NIO ES9、5月27日に発売前倒し – 52.8万元からNEW
フルサイズの電動SUVで1万kmを最短時間で走破できるか。NIO(蔚来汽車)は5月6日、新型フラッグシップSUV「ES9」を使ったこの挑戦を中国でスタートさせた。ES9は5月27日に正式発売を迎え、当初予定の6月1日から納車を前倒しする。技術トップエンドの「ET9」セダンと共通アーキテクチャを採用しながら、約23%安い価格設定でフルサイズBEV SUV市場に投入される。
価格設定とグレード構成
ES9の予約販売価格は、車両一括購入で52万8000元(約7万7000米ドル)から。NIO独自のバッテリーレンタル方式「BaaS」を選択すれば、車両単体価格は42万元からスタートする。中国市場の慣例として、正式発売時の価格は予約価格より下がる傾向があり、5月27日のローンチで実販売価格が確定する見通しだ。
上位グレード「Signature Edition」は58万8000元からの設定で、共通プラットフォームを採るET9セダンに対して23.44%安い。NIO創業者でCEOのWilliam Li氏は4月中旬の社内会議で、ES9とサブブランドOnvoの新型「L80」を第2四半期の業績を支える2枚看板と位置づけている。価格戦略にも、ハイエンド需要を取り込む意図が読み取れる。
ET9譲りの中核技術を搭載
ES9にはNIOが自社設計した5nmプロセスの運転支援チップ「Shenji NX9031」を搭載する。NVIDIA Orinなど外部チップに依存する中国EVメーカーが多い中、自社開発チップによる垂直統合でコストと性能の両立を狙う構図だ。チップを内製化することで、ハードとソフトの最適化、将来のアップデート性、サプライチェーン安定性の3点でメリットが期待できる。
さらに「SkyRide」シャシーシステム、15.6インチAMOLEDフローティングセンターディスプレイ、自社開発の車載OS「SkyOS」を装備する。ただしSkyRideのアクティブサスペンションはエントリーグレードでは非搭載で、フル装備を求めるユーザーはSignature Editionへとアップグレードする必要がある。価格帯の幅を持たせて購入層の裾野を広げる手法は、近年の中国プレミアムEV市場のトレンドだ。
ES8からの進化と主要競合との位置づけ
NIOはこれまでフルサイズSUVの「ES8」でハイエンド市場を切り開いてきた。ES9はその後継ではなく、よりプレミアムなフラッグシップとして上位に位置づけられる。NIO自身、ES9を「ES8で築いた高価格帯ビジネスをさらに上のレンジで再現するモデル」と捉えており、ET9と同等のテクノロジーをよりリーズナブルに提供することで価値訴求を行う。
| 項目 | ES9 標準 | ES9 Signature | ET9 Signature |
|---|---|---|---|
| カテゴリ | SUV | SUV | セダン |
| 予約価格 | 52.8万元〜 | 58.8万元〜 | 約76.8万元 |
| BaaS価格 | 42万元〜 | — | — |
| 運転支援チップ | Shenji NX9031 | Shenji NX9031 | Shenji NX9031 |
| SkyRideサス | 非搭載 | 搭載 | 搭載 |
フルサイズBEV SUVカテゴリには、テスラModel XやBMW iXといった既存のプレミアム勢が存在する。両車は中国市場で70万元台後半で販売されており、ES9の標準グレード52.8万元と比べておよそ20万元の価格差がある。バッテリー交換ステーション網を活用できる点もNIO固有の強みで、長距離移動時の充電待ち時間を大幅に短縮できる。
日本市場の視点で考えると、テスラModel XやBMW iXは1000万円超のプレミアム価格帯に位置する。仮にES9が同等のレートで日本投入された場合、800万円台後半から1000万円程度のレンジに収まる計算で、フルサイズプレミアムBEV SUVとしては競争力のある価格帯となる。ただし、NIOがバッテリー交換ステーションを日本に設置する具体的な計画は公表されていない。
1万キロチャレンジと納車前倒しの背景
5月6日にスタートしたES9の「1万キロ最短時間走破チャレンジ」は、中国全土に広がるNIOバッテリー交換ステーション網を経由し、十数の省と直轄市を縦断する。最終ゴールは甘粛省敦煌市で稼働予定のステーションだ。フルサイズの純電動SUVがこの規模の挑戦を行うのは中国で初めてだという。
同社のサブブランドOnvoは2025年7月8日にL60で同様の挑戦を実施し、98時間6分42秒という記録を樹立した。ES9はそのフルサイズSUV版として、より車重と空気抵抗が大きい条件下で記録更新を狙う形になる。バッテリー交換網の存在価値を実走で証明するパフォーマンス施策と読み取れる。
納車を6月1日から5月27日へ前倒ししたのは、第2四半期の販売数を押し上げる必要性に加え、ライバルブランドの新車攻勢に対抗する意味合いも大きい。NIOブランドは現時点で日本未進出だが、ノルウェー・ドイツ・オランダなど欧州を中心にグローバル展開を進めている。ES9の海外仕様の発表時期や仕向け地については、現時点で明らかになっていない。
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