中国EV

Zeekr 8X発売 – BEVからPHEVへ舵を切る中国プレミアムEV勢の現在地NEW

5分で読める
中国EV: Zeekr 8X発売 – BEVからPHEVへ舵を切る中国プレミアムEV勢の現在地
広告

プレミアムBEV専業だったはずのZeekrが、2台目のPHEV・SUVを市場に投入した。CnEVPostの報道によると、Zeekr 8Xの発売価格は32万9,800元(約483万円)から。事前予約価格の37万6,800元から約12.5%の大幅値下げでの船出となる。

900V+3モーターで「PHEV最強」を狙う

Zeekr 8Xは、Geely傘下のSEA-Sアーキテクチャを採用したミッドラージサイズのプラグインハイブリッドSUVだ。全長5,100mm、ホイールベース3,069mmのボディに5人乗りと6人乗りを用意する。

パワートレインが8Xの性格を決定づけている。900V高電圧システムを搭載し、55kWhまたは70kWhの三元系リチウム電池を積む。EV走行距離はCLTC基準で最大410km、ガソリン満タン・フル充電時の総合航続距離は1,416kmに達する。900V対応の超急速充電により、常温で20%から80%までわずか9分。PHEVでこの充電性能は異例だ。

グレード モーター構成 システム最高出力 0-100km/h バッテリー
標準(シングルモーター) 2.0Tエンジン+1モーター 55kWh / 70kWh
デュアルモーター 2.0Tエンジン+2モーター 660kW 3.7秒 55kWh / 70kWh
耀影(Yaoying) 2.0Tエンジン+3モーター 1,030kW(1,400PS) 2.96秒 70kWh

エンジンはハイブリッド専用の2.0Tで最高出力205kW。最上位の耀影エディションはPHEV初の3モーター・メガワット電動駆動を搭載し、スーパーカー領域の加速性能を実現した。

先進運転支援もフラッグシップ級

Zeekr 8Xは、新世代のG-ASD(Geely Afari Smart Driving)を初搭載した。標準仕様でもNVIDIA Drive Thor-Uチップ1基と長距離LiDARを装備。耀影エディションではThor-Uを2基に増設し、LiDAR 5基を含む43個のセンサーで全方位の環境認識を行う。

BEV専業時代のZeekrが掲げていた「テクノロジー・プレミアム」の看板を、PHEVでもそのまま維持する姿勢が鮮明だ。むしろ、航続距離の制約から解放されたぶん、先進装備のフル実装に振り切れるという判断がうかがえる。

BEV専業路線の転換——Zeekrだけではない

Zeekrは2025年9月に初のPHEVモデル「9X」を投入し、同年12月には月間販売が初めて3万台を突破した。2026年3月の販売は2万9,318台で、前年同月比90%増。PHEVの追加がブランド全体の成長エンジンになっている構図は明らかだ。

この流れはZeekrに限った話ではない。NIOはBaaS(バッテリー交換サービス)を軸にBEV専業を貫いてきたが、傘下のONVO(楽道)ブランドではEREV(レンジエクステンダー)モデルを展開し始めた。Li Auto(理想汽車)がEREV戦略で年間50万台規模まで急成長した実績が、プレミアムBEV勢の戦略転換を後押ししている。

背景にあるのは中国市場の現実だ。都市部ではBEVで十分でも、長距離移動や寒冷地での航続低下を考えると、エンジンを持つPHEV/EREVのほうが購入のハードルが低い。価格競争が激化するなかで、BEVだけでは販売台数を確保しきれないという判断が各社に広がっている。

海外展開も視野——第3四半期にグローバル版投入へ

Geely Auto GroupのCEO、Jerry Gan氏は8Xの発売に合わせ、9Xと8Xのグローバル版開発を加速していると明かした。早ければ第3四半期に海外市場へ投入する計画だ。

欧州ではすでにZeekr 001やXがラインナップされているが、PHEVモデルの追加は関税面でも意味を持つ。EUの中国製BEVに対する追加関税が続くなか、PHEVは別枠の扱いを受ける可能性があるためだ。Zeekrの希望小売価格は35万6,800〜50万800元。グローバル版の価格設定次第では、欧州プレミアムSUV市場で既存勢力との直接対決になる。

日本ではZeekrブランドの正式展開は未定だが、親会社Geelyはボルボやロータスを通じて日本市場での販売網を持つ。日本でもBYD SEAL Uなど中国勢のPHEV投入が始まっており、Zeekrがグローバル展開を本格化すれば、日本も候補に入る可能性はある。

Zeekr 8Xの投入は、「BEVのプレミアムブランド」という創業時のアイデンティティからの明確な転換点だ。9Xに続く2台目のPHEVで、同社はもはやBEV専業とは呼べない。中国プレミアムEV市場では、純粋なBEV路線を堅持するブランドのほうが少数派になりつつある。

出典

広告
BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

BYD・中国EVの最新ニュースを日本語で配信。海外の1次ソースをもとに、日本の読者に向けた独自記事を毎日更新しています。

BYD・中国EVの最新ニュースを毎日配信中。
フォローして最新情報をチェック!