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GM電動ピックアップ無期限延期 – 米中EV戦略の差が鮮明に

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GM電動ピックアップ無期限延期 – 米中EV戦略の差が鮮明に

次世代電動ピックアップトラックの開発を無期限延期——米ゼネラルモーターズ(GM)のこの判断は、米中でEV投資の方向がはっきり分かれたことを示している。中国メディア36氪が4月21日に報じた

GMが踏んだブレーキの背景

GMは電動ピックアップの次期モデル計画を「無期限に」先送りする方針を固めたとされる。同社はすでにシボレー・シルバラードEVやGMC ハマーEVを市場投入しているが、シルバラードEVの2024年通年販売は約2万5000台にとどまり、当初の年間目標を大きく下回った。北米市場ではフォードのF-150ライトニングも値下げを繰り返しており、電動ピックアップというセグメント自体が踊り場を迎えた格好だ。

背景にあるのは、トランプ政権によるEV優遇策の縮小と、米国消費者の根強いガソリン車志向だろう。IRA(インフレ抑制法)の税額控除をめぐる政治的な不透明感も、メーカーの投資判断を慎重にさせている。GMのメアリー・バーラCEOは2025年後半から「需要に合わせた柔軟な投資」を繰り返し強調しており、今回の延期もその延長線上にある。

中国勢は真逆のアクセル

一方、中国のEVメーカーは攻勢を緩める気配がない。BYDは業界推計で2025年通年に400万台超のNEV(新エネルギー車)を販売したとされ、2026年に入っても成長ペースを維持している。吉利傘下のZeekrやBYDのハイエンドブランド「仰望」(ヤンワン)など、価格帯の上方展開も加速中だ。

この差はピックアップ市場にも及ぶ。BYDの「鯊魚」(BYD SHARK)はオーストラリアや中南米で現地価格約500万〜600万円相当で販売され、ディーゼルピックアップからの乗り換え需要を取り込んでいる。吉利系のRadar Autoも電動ピックアップで東南アジア・中東への展開を進める。GMが足踏みしている間に、中国勢は北米以外のピックアップ需要を着々と押さえつつある。

日本でもこの流れと無縁ではいられない。BYDは2025年の国内販売が1万台を超えたと見られ、ATTO 3やDOLPHINを中心にディーラー網を拡大してきた。ピックアップのBYD SHARKこそ日本未導入だが、商用バン「eT5」の日本投入が取り沙汰されるなど、商用車セグメントへの進出も視野に入る。トヨタがハイラックスのBEV版を開発中と報じられる中、電動ピックアップ・商用車の競争は日本市場にも波及すると見られる。

数字が語る「2つの世界」と延期の代償

米中のEV市場環境を並べると、その開きは歴然としている。

指標 米国 中国
EV新車販売シェア(2025年) 約10%前後で横ばい 月間浸透率50%超の月も
代表メーカーの動向 GM:電動ピックアップ延期、SUVに集中
フォード:F-150ライトニング値下げ継続
BYD:NEV年間400万台超
Zeekr・仰望:高価格帯へ拡大
電動ピックアップ 販売低迷、新規投資凍結 BYD SHARK・Radar Auto等が海外展開加速
政策環境 IRA税額控除の先行き不透明 NEV購入補助・充電インフラ投資継続

GMの延期判断を「EV撤退」と読むのは早計だ。同社はUltiumプラットフォームへの投資自体は継続しており、GM IR資料によれば累計350億ドル以上をEV・AV分野に投じてきた。需要が見込めるSUVやクロスオーバーに資源を集中させる現実的な判断とも言える。ただ、フルラインナップの電動化というビジョンが後退したのは確かだ。

自動車産業の投資サイクルは長く、今日の延期判断が3〜5年後の競争力に直結する。中国メーカーがスケールメリットとサプライチェーンの垂直統合でコストを下げ続ける中、BYDのブレードバッテリーに代表される電池内製化は部品コストを競合比で30%以上削減しているとされる。GMが再参入を決める頃には、このコスト差はさらに広がっているだろう。

GMの次世代電動ピックアップに具体的な再開時期は示されていない。直近では、BYD SHARKが2026年第1四半期にメキシコとブラジルで合計1万台超を出荷したと報じられており、中国勢のグローバル展開は延期を待ってくれない。

出典

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BLADE NOTE編集部
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