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CATL次世代電池戦略 – ナトリウムイオン量産と凝聚態電池の2本柱NEW

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CATL次世代電池戦略 – ナトリウムイオン量産と凝聚態電池の2本柱

累計100億元近い研究開発費を投じてきたナトリウムイオン電池が、いよいよ量産フェーズに入る。世界最大の車載電池メーカーCATL(寧徳時代)が2026年4月21日の「CATL Tech Day」で打ち出したのは、ナトリウムイオン電池の大規模量産開始と、高級車向け凝聚態(condensed-matter)電池の協業拡大という二正面作戦だった。

ナトリウムイオン電池、製造の核心課題を克服

CATLのチーフサイエンティストで中国工程院院士の呉凱氏は、量産を阻んできたコア技術の課題を解決したと宣言した。具体的にはCTOの高歓氏が、業界共通の4大障壁——極度の水分管理、ハードカーボン負極のガス生成、アルミ箔の接合ボトルネック、自己生成負極の量産——を突破したと明らかにしている。工程上の課題は100件以上にのぼり、それらを体系的に潰してきたという。

2026年第4四半期の量産開始が正式にアナウンスされた。ナトリウムイオン電池はリチウムを使わないため資源リスクが低く、LFP比で約30%の低コストが見込める。さらに-40℃でも公称容量の約90%を維持する低温性能は、寒冷地での実用面で大きなアドバンテージになる。

商用車から乗用車へ——広がる搭載計画

量産の号砲はすでに鳴っている。CATLは2025年12月、バッテリー交換・乗用車・商用車・蓄電の4分野でナトリウムイオン電池を大規模展開する計画を発表。2026年初頭には軽商用車向けソリューション「Tectrans II」を投入し、ナトリウムイオン電池として業界初の商用車向け量産を実現した。

乗用車への搭載も目前だ。2026年2月5日には長安汽車とCATLが共同開発した「世界初の量産ナトリウムイオン電池搭載乗用車」がお披露目され、年央の市場投入が予定されている。加えて、JD.com・広汽集団・CATLの3社で開発するAion UT Superにもナトリウムイオン電池バリアントが設定され、2026年第2四半期の生産開始が計画されている。

現時点のエネルギー密度は約175Wh/kg。LFPの160〜180Wh/kgと同等水準だが、NMC系の250〜300Wh/kgには及ばない。そのため当面は10万元(約210万円)以下の小型EVやA0セグメント以下が主戦場となる。ただし高歓氏はサプライチェーンの成熟に伴い、BEVで航続600km、EREV(レンジエクステンダー)で純電動300〜400kmの達成が視野に入るとしており、市場需要の50%以上をカバーできるとの見方を示した。

凝聚態電池——高級車向けのもう一つの柱

ナトリウムイオン電池が「量とコスト」を担うのに対し、「性能」を担うのが凝聚態電池だ。36Krの報道によると、CATLは複数の中国高級車メーカーと凝聚態電池の搭載に向けた協議を進めている。

凝聚態電池は半固体電解質を採用し、液系リチウムイオン電池より高いエネルギー密度と安全性を両立する技術だ。CATLは2023年の上海モーターショーで500Wh/kgクラスのセルを発表しており、全固体電池の実用化を待たずにエネルギー密度を大幅に引き上げる「中間解」として位置づけている。高級車セグメントは航続距離・充電性能への要求が厳しく、コストよりも性能が優先されるため、凝聚態電池の投入先として合理的だ。

CATLの二正面作戦が意味するもの

ロビン・ゼン(曾毓群)会長は、ナトリウムイオン電池が既存バッテリー市場の30〜40%を置き換えると予測している。単なる補完ではなく、構造的な転換だという認識だ。廉価なナトリウムイオンで小型車・商用車・蓄電市場を押さえ、凝聚態電池で高級車市場を取りに行く。LFPのブレードバッテリーで成功したBYDが「一本足」だとすれば、CATLは電池化学の多様化で市場全域をカバーしようとしている。

日本の電池メーカーや自動車メーカーにとっては、全固体電池の量産にめどが立つ2027〜2028年より前に、CATLが凝聚態電池で高エネルギー密度市場に参入してくる構図になる。ナトリウムイオン電池の量産も、リチウム資源価格の下押し圧力として無視できない。CATLの次世代電池ロードマップは、2026年後半から具体的な製品として市場に現れ始める。

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BLADE NOTE編集部
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