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Xpeng GX — ステアバイワイヤと3000TOPS演算で量産SUVに「L4レディ」を実装NEW

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Xpeng: Xpeng GX — ステアバイワイヤと3000TOPS演算で量産SUVに「L4レディ」を実装
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3,000TOPS——これは現行の量産車に搭載される知能運転チップとしては桁違いの数字だ。小鵬汽車(Xpeng)が4月15日に予約受付を開始した新型SUV「GX」は、この演算能力にステアバイワイヤ(SbW)を組み合わせ、量産車として「L4自動運転レディ」を標榜する。予約価格は39万9,800元(約58,000ドル)から。

ステアバイワイヤが変えるもの

GXの運転席に座ると、まず目に入るのは2スポークのステアリングホイールだ。従来の機械式ステアリングシャフトを排し、電気信号でタイヤの向きを制御するSbW方式を採用している。ステアリングとタイヤの間に物理的な接続がないため、自動運転システムが介入する際の応答性が格段に上がる。ドライバーへのフィードバックはモーターで人工的に生成され、路面状況に応じた手応えをソフトウェアで調整できる。

SbW自体はレクサスRZやテスラ Cybertruckなど一部の車種で採用例がある。レクサスはワンモーショングリップという異形ステアリングと組み合わせて操舵フィーリングの改善に主眼を置いたが、小鵬はSbWを3,000TOPS級の演算能力と直結させ、自動運転の制御精度を引き上げる方向に振った。トヨタ・ホンダともに次世代車両でSbWの採用を検討しているとされるが、ここまでの演算能力と組み合わせた量産車は日本勢にはまだない。小鵬はこの組み合わせによって、複雑な物理環境でのAIアルゴリズム処理、マルチセンサー融合認識、リアルタイムの走行判断を同時にこなせるとしている。

3,000TOPSの「有効演算能力」と競合との距離

CarNewsChinaの報道によれば、GXが搭載するのは「有効知能運転演算能力3,000TOPS」だ。「有効」という但し書きがつく点には注意が必要で、チップ単体のカタログスペックではなく、実際のADAS処理に使える演算性能を指すと見られる。比較対象として、NVIDIAのOrin-Xは単体254TOPSで、現行の高性能ADAS車両は2〜4基を搭載して500〜1,000TOPS程度を確保するのが一般的だ。3,000TOPSはその数倍にあたる。

競合を見ると、NIOのフラッグシップET9はNVIDIA Thor(2,000TOPS)ベースのADAS基盤を採用し、ファーウェイのADS 3.0プラットフォームは同社製Ascendチップで約400TOPSを実現している。数字の単純比較にはアーキテクチャの違いがあるため慎重さが要るが、小鵬が演算能力で頭一つ抜けようとしていることは明らかだ。

小鵬はVolkswagenとEEAプラットフォームで技術提携しており、自社のNGP(Navigation Guided Pilot)で培った自動運転技術の蓄積がある。GXではこの演算能力を活かし、L4相当の自動運転をハードウェア面で「準備完了」としつつ、ソフトウェアのOTAアップデートで段階的に機能を解放していく戦略と推測される。ただし「L4レディ」はあくまでハードウェアの余力を示す表現であり、中国国内でもL4の公道走行許可は北京・上海・深圳など一部都市の限定区域にとどまる。全国規模の規制緩和には2027年以降の法整備が必要とされており、GXのL4機能が実際にフル稼働するまでにはソフトウェアと法制度の両面で時間がかかる。

車両スペック — EREVと純電動の二本立て

GXはミッドラージSUVで、ボディサイズは全長5,265mm×全幅1,999mm×全高1,800mm、ホイールベース3,115mm。パワートレインはEREV(レンジエクステンダー)と純電動の2種類を用意する。

項目 EREV版 純電動版
駆動方式 前後デュアルモーター 前後デュアルモーター
最高出力 210kW(282hp)合計 540kW(前後各270kW)
レンジエクステンダー 1.5T / 110kW
EV航続(CLTC) 430km 750km
総合航続(CLTC) 1,585km
予約価格 39万9,800元〜 39万9,800元〜

純電動版は前後モーター合計540kWという強力な出力を持ち、CLTC航続750kmを確保。EREV版は1.5Tエンジンを発電専用に使い、総合1,585kmという長距離走行に対応する。価格が同一という設定は、ユーザーのライフスタイルに応じて純粋に使い方で選べるようにする意図だろう。

室内装備と今後の展開

インテリアは17.3インチ3K解像度のフローティングディスプレイを中心に据えたラップアラウンドコックピット。フロントシートは16点マッサージ、16方向電動調整、3段階の空調・ヒーター機能を備え、助手席には「クイーンズ・コパイロット」と呼ぶゼログラビティシートを設定する。このシートにはシートベルトとクッションエアバッグが一体化されている。3列目は0〜180°の電動リクライニングが可能で、完全フラットにできる。ボディカラーは5色、インテリアは3色の展開。

GXは来週開催の北京モーターショー2026で正式デビューする予定だ。小鵬の販売台数は低価格モデルMona M03への依存度が高く、2025年には月販3万台超を記録していたものの、2026年に入って前月比・前年比ともに減少傾向にあるとCarNewsChinaは指摘している。VWとの提携を通じて欧州市場への技術供与は進んでいるが、日本を含むアジア各国への直接展開は現時点で具体的なスケジュールが出ていない。GXの受注状況と北京モーターショーでの反響が、小鵬の2026年後半の製品戦略を占う最初の指標になる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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