Stellantis、東風汽車と欧州工場の共同生産を協議 – 中国EV勢の現地生産が加速NEW
欧州に数十もの工場を抱えながら稼働率の低迷に悩むStellantis。その打開策として浮上したのが、かつてのパートナー・東風汽車(Dongfeng Motor)との提携復活だ。Bloombergの報道をもとにCnEVPostが4月15日に伝えたところによると、両社は欧州と中国での共同生産について協議を進めている。
東風の代表団がドイツ・イタリアの工場を視察
報道によれば、Stellantisは自社の欧州工場の一部を東風に開放し、東風が現地で車両を生産できる体制を検討している。見返りとして、東風は中国国内でStellantisブランドの一部車種を製造する可能性がある。
東風の代表団はすでにドイツとイタリアの工場を訪問済みだ。将来的には東風が欧州工場を買収、または出資する選択肢も議論に含まれているという。
両社の関係は1992年にさかのぼる。Stellantisの前身であるPSAグループ(当時のシトロエン)が中国市場参入のために東風と合弁会社「神龍汽車」を設立したのが始まりだ。しかし近年は中国国内の競争激化により、合弁事業の販売・生産は大幅に縮小していた。今回の協議は、その関係をまったく新しい形で再構築する試みといえる。
Leapmotor、Xiaomi、Xpengとも接触 – 広がる中国メーカーとの連携
Stellantisの中国メーカーとの提携は東風にとどまらない。同社は2023年にLeapmotor(零跑汽車)へ15億ユーロ(約1,770億円)を出資し、筆頭外部株主となった。先週にはReutersの報道として、両社がOpelブランドの電動SUVを共同開発する方向で最終調整に入ったと伝えられている。このモデルはLeapmotorの技術を活用し、スペイン・サラゴサ工場で2028年から年間5万台規模の生産を目指す。
さらにBloombergは先月、Stellantis幹部がXiaomi(小米)やXpeng(小鵬汽車)とも事業再編の選択肢について会談したと伝えていた。VWやBYDとの競争が激化するなか、Stellantisは中国勢の技術力とコスト競争力を取り込む戦略に舵を切っている。
EU関税回避と欧州工場の稼働率改善、利害が一致
この提携構想の背景には、双方にとって明確なメリットがある。
Stellantis側は、欧州に抱える遊休工場の稼働率を引き上げ、固定費を圧縮できる。一方の中国メーカーにとっては、EUが中国製EVに課す追加関税を回避するための現地生産拠点を確保できる。EUは2024年10月から中国製EVに対し最大45.3%の追加関税を適用しており、中国から完成車を輸出するモデルのコスト競争力は大きく削がれている。欧州現地生産へのシフトが加速する構図だ。
LeapmotorがStellantisの販売網を活用して欧州展開を進めているのはその典型例で、東風がこれに続けば、中国系ブランドの欧州現地生産はさらに拡大する。
中国メーカーの欧州集中はアジア戦略を変えるか
中国EVメーカーの生産能力が欧州に分散すれば、対日輸出の優先度が相対的に下がる可能性がある。とはいえ、現時点で東風やLeapmotorは日本市場に進出しておらず、直接的な影響は限定的だ。
BYDの動きと対比すると構図が見えてくる。BYDはハンガリーやトルコでの自社工場建設を進める「自前主義」を貫く一方、Leapmotorや東風はStellantisの既存インフラを活用する「提携型」を選んでいる。欧州市場を主戦場とする中国メーカーが増えるほど、中国国内の生産余力は他地域、つまりアジアや日本に振り向けられる余地も生まれる。
現在、日本で展開する中国EVブランドはBYDのみだが、中国メーカー各社の海外戦略が欧州中心に固まるのか、それともアジア太平洋にも同時展開するのかは、日本のEV市場の選択肢を左右するポイントになる。Stellantisと東風の協議が正式合意に至るか、そして東風がどの車種を欧州生産の第一弾に据えるかが、次の焦点だ。
出典
- Stellantis weighs Dongfeng partnership for Europe and China production, report says(CnEVPost、2026年4月15日)
- Bloomberg – Stellantis Considers Reviving Dongfeng Partnership(Bloomberg、2026年4月16日・元報道)
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