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VW×Xpeng初の量産車「ID. Unyx 08」発売 – 技術提携が生んだ中身とはNEW

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中国EV: VW×Xpeng初の量産車「ID. Unyx 08」発売 – 技術提携が生んだ中身とは
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800Vプラットフォーム、端到端(エンドツーエンド)の自動運転モデル、315kWの超急速充電——。4月16日に中国で発売されたフォルクスワーゲンの新型電動SUV「ID. Unyx 08」のスペックシートには、従来のVW車では見られなかった数字が並ぶ。Xpeng(小鵬汽車)との技術提携から生まれた初の量産モデルだ。

価格とグレード構成

ID. Unyx 08は3グレード展開で、価格は22万9,900元〜28万9,900元(約480万〜605万円)。3月26日から先行予約を受け付けていた。フォルクスワーゲン・アンホイ(安徽)が生産を担う。

中国市場でVWは月販10万台超を維持しているが、その大半はICE(内燃機関)車。2025年のVW中国BEV販売は約19万台で、BEV市場全体のシェアは2%台にとどまった。テスラやBYDに大きく水をあけられたBEV領域での巻き返しを図る切り札として、このモデルの位置づけは重い。

Xpengの技術がもたらした変化

技術的な変化は知能化領域に集中した。VWが独自開発で苦戦してきたADAS(先進運転支援)に、XpengのVLA(Vision-Language-Action)エンドツーエンドモデルを採用。都市部でのNOA(ナビゲーション連動自動運転支援)をL2レベルで実現した。

センサー構成はミリ波レーダー3基、超音波レーダー12基。演算にはデュアルAIチューリングチップを搭載し、処理能力は1,500TOPSに達する。VWのID.シリーズがこれまで搭載していたシステムとは世代が異なる。

コックピットも刷新された。Qualcomm Snapdragon SA8295Pチップが駆動する14.96インチ2.4Kデュアルディスプレイに、10.25インチのデジタルメーター。AIアシスタントにはXpengのZ.AIとBaidu(百度)の文心大規模言語モデルを統合している。ドイツの自動車メーカーが中国のAI技術をここまで全面採用した例は珍しい。

Xpengはこの技術を自社モデル(P7+やG6など)にも展開しており、VW向けにカスタマイズしたバージョンを供給する形だ。ID.4やID.6といった既存のVW中国向けBEVがIQテクノロジーベースだったのに対し、ID. Unyx 08は設計思想ごと中国テック企業の知見に置き換えたことになる。

800Vと超急速充電の実力

パワートレインは後輪駆動のシングルモーターと、四輪駆動のデュアルモーターを用意。AWDモデルは0-100km/h加速4.9秒、最高速度200km/hを実現する。

バッテリーはCATL製のLFP(リン酸鉄リチウム)で、82kWhと95kWhの2種類。航続距離はそれぞれ630kmと730km(CLTC基準)。800Vアーキテクチャの恩恵で、95kWhモデルは最大315kWのDC急速充電に対応し、5分間の充電で約150km分を回復できる。10%から80%までは約20分。

項目 82kWh仕様 95kWh仕様
バッテリー CATL製LFP 82kWh CATL製LFP 95kWh
航続距離 630km 730km
最大充電出力 315kW
10→80%充電時間 約20分

ボディサイズは全長5,000mm×全幅1,954mm×全高1,688mm、ホイールベース3,030mm。中型〜大型SUVのカテゴリに入る。20インチまたは21インチホイールを選択でき、Bremboの4ピストン固定キャリパーが全車標準装備。オプションのデュアルチャンバーエアサスペンションはDCCアダプティブシャシーコントロールと連携し、最大100mmの車高調整が可能で、AI「マジックカーペット」プレビュー機能により路面状況を先読みして減衰力を制御する。室内は5人乗り、ラゲッジ容量は通常766L、後席を倒せば1,845Lまで拡大する。

提携の構図が示すもの

VWとXpengの提携は2023年に発表され、VWがXpengのEEA(電子電気アーキテクチャ)プラットフォームを活用する形で進んできた。ID. Unyx 08はその最初の成果物であり、VWにとっては中国市場向けBEVの開発速度を一気に引き上げる手段でもある。

VWが自前で開発に苦しんだソフトウェア基盤を、Xpengから調達する構図は、欧州メーカーと中国テック企業の関係が「競合」から「協業」に移りつつあることを映している。こうした動きは自動車業界全体に広がっており、トヨタがBYDとBEV共同開発で提携し「bZ3」を中国市場に投入した事例、ステランティスがLeapmotorに出資し欧州向け小型BEVの販売を始めた事例など、中国のEV技術を外資が取り込む流れは加速している。

ID. Unyx 08の販売台数が軌道に乗れば、VW-Xpeng提携の第2弾、第3弾も加速する。Xpengの知能化技術が欧州向けモデルにも展開されるのか、それとも中国市場限定にとどまるのか——VWの次の判断が、この提携の本気度を測る指標になる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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