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ソニーホンダ、EV開発を断念——AFEELA量産に至らず、中国勢との速度差が背景にNEW

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EV市場・グローバル: ソニーホンダ、EV開発を断念——AFEELA量産に至らず、中国勢との速度差が背景に
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36氪の報道によると、ソニーホンダモビリティが電動車プロジェクトを取りやめ、事業規模の縮小と新たな事業方向の模索に入る。2025年のCESで「AFEELA」を披露してからわずか1年余り。日本を代表するエレクトロニクス企業と自動車メーカーの合弁が、量産を前に撤退を決めた。

合弁の蹉跌——何が誤算だったのか

ソニーホンダモビリティは2022年、ソニーグループとホンダの折半出資で設立された。ソニーのセンシング技術・エンタメ資産と、ホンダの車両製造ノウハウを掛け合わせ、「移動空間の再定義」を掲げていた。AFEELAの北米投入は2026年を予定し、先行受注も開始していた。

しかし、開発は難航した。車両プラットフォームの設計、ソフトウェアの統合、サプライチェーンの構築——いずれも想定以上の時間とコストを要した。自動車開発の経験が薄いソニー側と、ソフトウェア・デファインド・ビークル(SDV)への転換途上にあったホンダ側の間で、開発文化の摩擦も重なった。

中国EV勢の開発サイクルとの決定的な差

ソニーホンダの撤退を読み解くうえで避けて通れないのが、中国EVメーカーとの開発スピードの格差だ。業界各社の公表情報や調査機関の推計によれば、BYDは新車の企画から量産開始まで18カ月程度、Xpengも24カ月以内での車両開発を実現しているとされる。日本の伝統的な自動車メーカーの標準サイクルは48カ月前後で、倍以上の開きがある。

メーカー 開発サイクル(目安) 特徴
BYD 約18カ月 バッテリーから半導体まで垂直統合
Xpeng 約24カ月 自社開発のソフトウェア基盤
日本大手(従来型) 約48カ月 水平分業・サプライヤー調整に時間

コスト構造の違いも深刻だ。BYDはバッテリーからパワー半導体まで垂直統合し、セル単価を業界最安水準に抑えている。各種業界レポートによれば、CATLの神行電池やBYDのブレードバッテリーといったLFP系セルの価格はkWhあたり50ドルを下回る水準まで低下した。ソニーホンダは自社でバッテリーを持たず、外部調達に頼る構造だった。この差は車両価格に直結する。

中国市場では2025年だけで100車種以上の新型BEV・PHEVが投入されている。毎月のように新モデルが登場し、旧型は半年で値下げされる。こうした激しい価格競争のサイクルに、新規参入の合弁企業が対抗するのは容易ではない。

ホンダ・ソニー双方の次の一手

ホンダは独自のEV戦略として「Honda 0シリーズ」を2026年から北米で投入する計画を進めている。GMとの合弁解消後、独自のEV専用プラットフォームに経営資源を集中させる方針だ。ソニーホンダへのリソース配分を続ければ、本丸の0シリーズに影響が出る。撤退判断の背景には、こうした経営上の優先順位の見直しがある。

ソニー側も、エンタメ・半導体事業が好調な中で、巨額投資が必要なEV量産に踏み込むリスクを再評価したのだろう。「モビリティ×エンタメ」の構想自体は否定されていないが、自前で車をつくる路線からは後退する。

水平分業モデルの限界と、見落とされがちな人材問題

ソニーホンダの事例は、日本企業がEV開発で直面する構造的な課題を映し出している。垂直統合型の中国メーカーに対し、日本は水平分業が主流だ。バッテリー、モーター、インバーター、車載ソフトウェア——それぞれ別のサプライヤーから調達し、すり合わせる。ガソリン車時代には品質面の強みだったこの方式が、EVではスピードとコストの面で足かせになっている。

もう一つ見過ごせないのが、ソフトウェア人材の確保だ。SDV時代のEV開発では、車両制御やOTAアップデートを担うソフトウェアエンジニアが大量に必要になる。BYDは研究開発人員だけで約10万人規模を抱えるとされ、Xpengもソフトウェアエンジニアの比率が高い。日本の自動車メーカーは機械系・生産技術系の人材が厚い一方、ソフトウェア領域ではIT企業との人材獲得競争にさらされている。ソニーホンダのような合弁でも、両社の開発文化を統合しながらソフトウェア人材を確保・定着させることは難しかったはずだ。

トヨタは次世代BEVを2026年に投入予定で、全固体電池の開発も進める。日産もアリアに続く次世代モデルを準備中だ。ただし、量産化の時間軸ではいずれも中国勢に先行を許している。36氪が伝えるように、BYDの2025年グローバル販売は400万台規模に達する見通しで、スケールメリットの差は広がる一方だ。

AFEELA予約者と国内ディーラーへの影響

気になるのは、AFEELAの先行受注を済ませていたユーザーへの対応だ。返金プロセスや今後の案内はまだ公表されていない。また、ホンダ0シリーズの日本市場投入時期も現時点では明確ではなく、国内のEVラインナップが手薄な状態がしばらく続く。ホンダのディーラー網にとっても、EVの売り物が当面ないという厳しい状況だ。

AFEELA予約者への対応スケジュールと、Honda 0シリーズの国内展開の具体的な日程——この2点が、今後のホンダのEV戦略の本気度を測る試金石になる。

出典

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BLADE NOTE編集部
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