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XPENG VLA 2.0試乗 – 中国EV自動運転の到達点

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XPENG VLA 2.0試乗 – 中国EV自動運転の到達点

XPENG(小鵬汽車)が新型「Next P7 Ultra」に搭載した最新ADAS「VLA 2.0」が、実走テストで欧州プレミアム車に迫る完成度を見せた。中国を訪問した自動車ジャーナリストが北京近郊の混雑路でレビューしたところ、減速の滑らかさ、車線変更の判断、薄暮時の視認性のいずれにおいても、テスラFSDや一般的な人間ドライバーを上回る場面が確認された。

VLAという新世代モデル

VLAは「Vision-Language-Action(視覚-言語-行動)」モデルの略称で、カメラ映像を起点に走行判断と操作出力までを一気通貫で処理する大規模AIだ。従来のADASは認識・予測・計画・制御を別モジュールに分けていたが、VLAは1つのニューラルネットでエンドツーエンドに学習させるため、状況の解釈と操作の整合性が高まりやすい。XPENGは2024年11月に「P7+」で初代VLAを実装し、2026年に試乗されたNext P7 UltraではVLA 2.0へとアップデートされている。半年あまりで挙動の質が明確に進化した点は、AIモデルの学習サイクルの速さを示している。

センサー構成はLiDARを使わず、複数カメラ+ミリ波レーダーで冗長性を担保する方式を採用する。カメラ視野の重なりと、レーダーによる距離・速度補助を組み合わせることで、夜間や逆光での検知性能を稼ぐ設計だ。2025年のXPENG販売台数は約19万台。中国新興EVのなかでは中堅規模だが、ADAS分野では先行する一社として知られ、Volkswagenとの技術提携でEEAプラットフォームを共同開発するなど、ソフトウェア面の評価は早くから固まっている。

VWとの提携は2023年に発表され、当初は約7億ドルで4.99%の株式を取得する出資型から始まった。その後、共同開発するE/Eアーキテクチャ「CEA(China Electronic Architecture)」が2026年以降のVW中国市場向けEVに搭載される計画が公表されている。XPENG側にとっては開発資金とブランド信用の確保、VW側にとっては中国市場で出遅れたソフトウェア領域のキャッチアップという構図で、VLA系の制御ロジックが欧州系プラットフォームへ流れ込む下地はすでにできている。

実走で見えた「人間らしさ」

試乗は北京モーターショー帰りの渋滞時、しかも視認性が落ちる夕暮れ時に行われた。カメラベース自動運転にとっては最悪に近い条件である。それでも後部座席の同乗者が運転者を「人間か車か」当てるテストで判別に苦しんだほど、操作の質は高かったという。

特徴的なのは停車直前にブレーキを緩める「リムジンストップ」の実装だ。回生ブレーキと摩擦ブレーキの切り替えも感じさせず、減速は一連の連続動作として処理される。ステアリングも修正動作なしで滑らかな弧を描き、歩行者や大型車を避ける際は車線内で軽く位置をずらして余裕を確保する挙動を見せた。

車線変更は隙を見て積極的に行うが、他車に急ブレーキを強いることはない。中国の交通事情では珍しく、適切なタイミングでウインカーを出すと指摘されている。横断歩道では法規通り歩行者を優先し、テスラFSDが苦戦するCostco駐車場のような環境でも対応できそうだという。

夕暮れの薄明時、対向車のヘッドライトで人間の目が眩む状況でも、車のセンサー系は影響を受けず、無灯火の自転車や暗色の服装の歩行者をドライバーより先に検知した。対向車がない時はハイビームへ自動切替する制御も組み込まれている。さらに乗員の運転スタイルを学習する機能も搭載されており、ドライバーがアグレッシブに走った直後は自動運転モードでも加速・ブレーキが強めになり、しばらく走ると元の挙動に戻ったという。半年でVLA 1.0からVLA 2.0へと挙動が明確に進化したことと合わせ、学習サイクルの速さはXPENGの強みになっている。

BYD「God’s Eye B」との対比と日本への含意

翌日には新型「Song Ultra」でBYDのLiDARベースADAS「God’s Eye B」も試乗されている。両者の比較は、中国ADAS開発における2つのアプローチを示している。

項目 XPENG VLA 2.0 BYD God’s Eye B
センサー構成 カメラ主体+レーダー補助 LiDAR搭載
減速の質 滑らかな連続動作 強めにかけてから緩める
コーナリング 修正動作なしの滑らかな弧 軌道修正が見られる
運転スタイル 積極的かつ流暢 慎重寄り、譲りすぎる傾向

安全性そのものはGod’s Eye Bも高いが、滑らかさという面ではVLA 2.0に分があった。ラウンドアバウトでは譲りすぎる場面も見られたという。LiDARを積めば自動的に体感が良くなるわけではなく、エンドツーエンドの学習データ量と調整の積み重ねが乗り味を作っていることを示すケースだ。

日本ではXPENG車の正規販売は行われていないが、CEA経由で2026年以降のVW中国モデルへ展開されれば、欧州ブランド経由でVLA系の挙動が日本ユーザーの目に触れる可能性がある。日系メーカーのADASは、トヨタがToyota Research Instituteを軸にカメラ+AIによる予測制御を磨き、ホンダはSENSING 360+で全方位センシングと渋滞時ハンズオフを進めている段階だが、街中・渋滞域でのスムーズさという軸ではXPENGが先行している印象が強い。同行したジャーナリストの1人が「自分のModel 3 Performanceと交換してもいい」とコメントしたNext P7 Ultraは、0-100km/h加速3.7秒という走り自体も4ドアスポーツとしての魅力を備えており、ハードウェアとソフトウェアの両面で完成度を上げている。

出典

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BLADE NOTE編集部
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