Polestar 4が1,473台リコール — 86kWhバッテリーの熱暴走リスク、その後の経過NEW
2025年4月、Geely(吉利汽車)はPolestar 4の電気自動車1,473台についてリコールを届け出た。対象は2023年11月16日から2024年5月24日までに製造された車両で、高電圧バッテリーの熱暴走リスクが原因だった。リコール開始から約1年が経過した現在、Geelyグループのバッテリー品質管理はどう変化したのか。改めて経緯を整理する。
リコールの経緯と対象車両
中国国家市場監督管理総局(SAMR)が公開した声明によると、リコール措置は2025年5月16日に開始された。原因は、高電圧バッテリー部品の製造工程における不均一性。長期使用によりバッテリーの内部抵抗が異常に上昇し、性能低下を引き起こす可能性がある。
最悪の場合、バッテリーの熱暴走に至る。熱暴走とは、電池内部で連鎖的に温度が上昇し、発火や爆発につながりうる現象だ。GeelyはPolestarの販売会社を通じて対象車両のバッテリーモジュールを無償交換する対応を進めてきた。交換完了までの間、ユーザーには日常使用時の充電上限を70%に抑えるよう呼びかけていた。
86kWhパックの場合、満充電時と70%充電では利用可能容量に約26kWhの差が生じる。日常の通勤用途なら影響は限定的だが、長距離移動には不便が伴う。同価格帯の競合車と比較すると、70%制限下のPolestar 4は容量面の優位を失う。
| 車種 | 総容量 | 実利用容量(70%制限時) |
|---|---|---|
| Polestar 4 | 86kWh | 約60kWh |
| Tesla Model Y | 75kWh | 75kWh(制限なし) |
| BMW iX3 | 80kWh | 80kWh(制限なし) |
Zeekrでも同種のリコール — Geely共通の課題
姉妹ブランドZeekr(極氪)でも同種のリコールが起きていた。Zeekrは2025年2月、Zeekr 001 WEエディション38,277台を同様の熱暴走リスクでリコールした。台数規模はZeekrの方がはるかに大きい。
Zeekrのリコールは、Geelyの子会社VremtがバッテリーサプライヤーのSunwoda(欣旺達)との品質紛争を経て実施されたものだった。Vremtは当初、Sunwodaに対し最大23.1億元(約338億円)の賠償を求めて提訴。その後、両社は和解に至り、不良バッテリーパックの交換費用を実費ベースで按分負担することで合意した。
Polestar 4のリコールがSunwoda製バッテリーに起因するかどうかは、公式には明らかにされていない。ただ、同じGeely傘下で同種の不具合が連続して発覚した事実は、サプライチェーン上の共通課題を浮き彫りにした。Sunwodaは中国の車載バッテリー市場でCATL、BYDに次ぐシェア争いを展開しているが、中国汽車工業協会(CAAM)の2024年統計によると搭載量シェアは約4%にとどまる。急速な生産拡大の中で製造工程の均一性をどこまで維持できるかは、上位メーカーとの差が出やすい領域だ。
VolvoやLotusへの波及可能性
中国のEV市場では、LFP(リン酸鉄リチウム)バッテリーが主流となり、BEVの約7割がLFPを採用している。LFPはNMC(三元系)と比べて熱暴走リスクが低いとされるが、今回リコール対象となった86kWhパックの化学組成は公表されていない。
BYDはブレードバッテリーで釘刺し試験をクリアする安全性を訴求してきた。CATLも麒麟電池(CTP 3.0)で電池パック構造自体の安全設計を強化している。一方、Sunwodaのような中堅サプライヤーでは、内部抵抗の異常上昇のように出荷時の検査では見抜きにくく、長期使用後に初めて顕在化する類の問題への対応力が試される。
Polestar 4は現時点で日本未導入だが、同じGeely傘下のVolvoは日本で年間約1.5万台を販売しており、Lotusも日本市場で展開中だ。今回のリコールは中国国内製造・販売車両が対象で、日本での届出は確認されていない。ただし、グループ内でバッテリー調達先やセル仕様を共有している場合、同一ロットのセルがVolvo EX30など他モデルに搭載されている可能性は残る。日本の国土交通省リコール届出制度では、輸入車であっても国内販売分は届出義務が生じるため、Geely傘下ブランドの日本販売車両に該当ロットのバッテリーが使われていないかが確認すべきポイントになる。
約4万台の交換作業とGeelyの品質管理体制
GeelyグループはVolvo、Polestar、Zeekr、Lotus、Lynk & Coなど多数のブランドを傘下に抱える。Polestar 4の1,473台とZeekrの38,277台を合わせ、グループ全体で約4万台分の交換用バッテリーモジュールが必要となった。リコール開始から約1年が経過したが、交換作業の完了率や進捗に関する公式な発表は確認されていない。
一連のリコールを受け、Geelyグループがサプライヤーの品質管理体制をどこまで見直したかが、今後の焦点となる。VremtとSunwodaの紛争が和解に至った経緯を踏まえると、コスト負担のスキームは整理されたものの、製造工程そのものの改善がどこまで進んだかは外部から検証しにくい。Geelyが2026年以降に投入する新型車のバッテリー調達先の動向が、グループとしての回答になるだろう。
出典
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