BYD K8 2.0が高野山で運行 – 中国製EVバスの観光地展開NEW
世界遺産・高野山の参道を、中国・深センで生まれた電動バスが走り始めた。BYDの大型EVバス「K8 2.0」が2026年4月24日、南海りんかんバスの山内路線に投入されたと報じられている。816年に空海が開いた聖地に、最新の中国製BEVバスが日常の足として組み込まれたかたちだ。
高野山に投入されたK8 2.0
運行を始めたのは、高野山駅から奥之院方面を結ぶ南海りんかんバスのK8 2.0。観光客と参拝者の輸送を担う山内交通の主軸路線で、勾配と冬季の低温が厳しい山岳エリアにあたる。ディーゼル車の排気は、聖地の空気質と景観体験に直結する課題でもあった。
BYDは2025年に立山黒部アルペンルートの環境配慮型輸送車両として小型EVバス「J6」を投入しており、観光地・国立公園エリアでの電動化案件を直近1〜2年で段階的に増やしている。高野山へのK8 2.0導入はその延長線上にある事例だ。
K8 2.0の仕様と国産大型EVバスの不在
K8 2.0は全長10.5m級のノンステップ大型路線バスで、初代K8からバッテリーパック・モーター制御・断熱仕様を更新したアップデート版にあたる。LFP(リン酸鉄リチウム)採用のBlade Batteryを搭載し、低温下での劣化耐性や発火リスクの低さがディーゼル車からの置き換え判断の材料になっている。
| 項目 | BYD K8 2.0 | BYD J6(小型・参考) |
|---|---|---|
| 全長 | 約10.5m | 約7.0m |
| 乗車定員 | 約77名 | 約31名 |
| 電池 | LFP Blade Battery | LFP |
| 主な用途 | 大型路線・観光大型輸送 | コミュニティ・観光地内循環 |
| 国内採用例 | 京阪・岩手県北・南海りんかん | 京都・立山黒部 |
見落とされがちなのは、これと同等の量販大型BEV路線バスを国内メーカーが事実上供給できていないという事実だ。日野・いすゞ系のジェイ・バスが「エルガEV」を投入してはいるものの実車納入は限定的で、三菱ふそうやUDトラックスは大型路線車のBEV量産に踏み切れていない。観光地で大型EVバスを揃えようとすると、選択肢はほぼBYDに収束する。
観光地・国立公園で広がるBYDバス
BYDの電動バスが日本に本格供給され始めたのは2015年、京都のプリンセスラインへの納入が起点とされる。以降、京阪バス、岩手県北バス、会津バス、そして直近では立山黒部、いわて花巻空港連絡、今回の南海りんかんバスへと採用先が広がってきた。累計納入は2026年時点で100台規模に達したと見られている。
観光地や聖地が中国製EVバスを選ぶ動機ははっきりしている。ディーゼル特有のアイドリング音と排気は、参道・宿坊街・国立公園歩道との相性が悪い。EV化はCO2削減という環境KPIに加え、観光地のブランド価値や訪問体験の品質を守る投資として評価されている側面が大きい。
商用EVは乗用車より先に「実用採用」へ
乗用車市場でのBYDは2025年に日本で約6,000台規模、新車BEV市場で数%のシェアにとどまる。一方の商用バスでは累計100台規模と数こそ少ないが、国産大型EVバスの空白を背景に、自治体や観光事業者が公共交通の主軸として中国製EVを淡々と選ぶ局面に入っている。象徴的な「環境アピール車両」ではなく、運行ダイヤを担う実車として組み込まれている点が以前と異なる。
課題は残る。寒冷地での電費悪化、150kW級急速充電器が山間部で確保しにくいこと、整備拠点の少なさ。BYDは国内アフターサービス網の拡充方針を示しており、観光地案件の獲得と並行してサポート体制を整える構えだ。K8 2.0の次の納入先や追加投入計画は、現時点で明らかにされていない。
出典
- 高野山でBYD製電気バス「K8 2.0」が運行開始(EVsmartブログ)
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