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EREVとPHEVは何が違う?CATL新型電池が純電動600kmを実現NEW

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EREVとPHEVは何が違う?CATL新型電池が純電動600kmを実現

純電動で600km——これはBEVではなく、エンジンを搭載した「レンジエクステンダーEV」の数字だ。中国の電池最大手CATLが発表した第2世代Freevoyバッテリーは、EREV(Extended Range EV)の性能を一段引き上げる技術として注目を集めている。

そもそもEREVとは何か

EREVは日本ではまだ馴染みの薄い車両カテゴリーだが、中国市場ではLi Autoを筆頭に急速に販売台数を伸ばしている。構造はシンプルで、駆動は100%モーターが担い、搭載するエンジンは発電専用。タイヤを直接回すことはない。

日本で普及するPHEV(プラグインハイブリッド)との最大の違いはここにある。PHEVはエンジンでも直接駆動でき、高速域ではエンジン走行に切り替わる車種が多い。一方、EREVはあくまでモーター駆動のみ。エンジンは「移動する発電機」にすぎない。走行フィーリングはBEVそのもので、電池が減ればエンジンが発電して航続距離を延ばす。

中国ではNEV(新エネルギー車)全体の販売が伸びる中、特にEREVの成長率が際立つ。バッテリー容量の大型化と充電インフラの整備が進んだことで、「普段は電気だけで走り、長距離時だけエンジンが回る」という使い方が現実的になった。

第2世代Freevoyの技術と「600km新基準」

CATLが「CATL Tech Day」で発表した第2世代Freevoyバッテリーは、3つの技術路線を用意している。LFP(リン酸鉄リチウム)、超混合システム、高性能三元系リチウムの3種で、純電動航続距離は500〜600kmに達する。全バリアントが4C急速充電に標準対応する点も大きい。

3路線のうち「超混合(Super-Hybrid)」技術は、LFPとNMC(ニッケル・マンガン・コバルト系)の材料を粉末粒子レベルで融合させるアプローチを採用した。リン酸鉄リチウムのオリビン結晶構造を骨格として、NCM材料を勾配均一混合する。これにより、エネルギー密度は230Wh/kgに到達。同じバッテリー重量でLFP単体比15〜20%の航続距離向上を実現した。LFPの低コスト・高安全性と、NMCの高エネルギー密度。両者の長所を粒子レベルで掛け合わせる手法は、「どちらかを選ぶ」という従来の二択を覆すものだ。

2023年に登場した第1世代Freevoyは純電動航続280〜400km、エネルギー密度は200Wh/kg前後が上限だった。第2世代ではエネルギー密度が約15%向上し、航続距離は最大1.5倍に伸びた計算になる。

CATLは発表会で、EREVにおいて純電動400kmは「合格ライン」にすぎず、600kmが新たな競争基準になると明言した。この数字にはデータの裏付けがある。純電動航続400km未満のEREVではレンジエクステンダーの起動率が15%に達するが、600kmになると起動率は1%未満に低下する。日常の通勤でエンジンがかかることはほぼなくなる計算だ。

レンジエクステンダーと合わせた総航続距離は2,000kmを超える。出力面でも、SOC(充電残量)20%の低充電状態で1.2MWの安定出力、満充電時には瞬間1.5MW超を発揮する。

安全性能も大幅に強化された。底部コーティングは1,500ジュールの衝撃エネルギーに耐える。中国の国家標準が150ジュールだから、その10倍だ。防水性能は水深2mで200時間以上の連続浸水に対応し、国家標準(水深1mで30分)を大きく上回る。

日本のPHEV市場とのギャップ

日本ではトヨタRAV4 PHVや三菱アウトランダーPHEVなど、エンジン直接駆動を併用するPHEVが主流だ。EV走行距離は50〜100km程度で、長距離はエンジンに頼る設計思想になっている。

対して、CATLの第2世代Freevoyを搭載したEREVは純電動で500〜600km走る。週1回の充電で日常走行をまかなえる計算で、エンジンの存在感は極めて薄い。BEVの航続距離不安を解消しつつ、BEVとほぼ同じ走行体験を提供するという、PHEVとは異なるアプローチだ。

CATLの統計によれば、2025年に販売された純電動航続300km超のEREVのうち、95%以上がCATL Freevoyバッテリーを搭載している。中国市場ではLi Auto、DeepAl(Changan系)、Leapmotor、Neta等がEREVモデルを拡充しており、PHEVからEREVへの移行が加速している。

現時点で日本市場にEREVを投入している中国メーカーはない。ただし、BYDは2025年までに日本で8車種を展開済みで、CATL製電池を搭載する日本販売車両も増えている。EREV専用バッテリーの性能がここまで上がった以上、日本市場での展開は技術的にはすでに準備が整っている。

出典

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BLADE NOTE編集部
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