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VW×XPENG共同開発「ID. UNYX 09」 – 中国依存が映すEV勢力図の転換NEW

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VW×XPENG共同開発「ID. UNYX 09」 – 中国依存が映すEV勢力図の転換

かつて中国メーカーに技術を供与する側だったフォルクスワーゲン(VW)が、今度は中国のEVメーカーから技術を取り込む——。Responseの報道によると、北京モーターショー2026で初公開された全電動セダン「ID. UNYX 09」は、そんなパワーバランスの逆転を象徴する1台だ。

XPENGと2年で仕上げた全長5mのEVセダン

ID. UNYX 09は、VWと安徽江淮汽車(JAC)の合弁会社「フォルクスワーゲンAnhui」が中国市場向けに投入予定の市販モデルである。XPENG(小鵬汽車)との共同開発によってわずか2年で完成にこぎつけた点が、このクルマ最大の特徴だ。VWの従来の開発サイクルは通常4〜5年。半分以下の期間で市販モデルを仕上げたことになる。

全長約5mのボディに、L2レベルの先進運転支援システム(ADAS)、高性能コンピューティング、AIアシスタントを搭載する。VWが「in China, for China(中国のための中国)」と掲げる戦略そのもので、デザインからデジタルコックピット、ADASまで中国の顧客に最適化されている。

VWがXPENGに頼る背景と技術の逆流

VWとXPENGの提携は2023年に始まった。VWは約7億ドルを投じてXPENGの株式約4.99%を取得し、中国向けBEVの電子電気アーキテクチャ(EEA)でXPENGの技術を採用する方針を打ち出している。

背景にあるのは、中国市場でのシェア急落だ。VWグループの中国販売シェアは2019年時点で約14%あったが、2025年には約8%台まで低下したとされる。NEV(新エネルギー車)に限れば、BYDを筆頭にNIO、XPENG、Zeekrといった地場メーカーがソフトウェア定義型の車両開発で先行し、VWの存在感は薄い。特にXPENGはADAS技術に定評があり、自社開発のNGP(Navigation Guided Pilot)は高速道路から都市部まで対応する自動運転支援として中国国内で高い評価を得てきた。VWが自前で追いつくには時間がかかりすぎる。だからこそ、XPENGの知見を直接取り込む道を選んだ。

自動車産業の歴史を振り返れば、長らく技術は欧米・日本から中国へ流れていた。合弁事業のルールのもと、中国メーカーは外資から設計や生産のノウハウを学んできた。それがEVとソフトウェアの時代に入り、構図が反転しつつある。ID. UNYX 09の開発期間の短さは、XPENGのアジャイルな開発体制がVW側にも波及していることの証左だろう。

「Agentic AI for all」が示す次の一手

VWグループは北京モーターショーで「Agentic AI for all」と銘打ったロードマップも発表した。新開発の中国電子アーキテクチャ(CEA)を基盤に、知能運転機能とコックピット機能を全車種共通の単一OSへ統合するという構想だ。

これは単なるソフトウェア統合の話にとどまらない。VWが中国専用のアーキテクチャを一から構築し、グローバル仕様とは切り離して展開する意思表示でもある。欧州で苦戦が続くCARIAD(VWのソフトウェア子会社)の反省を踏まえ、中国では現地パートナーの力を最大限に活用する方向へ舵を切った格好だ。

老舗メーカーと中国勢の協業は加速する

同様の動きは他にもある。Stellantisは中国のLeapmotor(零跑汽車)に20%出資し、欧州での販売網を共有している。トヨタもBYDとの合弁でBEV開発を進め、2024年に中国市場へ投入した「bZ3C」「bZ3X」はBYDのブレードバッテリーとe-Platformを採用した。日本国内でもVWはID.4を販売しているが、充電インフラの整備状況もあり苦戦が続く。老舗メーカーが中国勢の技術力やコスト競争力を認め、協業に踏み切る流れは業界全体に広がっている。

ID. UNYX 09の市販時期や価格は未発表だ。ただ、VWが中国市場の巻き返しに本気であることは、このクルマの成り立ちそのものが物語っている。

出典

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BLADE NOTE編集部
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