NIO ES8が累計10万台突破 – 高価格帯SUVで異例の販売ペースNEW
累計10万台——。NIOの第3世代ES8が、北京モーターショー開幕前日にこの節目を達成した。40万6800元(約590万円)からという価格帯を考えれば、中国の国産メーカーとしては異例の数字だ。
月販1万台超を5カ月連続で維持
CnEVPostによれば、第3世代ES8は2025年後半のリニューアル以降、販売が急加速した。2026年3月までに月間販売1万台超を5カ月連続で記録し、第1四半期だけで4万5184台を出荷。これはNIO全体の四半期販売の54.14%に相当する。1モデルが過半数を占めるという偏りは、裏を返せばES8の商品力の強さを示している。
4月も10日足らずで累計9万台から10万台に到達しており、月販1万台ペースは6カ月連続となる見通しだ。NIOは2024年通年で約22万台を納車していたが、ES8単体で年間12万台ペースに乗ったことで、2026年の全社販売は大幅な上積みが見込まれる。
北京の大型SUV市場で首位に
NIOによれば、ES8は2026年第1四半期に北京の大型SUV販売でトップに立った。エネルギー種別や価格帯を問わない総合ランキングでの首位だという。同社は上海と合肥でも第1四半期の乗用車ブランド販売で1位を獲得しており、特定都市での存在感が際立つ。
中国のプレミアムEV市場では、40万元超の価格帯は外資ブランドの牙城だった。テスラModel Xが月販2000〜3000台前後、BMW iXが1000台前後で推移する中、ES8の月販1万台超は突出している。国産メーカーがこの領域で安定的に量を取れるようになった背景には、NIO独自のバッテリー交換サービス「BaaS(Battery as a Service)」の存在がある。BaaSを利用すればバッテリーを別契約にでき、車両の初期購入価格を約7万元引き下げられる。590万円相当の車が実質490万円台から手に入る計算で、これがプレミアム価格帯のハードルを下げている。
日本のプレミアムEV SUVとの距離感
ES8の価格帯は、日本で販売されているプレミアムEV SUVと重なる。レクサスRZ(約880万円〜)、BMW iX xDrive40(約990万円〜)と比べると、ES8の約590万円〜は大幅に安い。全長5099mm・ホイールベース3012mmという車格はBMW iXに匹敵し、バッテリー容量100kWhの大容量仕様も用意する。スペック面での見劣りはほぼない。
NIOは現在、ノルウェー、ドイツ、オランダなど欧州8カ国で展開しているが、日本市場には未参入だ。右ハンドル仕様の量産実績はまだなく、バッテリー交換ステーションの設置にも大規模な初期投資が必要になる。ただし、同社は2025年に中東への進出を果たしており、アジア太平洋地域への展開を段階的に進めている。日本のプレミアムSUV市場でBYDのような価格破壊が起きるかどうかは、NIOのようなブランドが参入するかどうかにかかっている部分もある。
販売維持の施策と5人乗りモデル投入
好調を持続させるため、NIOは4月も購入税補助1万元の期間限定インセンティブを継続している。現行の6人乗り・7人乗りに加え、7月初旬には5人乗り仕様の追加も予定されており、より幅広い層への訴求を狙う。
ただし、NIO創業者の李斌(ウィリアム・リー)CEOは第2四半期に業界全体が外的圧力に直面すると警告しており、楽観一辺倒ではない。同社は新型フラッグシップSUV「ES9」(52万8000元〜)の予約受付を開始済みで、サブブランドONVOの新型SUV「L80」とあわせ、5〜6月にかけて新車効果による販売増を見込む。
北京モーターショーでの3ブランド同時展示
4月25日に開幕する2026年北京モーターショーでは、NIOブランド、大衆向けのONVO、小型車のfirefly(螢火蟲)の3ブランドが初めて同一展示ホールに集結する。ONVOは4月21日に独自開発の神璣NX9031スマートドライビングチップを搭載した2026年型L90を価格据え置きで発売したばかり。NIO本体も4月2日にET5、ET5ツーリング、ES6、EC6の2026年モデルを投入し、装備を強化しつつ価格を維持した。
ES8の10万台達成は、NIOが高価格帯で量を取れるメーカーへと転換しつつあることを裏付ける。次の焦点は、52万8000元のES9がES8と同様の販売軌道に乗れるかどうかだ。ES9はNIO初の3列シート・フルサイズSUVで、ES8とは明確に棲み分ける設計だが、価格差約12万元に見合う差別化を消費者が認めるかが試される。北京モーターショーでの3ブランド体制のお披露目とあわせ、NIOが2026年後半にどこまで販売規模を拡大できるか、具体的な数字で答えが出る。
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