CATL香港で50億ドル調達 – 豪Zinfraと協業合意
50億ドル——CATLが香港市場で4月30日に完了した株式募集の規模は、2026年に入って香港株式市場で行われた最大の調達となった。同日、世界最大の電池メーカーは資金調達と並行してオーストラリアのインフラ企業Zinfraとの提携も発表。海外戦略を一気に動かす1日となった。
香港増資の中身 – 1時間で募集枠が埋まる
CnEVPostの報道によれば、CATLは1株628.20香港ドルで6239万株の新H株を発行した。調達額は392億香港ドル(約50億ドル)で、増資後のH株発行済株式数の28.58%に相当する規模だ。
引受は機関投資家中心で、ヘッジファンド、政府系ファンド、既存株主など150超の機関が参加。ブルームバーグの報道では、募集開始から約1時間で枠が埋まったとされる。今回の引受によって実質的な大株主の異動は発生していない。
調達資金の用途は、グローバル生産能力の拡張、ゼロカーボン事業、先端技術のR&Dの3分野。CATLの2026年第1四半期純利益は207.4億元(約30.4億ドル)と前年同期比48.52%増を記録しており、本業のキャッシュフローが潤沢ななかでの追加調達となる。
オーストラリアでZinfraと提携 – アセットライト型の海外展開
同日に発表されたZinfraとの覚書は、オーストラリアでの大規模BESS(系統用蓄電システム)プロジェクトの納入・運用・保守を共同で行う内容だ。Zinfraは年間プロジェクトポートフォリオが12億豪ドル(約8.6億ドル)規模の電力・ガスインフラ事業者で、現地のエンジニアリングとO&M(運用保守)網を握っている。
CATL側のリリースでは「アセットライトかつ低リスクのビジネスモデル」を採るとされる。自社で蓄電所を保有・運営するのではなく、製品供給と現地パートナーのサービスを組み合わせて稼ぐ形だ。電池を売り切るだけでなく、設置後の長期保守まで含めた「製品+サービス」の囲い込みを海外で進める意図が読み取れる。
蓄電池で5年連続首位 – 次の一手
韓国のSNE Researchによれば、CATLは2025年に世界の蓄電池出荷で30.4%のシェアを獲得し、5年連続のトップを維持している。蓄電事業の売上高は624億元(約91億ドル)、これまでに世界で展開した大型蓄電プロジェクトは約2,300件に達した。
2025年通期の営業収益は4,237億元、純利益は前年比42%増の722億元。EV用電池が中核ながら、蓄電が次の収益柱として明確に育ってきている。電力市場の自由化と再エネ比率の高まりが進むオーストラリアは、CATLが蓄電需要を取りに行く有力市場の一つだ。
| 項目 | 2025年通期 | 2026年Q1 |
|---|---|---|
| 純利益 | 722億元(前年比+42%) | 207.4億元(前年同期比+48.52%) |
| 営業収益 | 4,237億元 | 非公表 |
| 蓄電事業売上 | 624億元 | – |
| 蓄電池世界シェア | 30.4%(5年連続首位) | – |
鉱山・ナトリウムイオンへも並行投資
調達資金の使途として明示されたグローバル生産能力の拡張は、すでに具体的な動きが出ている。CATLは取締役会で登録資本金300億元の新子会社設立を承認しており、新エネルギー鉱業セグメントの管理・運営プラットフォームとして、サプライチェーンの上流確保を進める。
4月27日には中国のエネルギー貯蔵システム企業HyperStrongと、合計60GWhのナトリウムイオン電池供給契約を締結したことも発表している。3年間の供給契約で、ナトリウムイオン電池の単一契約としては世界最大規模だ。LFP一辺倒だった中国の蓄電市場に、ナトリウムイオンという別解を持ち込もうとしている。
日本市場との直接的な接点はまだ薄い。CATLは日本での工場進出も検討段階にあるとされる。トヨタや日産が全固体電池の量産時期を2027〜28年に置くなか、LFP・ナトリウムイオン・系統用蓄電を束ねた現行スタックの差は当面開いたままになりそうだ。
出典
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