場投入される。最高出力990馬力を発生する高性能SUVで、北京の生産拠点では出荷を待つ第1ロットがすでに目撃されている。SU7 Ultraと対をなすフラッグシップ・パフォーマンスモデルとして位置づけられる。ここまでのラインアップはすべてBEV(純電動)で組まれてきた。
| モデル | カテゴリー | パワートレイン | 投入時期 |
|---|---|---|---|
| SU7 | セダン | BEV | 2024年 |
| SU7 Ultra | 高性能セダン | BEV | 販売中 |
| YU7 | クロスオーバー | BEV | 販売中 |
| YU7 GT | 高性能SUV | BEV | 2026年5月 |
| Kunlun(YU9?) | フルサイズSUV | EREV | 2026年内予定 |
Kunlunの素性 – Li Auto L9をベンチマークに据えた本気度
5モデル目として開発が進むのが、コードネーム「Kunlun(崑崙)」だ。中国の自動車メディアが捉えた最新のスパイショットでは、薄いカモフラージュフィルム1枚を残して全身がほぼ露出している。閉じられたフロントマスクにブロック状のヘッドライト、台形のエアインテーク、両側に切られたエアインレット、大きく張り出したフェンダー、ルーフに載るLiDAR、半隠し式のドアハンドル、電動格納式のサイドステップ——ハードウェアの輪郭はほぼ把握できる状態だ。
ボディは3列シート7人乗りのフルサイズSUVで、全長は5.2メートル前後と推定される。バッテリー容量は70kWh超、純電動走行距離は400kmを上回ると報じられている。EREVの一般的な構成からすれば、これにエンジンによる発電分を加えた総航続距離は1,000km級に達する見込みだ。「Kunlun」はあくまで開発時のコードネームで、市販時には「Xiaomi YU9」を名乗る可能性が指摘されている。
テスト現場で並走していたのはLi Auto L9だ。L9は2022年にフルサイズEREVクロスオーバーというカテゴリーを切り拓いた1台で、Li Auto自身を年間50万台規模のブランドへ押し上げた立役者でもある。L9はガソリンエンジンを発電専用に積む直列ハイブリッド構成で、純EV走行時は静粛性とゼロエミッションを確保しつつ、エンジン発電と組み合わせた総航続距離は1,000kmを超える。XiaomiがこのL9をベンチマークに据えてテストを重ねている事実は、Kunlunが狙うセグメントとプライスポイントを明確に示している。
純EV路線からBEV+EREVへ – Xiaomiが舵を切る理由
SU7、YU7、SU7 UltraはいずれもBEV専用設計で、Xiaomi Autoは高電圧プラットフォームと急速充電を前提に製品を組み上げてきた。そこにEREVを加える判断は、中国市場の購買行動に合わせたパワートレイン戦略の現実主義的なシフトと読める。
中国の大型ファミリーSUV市場ではLi Auto、Wenjie(問界)、Avatrを筆頭にEREVが圧倒的なボリュームを取っている。Li Auto単体の2025年販売は約50万台。長距離移動が前提の家族層に対しては「充電インフラに依存しない大型EV」という解が定着している。一方、3列フルサイズSUVを純EVで成立させようとすると100kWh級バッテリーが必須となり、コスト・重量・室内空間の三重苦に陥りやすい。Xiaomiが純EVのまま大型SUV領域へ踏み込まなかったのは合理的な判断だ。
Kunlunの投入でXiaomi AutoはBEV専業からBEV+EREVの併売体制へと移行する。スマートフォンで磨いたエコシステム設計とIoT統合、急速に整備されつつある自社リテール網を武器に、Li Autoが先行する高単価ファミリーSUV領域へ正面から挑む構図だ。価格帯はL9と同水準の40万〜50万元クラスに収まる公算が大きい。競合は明確で、Wenjie M9を含む既存EREV勢との真っ向勝負になる。Xiaomi Autoは現時点で日本市場への正式進出計画を公表しておらず、Kunlunが日本で販売される見込みは当面立っていない。
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