中国EV4月販売 – BYD減速、零跑とZeekrが過去最高NEW
71,387台——。新興EVブランドの月販トップに3カ月連続で立った零跑汽車(Leapmotor)の2026年4月実績だ。前年同月比は73.9%増。同じ月、比亜迪(BYD)は321,100台で全体首位を守ったものの、これで8カ月連続の前年割れとなった。中国EVの勢力図は確実に塗り替わっている。
4月の主要メーカー販売 – 上位の顔ぶれと内訳
新エネルギー車(NEV)の月次データを並べると、首位BYDの規模感は今も別格だ。続くのはSAIC、吉利、奇瑞(Chery)。奇瑞のNEV販売は100,276台と、初めて10万台の大台を突破した。新興勢では零跑、华为系のHIMA(鴻蒙智行)、小米(Xiaomi)が3万台級で並走する展開となっている。
| メーカー / ブランド | 4月販売台数 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| BYD(総販売) | 321,100台 | マイナス(8カ月連続) |
| 吉利 NEV | 135,591台 | NEV比率58% |
| 奇瑞 NEV | 100,276台 | 初の10万台超 |
| 零跑(Leapmotor) | 71,387台 | +73.9% |
| 理想(Li Auto) | 34,085台 | +0.4% |
| HIMA(華為系) | 32,759台 | — |
| Zeekr | 31,787台 | +132% |
| 小鵬(XPeng) | 31,011台 | — |
| 小米(Xiaomi) | 30,000台超 | — |
| NIOグループ | 29,356台 | +22.8% |
中国乗用車協会(CPCA)は、NEVは依然として内燃機関車を上回るペースで成長しているものの、4月上旬は祝日影響と燃料価格の上昇によって全体市場に逆風が吹いたとコメントしている。
BYD減速の正体 – 国内縮小を覆い隠す「輸出40%」
BYDの全体首位は揺るがない。ただし8カ月連続の前年割れという数字は重い。国内シェア拡大が頭打ちになりつつある証左でもある。
鍵は海外販売の伸びにある。乗用車・ピックアップの輸出が4月単月で134,500台に達し、前年比70.9%増。月間販売の40%超が海外という構図に切り替わっており、BYDは国内の価格競争を避けつつ、欧州・東南アジア・南米へと販路を分散させている。バッテリー出荷量もNEV用と蓄電用を合わせて20.977GWhを記録し、製造体力そのものは衰えていない。
つまり、BYDは「中国で減らした分を海外で稼ぎ直す」フェーズに入った。日本のBYD Auto Japanがこの流れの一翼を担うのは間違いなく、2025年に約6,000台規模が見込まれるRACCO以降のラインナップ拡充は、本社の輸出シフトと同期している。
零跑とZeekr – 「テック平価」と高級EV、ふたつの勝ち筋
新興勢で抜け出したのが零跑とZeekrだ。同じ伸びでも勝ち方は真逆。
零跑は3カ月連続で新興ブランド首位を獲り、主力モデル「A10」を生産する工場は1日1,000台超の体制に入った。象徴的なのは、10万元(約200万円)クラスに高度な知能運転(ADAS)機能を搭載してきたことだ。これまで30万元級のプレミアムBEVに限定されていた装備を、一気に大衆価格まで引き下ろす——中国国内で「科技平権(テック平価)」と呼ばれる戦略で、低価格帯の競争軸を再定義している。
対するZeekrは平均販売価格が約35万元(約5万USD、日本円で700万円超)と高い。それで4月販売は31,787台、前年比132%増を記録した。母体である吉利(Geely)グループのNEV比率が58%まで上昇していることも踏まえると、グループ内分業——大衆向けはGalaxy、プレミアムはZeekr——が機能し始めた段階にある。
同じ「躍進」でも、零跑は単価を下げて数を稼ぎ、Zeekrは単価を維持して数を伸ばす。中国EV市場が量と質の両極で同時に深化していることを示すデータだ。
日本のEV売り場で何が起きるか
日本市場にとって、この勢力図変化はそのまま輸入される話ではない。零跑、Zeekr、HIMAはいずれも日本に正規参入していない。NIOも欧州展開を優先しており、当面の上陸予定は見えない。日本で買える中国EVは事実上BYDのみ、という状況が当分続く。
その意味で重要なのは、BYDがどんな立ち位置で日本に来ているかだ。本社が国内で「8カ月連続減」のフェーズに入った今、海外輸出は単なる成長戦略ではなく、収益構造そのものを支える柱になっている。日本では2025年秋に発売されたRACCOがコンパクトSUV市場で実績を積み、2026年時点で約100店舗体制が整いつつある。これは中国本社の「海外40%」シフトと整合した投資配分だ。
裏を返せば、零跑やZeekrの「テック平価」「高級EVの大量生産」モデルが日本に直接持ち込まれる日は当面ない。日本のEVユーザーが触れるのは、中国市場で激化する競争を生き残ったBYDの選別された商品群ということになる。次の判断材料は、5月のBYD国内販売が前年割れから抜け出せるか。輸出依存度がさらに高まれば、日本投入モデルの選定や価格戦略にも直接波及する。
出典
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