バッテリー技術

CATL凝聚態電池350Wh/kg – 全固体電池と何が違うのか技術的位置づけを整理NEW

5分で読める
CATL凝聚態電池350Wh/kg – 全固体電池と何が違うのか技術的位置づけを整理

重量エネルギー密度350Wh/kg、体積エネルギー密度760Wh/L——。世界最大の車載電池メーカーCATL(寧徳時代)が2026年4月21日のテックデーで発表した「麒麟凝聚態(コンデンスド・マター)バッテリー」の数値は、日本の自動車メーカーが2027〜28年の実用化を目指す全固体電池の目標スペックに迫る。だが両者は技術的に別物だ。名前の似た「次世代電池」が乱立するなか、それぞれの技術的位置づけを整理する。

凝聚態電池とは何か——「半固体」の実態

CarNewsChinaによると、CATLの凝聚態電池は他メーカーが「半固体電池」や「液固混合電池」と呼ぶものに相当する。従来のリチウムイオン電池が液体電解質を使うのに対し、凝聚態電池はゲル状の電解質を用いる。完全に固体化した「全固体電池」とは異なり、液体成分を一部残すことで製造プロセスを既存のリチウムイオン電池の延長線上に置ける点が最大の特徴だ。

CATLはすでにこの凝聚態電池を、同社が出資するAutoFlight社のeVTOL(電動垂直離着陸機)に搭載しており、今回それを乗用車向けに展開する方針を示した。パック重量650kg未満で、高級セダンなら航続1,500km、大型SUVでも1,000kmに達するという。

全固体電池との技術的な違い

トヨタが2027〜28年の実用化を目指し、日産が2028年の量産を掲げる全固体電池は、電解質を完全に固体(硫化物系やポリマー系など)に置き換える。理論上の利点は明確で、液漏れ・発火リスクの大幅な低減、より広い動作温度範囲、そして高エネルギー密度の実現だ。

ただし課題も大きい。固体電解質と電極の界面で生じる抵抗の問題、充放電サイクルでの接触不良、そして量産時の歩留まりとコスト。日本メーカー各社はこれらの課題に取り組んでいる段階で、量産レベルでの性能はまだ公表されていない。

項目 CATL凝聚態電池 全固体電池(日本勢目標) 従来NMC
電解質 ゲル状(半固体) 固体(硫化物系等) 液体
重量エネルギー密度 350Wh/kg 400〜500Wh/kg(目標値) 250〜300Wh/kg
量産時期 eVTOLで実績あり、車載展開中 2027〜28年(目標) 量産中
製造プロセス 既存ライン流用可 新規設備が必要 確立済み
主な課題 液体成分残存による安全性限界 界面抵抗・歩留まり・コスト エネルギー密度の限界

CATLの「全方位」戦略——第3世代麒麟と神行も同時発表

凝聚態電池だけが注目を集めたわけではない。同じテックデーでCATLは第3世代麒麟(Qilin)バッテリーと第3世代神行(Shenxing)バッテリーも発表している。

第3世代麒麟はNMC系で280Wh/kg・600Wh/L。125kWhパックで航続1,000km超を実現しつつ、重量は625kgとLFP同等品より255kg軽い。10C相当・ピーク15Cの超急速充電にも対応する。CnEVPostの報道では、この軽量化により0-100km/h加速が0.6秒短縮、制動距離は1.44m短縮されるとしている。

LFP系の第3世代神行も充電性能が際立つ。10%→80%がわずか3分44秒、10%→98%でも6分27秒。−30℃の極寒環境でも20%→98%が約9分で完了する。BYDが3月に発表した第2世代ブレードバッテリーのフラッシュ充電(10%→70%が5分)と真っ向から競合する数値だ。

日本の全固体電池開発への示唆

CATLのアプローチが突きつけるのは「時間」の問題だ。全固体電池の性能目標は凝聚態電池を上回るが、量産化はまだ先にある。その間にCATLは半固体技術で350Wh/kgを実現し、市場に投入し始めている。SNE Researchによれば、CATLの2025年の世界EV電池市場シェアは39.2%。三元系リチウム電池に限ればシェア80%超と圧倒的で、CarNewsChinaの表現を借りれば「競合のシェアは誤差レベル」という状況にある。

トヨタや日産が全固体電池を量産化する2027〜28年には、CATLの凝聚態電池も第2世代、第3世代へと進化しているだろう。全固体電池が「既存技術の延長では届かない領域」を明確に示せるかどうか。技術的優位性だけでなく、コストと量産スピードを含めた総合力が問われる局面に入っている。

出典

広告
BLADE NOTE編集部
BLADE NOTE編集部

BYD・中国EVの最新ニュースを日本語で配信。海外の1次ソースをもとに、日本の読者に向けた独自記事を毎日更新しています。

BYD・中国EVの最新ニュースを毎日配信中。
フォローして最新情報をチェック!