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BYDフラッシュ充電とは?対応車種と日本展開の見通しNEW

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バッテリー技術: BYDフラッシュ充電とは?対応車種と日本展開の見通し
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5分で70%充電——BYDが「Flash Charging」と名付けた超急速充電技術が、高級車だけでなく量販モデルへと一気に広がり始めた。2026年4月、中国の新エネルギー車購入税免除リストに、フラッシュ充電対応の新型Yuan Plus(海外名Atto 3)とSong Pro DM-iが相次いで掲載された。

フラッシュ充電の仕組み – 第2世代Blade Batteryが鍵

BYDのフラッシュ充電は、2026年3月に発表された第2世代Blade Battery(刀片電池)と、最大出力1,500kWの専用メガワット充電器の組み合わせで実現する。充電性能の公称値は「10%→70%が5分、10%→97%が9分、-30℃でもプラス3分」。氷点下での劣化幅がわずか3分という点は、寒冷地の多い日本市場では見逃せないスペックだ。

第2世代Blade BatteryはLFP(リン酸鉄リチウム)セルを踏襲しつつ、セル内部の電解液流路とタブ設計を刷新したとされる。LFPはもともと熱安定性に優れるが、急速充電時のリチウム析出リスクが課題だった。BYDはセルレベルで充電受入性を高めることで、NMC系に頼らずに5C級の超高速充電を可能にした。

量販モデルへの展開 – Yuan Plus(Atto 3)が大幅刷新

フラッシュ充電を最初に搭載したのは超高級セダンのYangwang U7、続いてDenza Z9 GTが欧州向けに11万5,000ユーロで受注を開始した。そしていま、BYDの屋台骨であるYuan Plus(Atto 3)にも同技術が投入される。

CarNewsChinaが報じた税免除リストの情報によると、新型Yuan Plusのバッテリーは57.545kWhと68.547kWhの2種類。CLTC航続距離はそれぞれ540kmと630km。現行Atto 3の日本仕様がWLTC 470kmであることを考えると、上位グレードは大幅な航続延長となる。

ボディサイズも拡大された。全長4,665mm×全幅1,895mm×全高1,675mm、ホイールベース2,770mm。現行の4,455mmから210mm伸び、テスラModel Yにより近いサイズ感になった。リアモーターは200kW(268hp)と240kW(322hp)の2仕様で、こちらも現行から出力を引き上げている。

PHEVにも波及 – Song ProのEV航続が33%増

フラッシュ充電の展開はBEVだけにとどまらない。BYDの量販PHEVクロスオーバーであるSong Pro DM-iにも、フラッシュ充電対応の新バッテリーが搭載される。

4月14日に工業情報化部が公開した第84次リストによると、新型Song Pro DM-iはFinDreams製の34.275kWh LFPバッテリーを搭載し、WLTCでのEV航続が200kmに達する。現行トップグレードの150km(WLTC)から33%の向上だ。バッテリー重量は258kg。10%→97%の充電がBYDのメガワット充電器で約9分という。

Song Proは2026年第1四半期に3万819台を販売したが、前年同期比では40.2%減と苦戦中。中国国内の激しい価格競争のなか、フラッシュ充電と航続延長で巻き返しを図る狙いが透ける。

対応車種一覧と日本モデルへの搭載時期

車種 タイプ フラッシュ充電 バッテリー容量 航続距離
Yangwang U7 超高級セダン 対応 非公開
Denza Z9 GT シューティングブレーク 対応(欧州展開) 非公開
新型Yuan Plus(Atto 3) BEV クロスオーバー 対応 57.5 / 68.5 kWh 540 / 630 km(CLTC)
新型Song Pro DM-i PHEV クロスオーバー 対応 34.3 kWh EV 200 km(WLTC)

日本で販売中のAtto 3は現行世代。BYD Auto Japanがこの新型をいつ導入するかは未発表だが、手がかりはある。Denza Z9 GTが欧州でフラッシュ充電付きモデルとして投入されたことで、海外市場向けの充電インフラ戦略がすでに動き出していることは確かだ。

ただし、日本導入には充電器側の整備が不可欠となる。BYDのフラッシュ充電はメガワット級の専用充電器が前提で、現在日本に普及しているCHAdeMO規格の急速充電器(最大出力90〜150kW程度が主流)とは桁が違う。Electrekによれば、フラッシュ充電器は最大1,500kWの出力に対応する。仮に車両が先に上陸しても、充電性能をフルに活かせる環境が整うまでにはタイムラグが生じる。

BYD Auto Japanは2025年秋にRACCOの投入を控え、販売網を約100店舗に拡大してきた。新型Atto 3の日本仕様が登場するとすれば、早くても2027年以降と見るのが現実的だろう。中国国内でのフラッシュ充電対応モデルの販売動向と、日本のCHAdeMO 3.0(チャオジ)規格の整備進捗が、導入時期を左右する2つの変数になる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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