日本で買える中国EV全車種 BYD価格とスペック2026年10月
結論:日本で正規販売されている中国系EVは2026年10月時点でBYDの6車種(13グレード)だけ。ZEEKRは輸入代理店経由の少量販売、GAC AIONやCheryは参入準備の段階にある。
| ブランド | 参入形態 | 状況 |
|---|---|---|
| BYD | 全国フランチャイズ(78店舗(2026年10月時点)) | 6車種を正規販売(214.5万円〜) |
| ZEEKR(Geely傘下) | 輸入代理店フォロフライ経由 | ZEEKR 009(1,300万円〜)、2026年納車開始 |
| GAC AION | ディーラー網(M Mobility Japan) | 2026年200台、2027年2,000台が目標 |
| Chery/EMTA | 合弁ブランド | 軽EVを2027年春発売目標 |
| NIO・Xpeng・Leapmotor | なし | 未参入 |
日本で正規販売されている中国系EVは2026年10月時点でBYDの6車種(グレード合算13通り)で、価格は214万5,000円(RACCO 200)から575万3,000円(SEALION 7 AWD)まで分布する(いずれも税込)。Polestarは日本での正規販売が確認できない。
2026年7月に軽EV「RACCO」が加わり、9月にはATTO 3が「ATTO 3 EX」へ刷新され、BYDの日本ラインナップは6車種13グレードになった。一方で同じく「中国系」と括られがちなPolestarは、資本構造の変化と米国での規制対応により、その位置づけが揺れている。本稿では価格・スペックの最新値を数字で整理しつつ、補助金制度の構造変化と「中国EVとは何を指すのか」という論点まで掘り下げる。
BYD6車種、214万円〜575万円
BYD Japanの現行ラインナップは6車種13グレード。軽EVのRACCOから、セダンのSEAL、SUVのSEALION7まで幅がある。価格とWLTC航続距離を一覧にすると、低価格帯と高航続帯の差がはっきり見える。
| モデル | 価格 | WLTC航続 | バッテリー容量 |
|---|---|---|---|
| RACCO200 | 214万5,000円 | 210km | 22.4kWh |
| RACCO300 Plus/Premium | 239万8,000円/249万7,000円 | 320km | 35.84kWh |
| DOLPHIN Baseline | 299万2,000円 | 415km | 44.9kWh |
| DOLPHIN Long Range | 374万円 | 476km | 58.56kWh |
| ATTO 3 EX RWD | 437万8,000円 | 620km | 74.88kWh |
| ATTO 3 EX AWD | 487万3,000円 | 550km | 74.88kWh |
| SEALION6 FWD(PHEV) | 398万2,000円 | EV走行100km | 18.3kWh(EV分) |
| SEALION6 AWD(PHEV) | 448万8,000円 | EV走行90km | 18.3kWh(EV分) |
| SEALION7 RWD | 498万3,000円 | 590km | 82.56kWh |
| SEALION7 AWD | 575万3,000円 | 540km | 82.56kWh |
| SEAL 2WD | 495万円 | 640km | 82.56kWh |
| SEAL AWD | 572万円 | 575km | 82.56kWh |
注目したいのはRACCOの登場で価格帯の下限が大きく下がったこと。従来の最安はDOLPHIN Baselineの299万2,000円だったが、RACCO200はそこから約85万円も下げてきた。詳しい車種ごとの比較はBYD全車種の価格・スペック比較でも整理している。
SEALION6はBYD初のPHEV
2025年12月1日に発売されたSEALION6は、BYD日本初のプラグインハイブリッド車だ。FWDはフロントモーター197PS・300NmとガソリンエンジンのEVモードを使い分け、EV走行換算で100km、燃費は約22.4km/L。AWDはデュアルモーター367PS・550Nmに1.5Lターボを組み合わせ、0-100km/h加速はFWDが8.5秒とされる。納車はFWDが2026年1月下旬から、AWDが2026年3月下旬からと案内されている。
RACCOは補助金後199.5万円

2026年7月28日発売のRACCOは、BYDが日本専用に設計した初の軽EV。全高1.8mの軽自動車規格で、リアに両側電動スライドドアを備える。2026年内に1万台の受注を目標に掲げており、BYD Japanにとって量販の主力になる車種だ。
| 項目 | RACCO200 | 日産サクラ | ホンダN-ONE e: |
|---|---|---|---|
| 価格 | 214万5,000円 | 244万円 | 269万円 |
| 補助金適用後 | 199万5,000円 | 約187万円(S、補助金58万円) | 約212万円(G、補助金58万円) |
| WLTC航続 | 210km | 180km級 | 295km |
| 全高 | 1.8m | 約1.65m | 非公表 |
webCGなど自動車専門メディアの実測・評価記事によれば、RACCOはサクラより車高が約15cm高いにもかかわらず、300グレードの航続距離320kmはサクラ・N-ONE e:の両方を上回ると報じられている。ただしN-ONE e:自体もサクラより航続距離で優位とされ、軽EVはサクラ・N-ONE e:・RACCOに加えてスズキの新型軽EVも控え、三極化どころか四極化の様相になってきた。補助金適用後199万5,000円という「200万円切り」の価格設定は、軽自動車購入層の心理的な壁を意識した数字だろう。
Blade Batteryは8年15万km保証
BYD車の心臓部であるBlade Batteryは、リン酸鉄リチウム(LFP)という化学組成のセルを使う。LFPはニッケル・コバルトを使うNCM系に比べてエネルギー密度は低いが、熱暴走しにくく、充放電を繰り返しても劣化しにくいという特性がある。BYDは独自のパッケージング技術で、刀のように薄く長いセルをパック内に構造部材として配置し、同じ体積でも実質的な容量を確保している。これが「Blade(刀)」という名の由来だ。
欧州向けの発表では、Blade Batteryは8年・25万km・SOH(健全度)70%を保証するとされ、独立機関による耐久試験では3,000サイクル超、総走行距離換算で約100万km相当という結果も報じられている。ただしこれは欧州での条件だ。日本ではBYD Auto Japanが2025年4月から、パワーバッテリーのSoH保証を8年15万kmで無償提供しており、有償で最長10年30万km(初期容量70%以上)まで延長できる。
CHAdeMOという日本固有の事情
急速充電の規格は地域ごとに異なる。日本はCHAdeMO、欧米はCCSが主流で、BYDは日本仕様のATTO3やDOLPHINにCHAdeMO対応を施し、国内の充電器メーカーと適合試験を済ませている。e-Mobility Powerは最大350kW級・1000V対応の次世代超急速充電器を開発中で、理論上は10分で400km分の充電が可能になるという。充電インフラの最新状況も合わせて見ると、BYD車を選ぶ際の実用面での判断材料になる。
Polestarは中国EVか、資本で検証

なお、Polestarは2026年10月時点で日本に正規販売網を持たず、日本での正規販売の発表も確認できない。そのうえで「中国EV」という括りに、Polestarを含めるべきかは意見が分かれる。ブランドの出自はスウェーデンで、見た目も北欧デザインの延長線上にある。だが資本構造を見ると話は変わる。出資比率48%を持っていたVolvoは資金支援を停止し、代わりに中国・浙江吉利控股集団(Geely)が実質的な経営・資金の主導権を握る方向にシフトしている。
この流れを決定的に印象づけたのが、2026年6月25日に米商務省が出した発表だ。Polestarを「中国リンクのコネクテッドカー」規制の対象とし、2027年モデル以降の米国内販売を認めないとした。理由はGeelyが株式の過半を保有していること、そしてBluetooth・無線通信・セルラー・衛星通信などのコネクテッド機能が機密データ収集の国家安全保障リスクになり得るとされたことだ。スウェーデン生まれのブランドが、資本構成を理由に「中国車」として米国市場から排除される。この矛盾こそが、Polestarを巡る論点の核心だと言える。安全性はEuro NCAPの星の数と項目別のスコアで比べられる。→ 中国EV衝突安全性(Euro NCAP評価)
一方、肝心の日本における2026年10月時点のPolestar2の確定価格は、公的な一次情報での確証が取れなかった。情報源によって491万円台から233万円台まで大きく食い違っており、どちらも公式発表の裏付けが乏しい。本稿では具体的な金額を断定せず、購入を検討するなら公式サイトか正規ディーラーへの直接確認を勧める。グローバルでは2025年8月に70kWh(CATL製)の新バッテリーを積んだStandard Range Single MotorがWLTP554km、82kWhのLong Range系は568〜659kmとされ、最大180kWでの急速充電は10-80%を26分で済ませるという。日本仕様がこの改良版相当かどうかも、現時点では確認できていない。中国では2026年後半もBYD・NIO・Xpengなどの新型投入が続く。→ 中国EV 2026年後半の新型まとめ
補助金15万円、経済安全保障の壁
2026年度(令和8年度)のCEV補助金は、上限額こそ最大130万円に引き上げられた。だが同時に導入された新基準が厳しい。200点満点の採点方式で、配点の半分にあたる100点が「供給の安定性・サイバーセキュリティへの対応」に割り振られ、さらに充電インフラ整備(40点)、整備体制・人材育成(25点)など企業全体の取り組みが評価される。車両性能の配点は20点にとどまる。
| 車種 | 2026年度補助額 |
|---|---|
| BYD全車種(RACCO・DOLPHIN・ATTO3・SEAL・SEALION6/7) | 15万円 |
| 日産サクラ・ホンダN-ONE e: | 58万円 |
| トヨタbZ4Xなど国産大型BEV | 最大130万円 |
結果として、BYD車は全車種が一律15万円、つまり補助金の下限まで減額された。前年度は65万円から35万円へと段階的に減っていたが、2026年4月1日以降は一段と厳しくなった。同じ軽EVでも、サクラ・N-ONE e:が58万円を得られるのに対し、RACCOはその4分の1強の15万円しか引けない。これは単純な車両性能の差ではなく、採点項目の設計そのものがBYDに不利に働いている構図だ。なお、Polestarの2026年度補助対象可否・補助額は、次世代自動車振興センターの補助対象車両一覧で個別に確認する必要があり、現時点で確証のある数字はない。日本未導入のDENZAブランドでは、スポーツカーのDenza Zも発表されている。→ Denza Zの価格とスペック
Zeekrは並行輸入、BYDは正規網
新規参入として報じられているZeekr(吉利傘下)は、BYDとは全く異なる売り方で日本に入ってきている。京都大学発スタートアップ「フォロフライ」が、大型EVミニバンのZeekr 009を1300万円からの並行輸入で展開中だ。全長5209mm・全幅2024mm・全高1812mmの車体に最大7人乗り、140kWhのバッテリーで最大822km相当の航続、0-100km/hは4.5秒とされる。狙うのは個人の量販ではなく、企業経営者や訪日富裕層向けのハイヤー・社用車といったB2B需要で、年間1000台規模を目標に数十台の予約が入っているという。
これは国土交通省の型式指定を取得した正式な自動車メーカー進出ではない。BYDが型式指定を取り、ディーラー網を77拠点(2026年9月時点、開業準備中を含む)まで広げ、2026年末に100拠点、2027年末に120拠点を目指す「正規輸入・個人向け量販」モデルとは、参入のかたちがまったく違う。Zeekr Xも日本導入が報じられてきたが、2026年10月時点で日本での発売・価格の公式発表は確認できず、販売方式が並行輸入になるかどうかの確証はなく、「発売予定」の段階を「発売済み」と取り違えないよう注意したい。中国EVメーカーの一覧で各社の立ち位置を比較すると、この違いがより分かりやすい。実車を見て見積もりを取るなら、最寄りの正規ディーラーを都道府県から探せる。→ BYD正規ディーラー検索
販売数字は団体公表値を軸に見る
日本自動車輸入組合(JAIA)の集計では、2026年度上期(4〜9月)の外国メーカー車のEV登録は前年同期比38.5%増の23,022台、EV比率は19.0%で、いずれも上期として過去最高だった。一方でBYD単体(乗用車)は2026年4〜9月期に前年同期比13.3%減の2,043台。全国軽自動車協会連合会の集計では、軽EVのRACCOが648台となっている。2025年通期ではBYD日本の新規登録は前年比68%増の3,742台、2025年秋時点の累計は7,123台(同年7月24日に累計5,000台目を納車)だった。ネット上では「2026年9月単月に前年比51%減、393台」という数字も流れているが、出典は匿名掲示板や個人ブログが中心で、JAIAの公式集計と照合できないため、本稿ではこの数字を断定材料として採用しない。
BLADE NOTEの見立て
「日本で買える中国EV」という括り自体が、もう実情に合わなくなってきていると見ている。BYDは型式指定を取った正規輸入車として、RACCOという日本専用車まで投入し、現地化を本気で進めている。対するPolestarは資本構成上Geelyの色が強まりながら、米国では国家安全保障上の理由で事実上「中国車」として排除されるという、評価の分裂を抱えたブランドになった。日本はいまのところPolestarを問題視していないが、米国の規制がこのまま続けば、いずれ日本の政策論議にも波及しうる。この論点はまだどの媒体もあまり触れていない。
もう一つ指摘したいのは、2026年度CEV補助金の「経済安全保障スコア100点」が、BYDの価格競争力を直接削る構造改革になっている点だ。4〜9月期にBYD乗用車(登録車)の登録が13.3%減ったことは、補助金制度の変更が逆風になっている可能性を示す。ただしこの数字は軽自動車のRACCO(648台)を含まない。RACCOを含むBYDの2026年1〜9月の国内販売は3,911台で、前年同期の2,899台から35%増えている。車両の魅力や価格そのものではなく、採点制度の設計が普及速度を左右する時代に入ったということだ。欧米は中国製EVに追加関税をかけており、日本との扱いの違いが価格差の背景にある。→ 中国EV関税2026(EU・米国の税率)
Zeekrの並行輸入によるB2B限定参入も、BYDの量販モデルとは別の実験として見ておきたい。型式指定を取らずに富裕層・法人需要だけを狙う戦略は、規制のハードルを避けつつニッチを押さえる合理的なやり方であり、今後他の中国メーカーが追随する可能性は低くない。次世代自動車振興センターが2026年度補助対象車両一覧を更新するのは例年11月前後。Polestarがそこに名を連ねるかどうかが、次に確認すべき材料になる。NIOは日本で正規販売しておらず、入手手段は並行輸入に限られる。→ NIOが日本で正規販売していない理由
中国ブランドEVの日本参入状況一覧
BYD以外の中国ブランドは、全国で正規販売する段階にまだ届いていない。参入の進み具合でブランドを分けると次のようになる(2026年9月時点。空欄は非公表)。
| 区分 | ブランド(グループ) | 参入形態 | 代表車種・価格帯 | 販売実績・目標 |
|---|---|---|---|---|
| フル展開 | BYD(比亜迪) | 型式指定+全国フランチャイズ(78店舗(2026年10月時点)) | ドルフィン/ATTO3/シール/シーライオン6・7/RACCO(214.5万円〜) | 2026年1〜9月 3,911台(登録車+RACCO) |
| 小規模輸入 | ZEEKR(吉利/Geely傘下) | 輸入代理店フォロフライ経由 | ZEEKR 009(1,300万円〜) | 年間目標約1,000台、2026年納車開始 |
| 参入表明・準備中 | GAC AION(広汽埃安) | ディーラー網(M Mobility Japan) | AION UT(約330万円〜)/AION V(約500万円〜) | 2026年200台、2027年2,000台目標 |
| 参入発表・未発売 | Chery(奇瑞)/新ブランドEMTA | 合弁ブランド(オートバックスセブン等5社) | 軽EV(価格非公表) | 2027年春発売目標、2026年9月時点は未参入 |
| 未参入(準備動作あり) | NIO(蔚来) | なし | なし | 欧州優先、日本の具体的時期は未発表 |
| 未参入(準備動作あり) | Xpeng(小鵬汽車) | 横浜オフィスのみ | なし | 欧州・東南アジア優先 |
| 未参入 | Leapmotor(零跑汽車) | なし | なし | 2027年以降検討との情報のみ(未確定) |
| 未参入 | Wuling(上汽通用五菱) | 個人輸入的な試み(2022年頃) | 宏光MINI EV | 商業的な日本参入の実現は確認できず |
| 情報なし | Denza/Voyah/Hongqi/GWM(ORA)/MG | 非公表 | — | 参入・撤退を裏付ける情報なし |
BYDが全国のディーラー網で売れるのは、国の型式指定を取って量産車として登録しているからだ。ZEEKRのような少量輸入は認証コストを抑えて小さく始める方式で、BYDの実績台数とZEEKR・GAC AIONの目標台数は性質の違う数字として読む必要がある。各社の資本関係は中国EVメーカー一覧で確認できる。
出典
- BYD Japan ラインナップ(BYD Japan関連情報サイト)
- BYD ATTO3 スペック(TEPCO EVdays)
- BYD launches SEALION 6 in Japan(CarNewsChina)
- BYD launches SEALION6 in Japan(CnEVPost)
- BYDから軽EV「ラッコ」登場 214万円から(Impress Watch)
- BYD commences sales of RACCO(electrive)
- RACCO関連報道(Innovatopia)
- 続・直撃「BYDラッコ」(webCG)
- Blade Battery(BYD Europe)
- BYD extends Blade Battery warranty(Autotrade.ie)
- CHAdeMO 1000V charging(CHAdeMO協議会)
- Polestar 2 gets upgrade(The Driven)
- Volvo stops funding Polestar(Motor Authority)
- Polestar、米国で販売禁止(熊本日日新聞)
- Polestar banned from US market(Fox Business)
- 2026年度CEV補助金の採点方式(36Kr Japan)
- CEV補助金、BYDは一律15万円に(ベストカーWeb)
- Zeekr 009、並行輸入で日本展開(36Kr Japan)
- Zeekr 009関連報道(くるまのニュース)
2026年10月24日: 販売店数を最新値(BYD Auto Japan公式の店舗一覧で2026年10月24日時点78店舗、営業中60・開業準備中18)に更新しました。




