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AION UT vs サクラ vs DOLPHIN – 300万円以下小型EV比較NEW

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中国EV: AION UT vs サクラ vs DOLPHIN – 300万円以下小型EV比較
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全長4300mm、航続430km、欧州生産——中国GACグループのAIONブランドが欧州に送り込んだコンパクトEV「AION UT」は、このセグメントの勢力図に割って入る1台だ。日本で人気の日産サクラ、そしてBYD DOLPHINと並べたとき、300万円以下の小型EVはいまどんな競争環境にあるのか。3台の立ち位置を整理する。

AION UT——欧州で現地生産する中国コンパクトEV

GACは2026年4月、イタリア・ミラノで「AION UT欧州プレミア」を開催し、欧州仕様車を正式に披露した。AIONブランドとしては、先行投入されたAION Vに続く2番目の欧州モデルとなる。

ポイントは生産体制だ。オーストリア・グラーツにあるマグナ・インターナショナルの工場で現地生産されており、量産は2026年3月18日に開始済み。中国からの完成車輸出ではなく、欧州域内で組み立てることでEUの関税リスクを回避する狙いがある。EUは2024年10月、中国製EVに対する追加関税を確定させており、GACグループには36.3%という高い税率が課されている。現地生産はこの負担を避けるための実質的な必須条件だ。

GACはこのほか、ロッテルダムに部品・物流センター、アムステルダムに商業拠点を構え、「欧州で、欧州のために(In Europe, for Europe)」を掲げる。

車両スペックを見ると、全長4300mm・ホイールベース2750mmというコンパクトなボディに、WLTP航続430km、DC急速充電で30→80%を24分という実用的な性能を詰め込んでいる。ミラノのデザインセンターが手がけた欧州仕様の外観も、現地市場を強く意識した仕上がりだ。

3台のスペックを並べてみる

AION UTの競合となりうる300万円以下クラスの小型EVとして、日本市場で販売実績のある日産サクラとBYD DOLPHINを比較対象に置く。車格やコンセプトはそれぞれ異なるが、「手の届く価格帯のEV」として消費者の選択肢に並ぶ存在だ。

項目 AION UT 日産サクラ BYD DOLPHIN
全長 4,300mm 3,395mm 4,290mm
ホイールベース 2,750mm 2,495mm 2,700mm
航続距離 430km(WLTP) 180km(WLTCカタログ値) 400km(WLTCカタログ値)
急速充電 30→80%: 24分 30→80%: 約40分 30→80%: 約30分
価格帯 未発表(欧州) 約254万円〜 約363万円〜
生産国 オーストリア 日本 中国

サクラは軽自動車規格で全長3,395mm。街乗り特化の割り切った設計で、国のCEV補助金(最大55万円)と自治体補助金の併用により、実質負担が150万円台に収まるケースもある。累計販売10万台超という数字が示すとおり、地方のセカンドカー需要を的確に捉えた。ただし航続180kmという数値は、長距離移動には心もとない。

DOLPHINは全長4,290mmとAION UTにほぼ近いサイズ感。航続400km(WLTC)、BYD独自のブレードバッテリー搭載で、装備内容に対する価格競争力が武器だ。日本では363万円からだが、CEV補助金(最大35万円)を考慮すれば実質300万円台前半になる。

AION UTは欧州価格が未発表のため直接比較は難しいが、スペック上はDOLPHINと真正面からぶつかるポジション。航続430km(WLTP)、急速充電24分という数値はセグメント上位に位置する。

中国メーカーの「現地生産シフト」が加速

この3台の比較から浮かび上がるのは、小型EVの競争軸が明確に分かれてきたという事実だ。

サクラは「軽規格×超低価格」という日本固有の土俵で戦っている。国内では圧倒的に強いが、そもそも輸出を想定した車ではない。逆にAION UTは欧州市場に照準を絞り、現地生産・現地デザインで「中国車」のイメージを薄める戦略をとっている。DOLPHINはその中間で、グローバル共通モデルを各市場に投入するBYDらしいアプローチだ。

GACがマグナの工場を活用した欧州現地生産に踏み切った背景には、EUが中国製EVに課す追加関税への対応がある。BYDもハンガリー・セゲドで工場建設を進めており、2025年中の着工・2026年の稼働開始を計画している。トルコでも現地生産を予定しており、中国メーカー各社が「輸出から現地生産へ」とシフトする流れは加速している。

日本市場に目を向ければ、AION UTの国内投入は現時点で未発表。ただしGACは13年連続でフォーチュン・グローバル500に入るグループであり、仮に日本参入となれば、DOLPHINの価格帯に直接競合する存在になる。BYD DOLPHINの日本での2025年販売台数は前年比約2倍のペースで推移しており、この価格帯の需要自体が拡大している。参入余地は十分にある。

出典

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BLADE NOTE編集部
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