ホンダ スーパーワン vs BYD DOLPHIN – 日本で買える小型EVの選択肢を比較
日本の小型EV市場に、新たな選択肢が加わる。ホンダが2026年5月下旬に発売する「スーパーワン(Super-ONE)」は、Aセグメントの小型EVとして国内市場に投入される。先行するBYD DOLPHINとあわせ、手の届く価格帯のEVがようやく出揃い始めた格好だ。
スーパーワンの正体——軽の技術を転用した割り切りEV
ホンダが4月10日に正式発表したスーパーワンは、Nシリーズで培った軽量プラットフォームをベースにトレッドを拡幅した専用シャシーを採用する。車両重量1090kgは、国内で販売される乗用EVとしてクラス最軽量レベルだとホンダは説明している。WLTCモードの航続距離は274km。日常の足としては十分だが、長距離用途には心許ない数字だ。
目を引くのは専用ドライブモード「BOOSTモード」の存在だろう。通常47kWの最大出力を70kWまで引き上げ、7段の仮想有段シフト制御とアクティブサウンドコントロールを連動させる。EVに「走る楽しさ」を求めるホンダらしいアプローチで、ステアリングのパドル操作による変速も可能。BOSE製8スピーカーのプレミアムサウンドシステムも標準装備とした。
なお、ホンダは3月に四輪電動化戦略の見直しを発表しているが、オートモビルカウンシル2026の会場説明員によると、見直しの中心は北米市場であり、日本市場への影響は限定的とのことだった。スーパーワンは予定通り5月下旬に発売され、4月16日から全国のホンダカーズで先行予約を受け付ける。
BYD DOLPHINという先行者
一方、2023年9月から日本で販売されているBYD DOLPHINは、すでに小型EVカテゴリーで一定のポジションを築いている。Baselineグレードが299万2000円、Long Rangeが374万円。WLTCモードの航続距離はLong Rangeで400kmに達し、実用面での不安は少ない。
DOLPHINの強みはBYD独自のBlade Battery(LFPセル)による高い安全性と、e-Platform 3.0がもたらす低重心設計にある。釘刺し試験をクリアしたバッテリーの信頼性は、中国国内での膨大な販売実績が裏付けている。2026年度のCEV補助金を適用すれば、Baselineは実質約234万円まで下がる計算だ。東京都の上乗せ補助を加えれば200万円を切る可能性もある。
スペック比較——航続距離と走りの味付けに差
| 項目 | ホンダ スーパーワン | BYD DOLPHIN(Baseline) | BYD DOLPHIN(Long Range) |
|---|---|---|---|
| 車両タイプ | Aセグメント小型EV | コンパクトEV | コンパクトEV |
| 航続距離(WLTC) | 274km | 400km | 400km |
| 車両重量 | 1090kg | 約1520kg | 約1680kg |
| 最大出力 | 47kW(BOOST時70kW) | 70kW | 150kW |
| 価格(税込) | 未発表 | 299万2000円 | 374万円 |
| CEV補助金(2026年度) | 未定 | 65万円 | 65万円 |
航続距離ではDOLPHINが圧倒する。274km対400kmの差は、週末のちょっとした遠出で充電計画に余裕が出るかどうかの分かれ目になる。ただし車両重量はスーパーワンが430kg以上軽く、この軽さがもたらす走りの軽快感はカタログスペックだけでは測れない。BOOSTモードの仮想シフト制御も含め、「運転して楽しいかどうか」ではスーパーワンに分がありそうだ。
価格が決める勝負の行方
最大の未知数はスーパーワンの価格設定だ。ホンダは現時点で価格を公表していない。軽自動車ベースのプラットフォームを使い、航続距離を274kmに抑えている点を考えれば、DOLPHINのBaselineグレード(約299万円)を下回る価格帯を狙っていると見るのが自然だろう。仮に250万円前後で登場すれば、CEV補助金適用後は200万円を切る水準になり、日産サクラとDOLPHINの間を埋める存在になる。
逆に300万円を超えてくるようだと、航続距離で勝るDOLPHINとの差別化は「走りの楽しさ」と「国産ブランドの安心感」に頼ることになる。ホンダがスーパーワンにどんな値札を付けるか。それが日本の小型EV市場の構図を決める。
純正アクセサリーの「ブルドッグ スタイル」も興味深い仕掛けだ。1983年のシティ・ターボIIをオマージュしたデカールやテールゲートスポイラーで、かつての「TURBO II WITH INTERCOOLER」を「BULLDOG WITH ELECTRIC POWER」に置き換えた遊び心は、EVに情緒的な価値を持たせようとするホンダの意図が透ける。こうしたカスタマイズ文化はBYDにはまだ薄い領域で、趣味性を重視するユーザー層の取り込みにつながる可能性はある。
スーパーワンの正式価格発表は5月の発売時期に合わせて行われる見通し。先行予約は4月16日に始まる。
出典
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