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BYD日本の店舗数・ディーラー数2026 – 目標70拠点を超え77拠点へ、出店戦略の中身

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BYD日本の店舗数・ディーラー数2026 – 目標70拠点を超え77拠点へ、出店戦略の中身

BYD Auto Japanの国内店舗数は2026年8月7日時点で77拠点に達した。

2025年に掲げていた「年内100店舗」という目標には届かなかったが、大都市への出店が一巡した後、人口50万人以下の地方都市を狙う小型店戦略に転換したことで、2025年末の約69拠点から半年強で8拠点を積み増している。牽引役は日本専用設計の軽EV「BYD RACCO」だ。数字を時系列で並べ、なぜ拡大ペースが上がったのか、何が課題として残っているのかを見ていく。

77拠点までの道のり – 「100店舗」目標はなぜ届かなかったか

BYD日本の店舗数・ディーラー数2026 - 目標70拠点を超え77拠点へ、出店戦略の中身
出典: CnEVPost

BYD Auto Japanの店舗数は2024年3月時点で51店舗(うち正規ディーラー22店舗)だった。日本上陸初年度にあたる2023年の国内販売は1,446台で、ascii.jpはこれを「無名ブランドとしては上出来」と評していたが、その後の拡大ペースは会社側の思惑通りには進まなかった。

日本経済新聞が2025年7月に報じたところでは、当時63拠点だったBYDは「2025年中に100店舗体制」を目指すとされていた。だが実際の2025年末実績は約69拠点にとどまり、目標は未達に終わっている。理由として挙げられているのが「物件探しなどの課題」だ。都市部の一等地は既に出店余地が乏しく、賃料や改装コストも重い。大型ショールームを前提にした出店モデルのままでは、店舗数を積み増すほど1件あたりのコストと時間がかさむ構造だったといえる。

時点 店舗数 出典
2024年3月 51店舗 ascii.jp
2025年6月 63拠点 日経
2025年11月27日 68拠点 BYD公式PR TIMES
2025年末 約69拠点(38都道府県) CnEVPost
2026年8月7日 77拠点 マイナビニュース

店舗数の数え方は情報源によって「開業準備室を含む拠点ベース」「公式リリースの通し番号ベース」など基準が揺れており、単純な引き算で増減を語るのは本来危うい。それでも、2025年末から2026年8月までの半年強で8拠点前後増えているという方向性は、複数の報道で一致している。

BYD正規ディーラー全77拠点一覧 — 都道府県別(2026年8月末時点)

BYD Auto Japanの公式ディーラーリストに掲載されている全77拠点を、都道府県別に並べた。重要なのは、この77拠点のうち18拠点が「開業準備室」で、実際に車両を展示して商談できる店舗は59拠点にとどまる点だ。出店済みは39都道府県で、残る8県には拠点が1つもない。

地方 都道府県 拠点数 店舗名(準備=開業準備室)
北海道・東北 北海道 2 札幌西、札幌
岩手 1 盛岡(準備)
宮城 2 仙台あおば、仙台泉(準備)
山形 1 山形
福島 1 郡山(準備)
関東 茨城 2 水戸、つくば(準備)
栃木 1 宇都宮
群馬 2 前橋、太田
埼玉 5 さいたま新都心、さいたま南、越谷、川越、花園(準備)
千葉 2 船橋、柏(準備)
東京 11 足立、東京ベイ東雲、東京品川、東京杉並、目黒、世田谷桜丘、池袋、練馬、調布(準備)、立川、八王子(準備)
神奈川 4 東名横浜、港北ニュータウン、横浜南、湘南
中部 新潟 1 新潟
富山 1 富山(準備)
石川 1 金沢
山梨 1 山梨
長野 1 長野(準備)
岐阜 1 岐阜
静岡 3 静岡、浜松、三島
愛知 6 岡崎、刈谷(準備)、名東、名古屋北、名古屋西(準備)、平針(準備)
近畿 三重 2 四日市、松阪
滋賀 2 滋賀、彦根
京都 1 京都四条
大阪 2 堺、EXPOCITY
兵庫 3 神戸、西宮(準備)、姫路
和歌山 1 和歌山(準備)
中国 鳥取 1 山陰
岡山 1 岡山
広島 2 広島、福山
山口 1 山口(準備)
四国 香川 1 高松
愛媛 1 松山
九州・沖縄 福岡 4 福岡、福岡西、久留米、北九州
佐賀 1 佐賀
熊本 1 熊本(準備)
大分 1 大分
宮崎 1 宮崎(準備)
鹿児島 1 鹿児島
沖縄 1 沖縄

拠点が1つもないのは青森・秋田・福井・奈良・島根・徳島・高知・長崎の8県。いずれも人口規模が小さいか、隣県の拠点でカバーできる地理条件にある。

もう一点、拠点数の数え方には注意がいる。公式リストの住所を突き合わせると、つくばは水戸店舗内、柏は越谷店舗内、八王子は立川店舗内、富山は金沢店舗内と、既存店に間借りする形で「開業準備室」を登録している例が4件ある。独立した建物を持つ拠点として数えると、77という数字はさらに目減りする。「拠点数」を他社と比べるときは、この定義差を踏まえる必要がある。

最新の営業時間・定休日はBYD Auto Japan公式のディーラー検索で確認してほしい。

大都市から地方へ – ミニディーラー戦略の中身

日経は2026年2月4日付の記事で、BYDが大都市・県庁所在地への出店をほぼ一巡させたとして、2026年から人口50万人以下の地方都市に小型店を低コストで展開する方針に転換したと報じた。この転換は中国国内販売の鈍化を受けた輸出テコ入れの一環とも位置づけられている。

小型店の採算ライン

「ミニディーラー」という言葉自体は目新しいものではないが、BYDの文脈では「大型旗艦店を都市部に構える」やり方から「小さい商圏に、小さい店舗を、数多く」という発想への転換を指す。出店にかかる初期投資と固定費を抑えられる分、1商圏あたりの採算ラインは下がりやすい。反面、来店客に見せられる展示台数や試乗車のバリエーションは限られる。

どの地域にどれだけの小型店が増えたのか、内訳を示す一次資料は今のところ公開されていない。ただし複数の報道を突き合わせると、2025年末から2026年8月にかけて積み増された8拠点前後は、東京・大阪・名古屋のような大都市圏よりも、地方の県庁所在地クラスの都市に偏っている可能性が高い。大都市圏はすでに出店が一巡したという日経の指摘とも整合的だ。BYD側の「約90%の商圏カバー」という主張は、この小型店網の広さを根拠にしたものと見られるが、算出方法は開示されておらず、独立した検証もできない自己申告値である点は割り引いて読む必要がある。

フランチャイズ運営という選択

もう一つ見ておきたいのが、店舗を誰が運営しているかという点だ。BYD Auto Japanは自社直営ではなく、双日やヤナセといった既存の販売網を持つ企業とフランチャイズ契約を結ぶ形で店舗網を広げてきた。この方式は、BYD本体が土地・建物・人員を自前で用意する必要がなく、初期投資の負担を運営パートナー側と分担できる点で拡大スピードを出しやすい。一方で、収益性や接客品質は各パートナーの経営体力・ノウハウに左右されやすく、店舗数が増えるほど運営品質のばらつきというリスクも大きくなる。小型店戦略はこの構造をさらに一段推し進めたものといえ、初期投資を抑えた分だけ多様な規模の事業者が参入しやすくなった半面、パートナー選定の巧拙がそのまま店舗網全体の質を左右する構図になっている。

この戦略と噛み合っているのが、2026年7月28日に発売された軽規格BEV(電気自動車)「BYD RACCO」だ。海外メーカーが日本の軽自動車規格に合わせて専用設計したBEVとしては初めての事例とされる。車体が小さく展示スペースを取らない軽自動車は、まさに小型店の展示スロットに収まりやすい商品でもある。

軽EV「RACCO」発売1週間で受注741台 – その中身

RACCOのグレード構成は3種類。「ラッコ200」が214万5,000円、「ラッコ300プラス」が239万8,000円、上位の「ラッコ300プレミアム」が249万7,000円だ。補助金適用後は300が199万5,000円未満、最上位の300プレミアムでも250万円未満に収まるという訴求がされている(マイナビニュース)。

発売から1週間となる2026年8月2日時点の受注は741台。そのうち約80%が最上位の「300プレミアム」に集中しているという内訳が興味深い。軽EVというと廉価グレードが主戦力になりそうなものだが、実際には装備の厚い上位グレードを選ぶ客が大半を占めている。人気色は「チーズイエロー」「アークティックホワイト」「ミッドナイトグリーン」の順だ。会社側は2026年度累計受注1万台、2026年中に月販1,000台という目標を掲げている。

ここで数字の性質に注意したい。1万台・月1,000台はいずれも「受注」ベースの目標であり、実際にナンバーが付いて登録される「登録台数」とは別の指標だ。受注が好調でも、生産・納車のリードタイムによっては登録台数への反映に時間差が出る。次の四半期の登録実績が出た段階で、受注の勢いがそのまま販売実績になっているかを確認する必要がある。

数字で見るBYDとテスラの出店競争

店舗展開のペースを比べるなら、同じ日本市場でEVの認知度を広げてきたテスラが分かりやすい対照になる。テスラ日本法人は2025年6月時点で23店舗、2025年末に30店舗を目標としていたが、実際には2026年4月28日時点で38店舗まで伸ばし、前年同期からほぼ倍増している。2026年末には60店舗、将来的には100店体制も視野に入れているという。

項目 BYD テスラ
2025年6月時点 63拠点 23店舗
2025年末 約69拠点(目標100未達) 30店舗目標
2026年時点 77拠点(8月7日) 38店舗(4月28日)
2026年末の目標 非公表 60店舗
出店モデル 複数運営パートナーによるフランチャイズ+ミニディーラー 直営・大型旗艦店中心

単純な店舗数だけを見ればBYDが上回っているが、両社の出店モデルはまったく異なる。テスラは直営の大型店を軸に、商業施設内への出店ラッシュも交えながら少数精鋭で伸ばしている。BYDは双日やヤナセといった既存の販売網を持つ企業と組み、フランチャイズ形式で数を積み上げる方式だ。同じ「拠点数」という数字でも、背後にある投資額や運営責任の重さはかなり違うと見ておいたほうがいい。

横浜中央の閉店とヤナセの参入 – 運営体制の再編

BYD日本上陸の顔だった旗艦店「BYD AUTO 横浜中央」(双日グループ運営、2023年4月22日開業)が2025年12月14日に閉店した。開業から1年半余りでの撤退である。立地は横浜市中区、山下公園や中華街、県庁に近い一等地だったが、月間販売はおおむね10台前後にとどまり、採算が合わなかったと報じられている(Merkmal)。一等地の大型店であっても、集客と成約が伴わなければ長続きしないという、当たり前だが重い教訓を残した事例だ。

双日は2023年に神奈川・愛知でBYDの正規ディーラー事業に参入していた(Sojitz)が、横浜中央の閉店はその一角の縮小を意味する。入れ替わるように、2025年11月27日にはBYD Auto Japanと輸入車の老舗ヤナセの新設子会社「ヤナセEVスクエア」が正規ディーラーの基本契約を締結。2026年7月11日、横浜市磯子区に「BYD AUTO 横浜南(ヤナセEVスクエア磯子支店)」が開業した(Car Watch)。輸入車ディーラーの老舗が中国メーカーの正規ディーラーになるのは同社初の事例であり、日本の自動車流通の一角が動いた出来事として複数のメディアが取り上げている。

ヤナセ以外の運営パートナーの動きは、今回確認できた報道の範囲では横浜中央の一件ほど大きくは伝えられていない。双日自体は神奈川・愛知での事業を継続しているとみられ、撤退したのはあくまで横浜中央という個別店舗であって、双日グループ全体がBYD事業から手を引いたわけではない点には注意が要る。とはいえ、大手インポーター系のヤナセが正規参入したことは、BYD側が採算の合わない小規模パートナーや不採算店舗を、体力のある大手に置き換えていく動きの号砲である可能性がある。他地域でも同様の運営パートナー交代が起きるかどうかは、公開情報だけでは判断できず、今後の続報を待つ必要がある。

2026年上半期の登録実績 – 3年連続プラス成長の中身

BYD Auto Japanの2026年上半期(1〜6月)の国内新車登録台数は2,334台、前年同期比42.7%増だった(BYD公式PR TIMES、response.jp)。牽引したのは新型PHEV(プラグインハイブリッド車)「SEALION 6」で、累計登録は1,254台。全体の半分以上をこの1車種が占めている計算になる。BYD Auto Japanはこれで3年連続のプラス成長を達成した。日本のBYD全車種を比較したい場合はBYD全車種比較のページも参考になる。

年間販売の推移を追うと、2023年1,446台、2024年2,223台、2025年3,742台という右肩上がりが続いている。ここにRACCOの登録台数が上乗せされる2026年後半は、成長率がさらに上振れするのか、それとも受注の勢いほどには登録が伸びないのか、次の決算・月次発表が試金石になる。中国系メーカー全体の日本での動きは中国EVカテゴリでも随時追っている。

BLADE NOTEの見立て

量と質のギャップ

77拠点という数字そのものより、注目すべきは増え方の中身だ。2025年末から2026年8月までの半年強で積み増した8拠点前後は、そのほとんどが地方の小型店だったとみられる。大都市中心の出店で足踏みしていた前半戦から、ミニディーラー戦略への転換で後半戦は数の上で持ち直している、というのがここまでの筋書きだ。

ただし、拠点数の拡大が採算改善を伴っているかどうかは、今回のリサーチでは裏付けが取れていない。横浜中央が月10台前後で撤退に追い込まれた事実がある一方、小型店1店あたりの損益分岐点がどこにあるのかを示す一次データは公表されていない。拠点数という「量」の指標だけを追いかけていると、収益性という「質」の課題を見落としかねない。

運営パートナーの選別が示すもの

ヤナセの参入は、この文脈で読むと象徴的だ。双日単独で運営していた旗艦店が閉じた直後に、体力のある大手インポーター系ディーラーが正規参入している。これは単なる新規出店ではなく、運営パートナーの選別と集約が始まった兆候と見たほうが実態に近い。今後、他の地域でも小規模な運営パートナーからヤナセのような大手への切り替えが起きるかどうかは、BYD Auto Japanの店舗網の質を測る指標になる。

RACCOの初動をどう読むか

RACCOの受注741台、うち8割が最上位グレードという内訳も見立てのしがいがある数字だ。廉価グレードでなく上位グレードに需要が集中しているのは、価格訴求よりも装備・質感で軽EV市場を切り崩そうとするBYDの狙いが、少なくとも初動では当たっていることを示す。ただしこれは「受注」の段階の話であり、実際の登録台数として積み上がるかは別問題だ。テスラが大型旗艦店で60店舗を目指す一方、BYDは小型店で77拠点を既に超えている。この対比は、日本市場でEVの販路をどう作るかという設問に対する、2つの異なる回答として見ておきたい。次に検証すべきは、RACCOの登録実績が出る2026年第4四半期の数字である。

出典

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BLADE NOTE編集部
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