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CATL第3世代神行 vs BYD Blade 2.0 – 6分充電時代の覇権争いを数値で読むNEW

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CATL第3世代神行 vs BYD Blade 2.0 – 6分充電時代の覇権争いを数値で読む

10%から満充電まで6分27秒——CATLが4月21日の「CATL Tech Day」で公開した第3世代神行(Shenxing)バッテリーの数字は、先月BYDが打ち出した「5分で充電、9分で満タン」をあからさまに上書きするものだった。世界1位と2位のバッテリーメーカーが、充電速度という一点で真正面からぶつかっている。

充電スピード比較 – 秒単位の攻防

まず両者のスペックを並べる。

項目 CATL 神行 第3世代 BYD Blade Battery 2.0
化学種 LFP(リン酸鉄リチウム) LFP(リン酸鉄リチウム)
10→80% 3分44秒 5分(10→70%)
10→満充電 6分27秒(98%) 9分(97%)
極寒時(-30℃) 9分で98% 12分で97%(20→97%)
内部抵抗 0.25mΩ(業界平均比50%減) 非公表

CATLは10%→35%をわずか1分でこなす。BYDの「5分で70%」に対し、CATLは「3分44秒で80%」と、実用域での充電速度で明確に上回った。極寒環境でも3分の差がつく。CarNewsChinaによると、0.25mΩという内部抵抗の低さが超急速充電の鍵だという。

もっとも、BYDの数値も十分に速い。ガソリン車の給油時間と同等かそれ以下であり、日常利用で「6分と9分の差」を体感する場面は限られる。勝負の本質はセル性能の数字ではなく、その性能を実際に引き出せるインフラ側にある。

CATLの「充電+交換」統合戦略

CATLが同日発表したもうひとつの柱が、超急速充電とバッテリー交換の統合ネットワークだ。乗用車向け「Chocolate」と商用車向け「Qiji」の全バッテリー交換ステーションに神行超急速充電パイルを標準搭載し、1カ所で充電も交換もできる「統合ステーション」にアップグレードする。

CarNewsChinaの報道では、現時点で全国99都市に1,470カ所のChocolateステーションが稼働中。2026年末までに累計4,000カ所へ拡大し、全国190都市と主要高速道路網をカバーする計画だ。

統合方式にはエネルギー効率上の利点がある。蓄電池を介した充電では「電力網→蓄電池→車両」と2段階の変換が必要だが、交換方式なら「電力網→交換用バッテリー→車両」の1段階で済む。CATLによれば電力損失率を13ポイント以上削減でき、100kWh供給時に車両へ届く電力が13kWh多くなる。車種によるが65〜120km分の航続距離に相当する差だ。

ユーザーが「稼げる」仕組みと800Vバッテリー

ハードウェアでは800V高電圧アーキテクチャ採用の「Chocolate 26#」交換バッテリー(75kWh)を発表。BセグメントからCセグメントの車両に対応する。普段は小容量、長距離時は大容量と使い分ける「オンデマンド電力配分」の思想を打ち出した。リースユーザーには生涯保証・生涯アップグレードが付く。

興味深いのは収益モデルだ。2026年下半期から、Chocolateユーザーは電力料金のピーク時間帯にフル充電バッテリーをステーションで交換し、電力価格の差額を受け取れるようになる。日収は最大40元(約840円)。バッテリーリース費用を賄える可能性があるとCATLは説明する。NIOが先行したバッテリー交換モデルに、電力取引というインセンティブを加えた格好だ。

市場シェアと提携網の数字

CABIAのデータによると、2026年の車載バッテリー市場でCATLのシェアは48.3%。Q1単独では50%を超えた。BYDは17%で2位、3位のCALBが5.9%と続く。Electrekが引用するSNE Researchの2025年データでも、CATLが39.2%、BYDが16.4%と、シェア差は2倍以上ある。

充電・交換インフラの提携先も拡大している。CATLは現時点で自動車メーカー11社、乗用車ブランド18社、25車種と提携済み。長安、奇瑞、広汽、賽力斯、上汽GM五菱、北汽が初期パートナーに名を連ね、2028年までに10万カ所以上の共有充電インフラを目指す。一方、BYDはDenza Z9 GT EVの欧州投入で「Ready in 5, Full in 9, Cold Add 3」のフラッシュチャージングを海外展開し始めた。

なお同イベントでCATLは、第3世代麒麟(Qilin)三元系バッテリー、第2世代Freevoy、そしてQ4量産予定のナトリウムイオン電池「Naxtra」も発表している。LFP・三元系・ナトリウムイオンの3系統を揃え、用途別に最適解を提供する構えだ。CATLの吴凱CSOは「どの材料にも限界がある。複数の化学体系で能力を構築してこそ、ユーザーに最適な答えを届けられる」と述べた。

セル性能の競争はいずれ収束する。6分も9分も実用上は十分に速い。差がつくのは、その速度を全国規模で体験できるインフラの密度と、ユーザーを囲い込むエコシステムの設計。CATLの統合ステーション4,000カ所計画は、バッテリーメーカーが「売って終わり」ではなくエネルギーサービス企業へと変わる宣言でもある。

出典

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BLADE NOTE編集部
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