BYD多ブランド戦略の全体像 – 方程豹が初セダン投入で攻勢拡大
方程豹(Fang Cheng Bao)が初のセダンを北京モーターショーで公開する。SUV専業だったBYDのサブブランドがセダン市場に踏み込む動きは、BYDグループの4ブランド体制がどこまで広がるのかを具体的に示している。
方程豹、SUV専業からの脱却
CnEVPostの報道によると、方程豹は北京モーターショー(4月24日〜5月3日)で新型セダンをお披露目する。新シリーズ「美(Mei)」の第1弾として「美7(Mei 7)」を名乗る可能性がある。方程豹側はまだ正式発表していない。
中国SNSに出回ったスパイショットでは、ファストバッククーペのような低い車体に、ルーフマウントのLiDARと複数のボディカメラを装備した姿が確認されている。一部の中国メディアは、3モーター構成で最高出力約1,000馬力、DiSus-M(磁性流体制御サスペンション)を搭載すると報じた。
方程豹の熊甜波ゼネラルマネージャーは4月1日、セダンシリーズが「着実に進行中」と発言。北京モーターショーでは太7(Tai 7)のフラッシュチャージ版も展示するとした。
4ブランド体制の棲み分け
BYDは現在、乗用車を4つのブランドで展開している。
| ブランド | 価格帯 | 特徴 | 主力車種 |
|---|---|---|---|
| 王朝(Dynasty) | 10万〜30万元 | 中国の歴史に由来する命名。ボリュームゾーン担当 | 漢、唐、宋、秦 |
| 海洋(Ocean) | 10万〜25万元 | 海洋生物の命名。若年層向けデザイン | SEAL、DOLPHIN、ATTO 3 |
| 方程豹(Fang Cheng Bao) | 20万〜50万元 | アウトドア・パフォーマンス志向 | 豹5、豹8、太7 |
| 仰望(Yangwang) | 100万元超 | 超高級・技術フラッグシップ | U8、U9 |
王朝と海洋が量を稼ぎ、仰望がブランドの天井を引き上げる。方程豹はその間を埋める「プレミアムだが手が届く」枠だ。2023年8月のブランド立ち上げ以来、豹5・豹8・太シリーズのSUVで成長してきたが、セダンがラインナップから欠けていた。
なお、日本市場でBYD Auto Japanが扱うATTO 3、DOLPHIN、SEAL、SEALION 7はいずれも海洋シリーズに属し、2025年秋発売予定のRACCOも同様だ。方程豹や仰望の日本導入は現時点で発表されていない。方程豹がセダンまで手を広げてブランドの厚みを増せば、BYDグループ全体の認知度が上がり、BYD Auto Japanの販売(2024年は約3,500台)にも間接的に影響しうる。
急成長の数字と新技術の実戦投入
方程豹の販売実績は目を引く。2026年3月の販売台数は2万5,926台で、前年同月比222%増。2月からも52.2%の伸びを見せた。第1四半期の累計は6万4,543台、前年同期比で235.95%増。春節後の調整期間を経て、成長軌道に復帰した。
この勢いのなかでのセダン投入となる。SUVだけでは取りこぼす顧客層がいるためだ。新型セダンにはBYDが最近発表した第2世代Blade Batteryと、「ガソリン車の給油並みの充電体験」を謳うフラッシュチャージ技術の搭載が見込まれている。BYDはすでにこれらの新技術を搭載した更新モデルを10車種以上投入しており、方程豹のセダンもその延長線上にある。ただし、正式なスペックはまだ公表されていない。
スマートセダン市場での立ち位置
LiDARやカメラを前面に押し出した構成を見ると、方程豹のセダンはXpengのP7+やNIOのET5といったスマートセダン勢と直接競合する。P7+は20万〜25万元の価格帯でXpengのADAS技術「XNGP」を売りにし、都市部での自動運転機能で支持を集めている。NIO ET5は30万元前後でバッテリー交換サービスとの組み合わせを武器にする。
方程豹が20万〜50万元という幅広い価格帯のなかでセダンをどこに置くかが焦点になる。1,000馬力級のパワートレインとDiSus-Mサスペンションで差別化を図るなら、価格帯は30万元以上に設定される公算が大きい。P7+やET5がスマート機能で勝負するのに対し、方程豹は走行性能とオフロードブランドの延長線上にある「走れるセダン」という独自の立ち位置を狙っているように見える。
北京モーターショーでの正式公開は4月24日。美7の最終的な名称やスペックは、そこで明らかになる見通しだ。
出典
- BYD Fang Cheng Bao to unveil first sedan at Beijing Auto Show(CnEVPost、2026年4月8日)
- BYD Fang Cheng Bao sales data – March 2026(CnEVPost)
BYD・中国EVの最新ニュースを毎日配信中。
フォローして最新情報をチェック!