EV市場・グローバル

中国NEV販売3月データ – 内需18%減でも輸出倍増で全体微増の構造変化

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EV市場・グローバル: 中国NEV販売3月データ – 内需18%減でも輸出倍増で全体微増の構造変化
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内需が2割近く落ち込んでも、全体はプラス——。中国自動車工業協会(CAAM)が4月10日に発表した3月のNEV(新エネルギー車)販売データは、中国EV産業の重心が「国内消費」から「輸出」へ急速に移りつつある実態を数字で裏づけた。

全体は微増、中身は大きく変質

3月のNEV卸売出荷台数は125.2万台で、前年同月比1.2%増。春節明けの反動もあり前月比では63.7%増と大きく跳ねたが、前年比で見ればほぼ横ばいだ。新車販売全体に占めるNEV比率は43.2%と、2月の42.4%からじわりと上昇した。

問題は中身にある。国内向けNEV販売は88.2万台で、前年同月比18.3%減。一方、輸出は37.1万台と前年の2.3倍に膨らみ、単月として過去最高を記録した。国内の落ち込みを輸出が丸ごと補填し、かろうじて全体をプラスに保った格好だ。

BEVもPHEVも「国内減・輸出増」

セグメント別に見ても構図は同じだ。

指標 BEV PHEV
3月販売台数 83.1万台 42.1万台
前年同月比 +3.2% -2.3%
輸出台数 21.7万台 15.3万台
輸出 前年同月比 +110% +180%

BEVは国内販売がわずかにプラスを維持したものの、生産は前年比2.3%減と絞り気味。PHEVは販売・生産とも前年割れだが、輸出だけは前年比180%増と突出している。プラグインハイブリッドは充電インフラが未整備な新興国市場で受け入れられやすく、東南アジアや中東での需要が輸出を押し上げている。

バッテリー5割増産と価格下落が輸出攻勢を加速する

需要側の鈍化とは対照的に、サプライチェーンは拡張を続けている。中国汽車動力電池産業イノベーション連盟によれば、3月の動力用・蓄電用バッテリー合計生産量は177.7GWhで前年同月比50.2%増。車両販売の伸びが1%台にとどまる中でバッテリー生産が5割増という乖離は、蓄電向け需要の拡大と輸出向け在庫積み増しの両面で説明できる。

ただし過剰供給の圧力はすでに顕在化している。LFP(リン酸鉄リチウム)セルの市場価格は2024年初頭のkWhあたり約0.5元(約10円)台から2025年末には0.3元(約6円)台まで下落し、中小セルメーカーの淘汰が進んだ。CATLやBYDなど上位メーカーは規模の経済で利益を確保しつつ増産を続けており、このコスト優位がそのまま輸出車両の値付けに反映される構造だ。

中国自動車市場全体の3月出荷は289.9万台で、前年同月比0.6%減。うち輸出は87.5万台と前年比72.7%増で、出荷全体の約3割を輸出が占める。バッテリーコストの低下が車両価格の引き下げ余地を広げ、その価格競争力がさらに輸出を伸ばす——この循環はすでに回り始めている。

バッテリー価格下落が日本での値付けを変える

BYDは2026年中にSEALION 7とRACCOの日本投入を控えている。本国では値引き競争が常態化しており、LFPセルの調達コスト低下が日本向け車両の価格設定にも直結する。現時点でBYD ATTO 3の日本での販売価格は440万円前後で、同クラスの国産BEVより50〜100万円ほど安い。セル価格がさらに下がれば、この価格差は広がる。

欧米が中国製EVに追加関税を課す中、関税障壁の低い日本と東南アジアへの輸出集中は既定路線だ。3月データで輸出が出荷全体の3割に達した事実は、中国メーカーにとって海外市場が「補助輪」から「主輪」に変わりつつあることを示している。4月以降はEUの追加関税見直し協議と、米国の対中関税第4弾の具体的内容が焦点になる。その結果次第で、日本を含むアジア市場への輸出配分がさらに変わる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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